田中博之『フィンランド・メソッド 超「読解力」 6つのステップで伸びる「言葉の力」』
フィンランド・メソッド超「読解力」―6つのステップで伸びる「言葉の力」 (リュウ・ブックス アステ新書)
- 作者: 田中博之
- 出版社/メーカー: 経済界
- 発売日: 2010/06
- メディア: 新書
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評判のフィンランド・メソッドの研究で読んだ。特に読解力っていうことで、国語のカリキュラムへの転用ができないかな、と思って。さまざまな使えそうなアイデアが書いてあって勉強になりました。
あと、はっきり書かれている学校教育の目的を、「長い人生を歩んでいくために必要な基礎力を身につけること」とはっきり定義してあって、そのために方向性として2つ挙げているのにとても同意。そうそう!って感じ。
学校教育の真の目的=
子どもたちが長い人生を歩んでいくために必要な基礎力を身につけること。
そのための2つの方向性
1.なりたい自分を大きくする
2.なれる自分を大きくする
夢ばかりを応援するのも違うと思うし、それなりでいいと言うのも違うと思う。両方あるのだよね、と。
以下、メモ。
p.5
子どもにもおとなにも身につけてほしい6つの言葉の力:
- 論理的に思考して表現する力(論理力・表現力)
- 人間関係を豊かにする力(コミュニケーション力)
- イメージや感性を豊かに創造する力(創造力)
- 実践や行動につなげる力(責任力)
- 自分を励まし創る力(自信力)
- 言葉とその使い方を評価する力(評価力)
(田中博之『フィンランド・メソッドの学力革命』より)
↓
p.6「
フィンランド・メソッドは、読解力を育てるといっても、たんに読書の工夫をしたり、多読をしたり、地域図書館の活用を奨励しているだけではない。思考力や表現力の育成を重視したメソッドなのだ。
例えば、次にあげるような7つのメソッドは、典型的なフィンランド・メソッドである。
- 地域図書館を活用し家庭読書を充実させる
- サークルタイムで対話力を身につける
- ドラマやパペット劇で表現力を身につける
- カルタで読解と表現の構造を整理する
- 思考や表現の型を活用し個性的な創作を行なう
- 小集団でそれぞれの読みや表現を練り上げる
- 多様なテキストを読解したり創作したりする
p.17-18「
OECDが、21世紀のグローバル社会で活躍できる人間を客観的に評価する指標(国際比較指標)とは何かと研究し、その結果、それは従来の教科学習でもたらされる伝統的な学力ではなく、
「21世紀型学力は読解力」
という結論に達したのである。
ここでいう「読解力」とは、
「自らの目標を達成し、
自らの知識と可能性を発達させ、
効果的に社会に参加するために、
書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」
と定義されている。
もう少し具体的にその特徴を見ると、たんに、文章や資料から必要な知識や情報を「取り出す」(いつ?だれが?どこで?何を?)だけでなく、推論と資料の比較により「解釈」(なぜ?どのようにして?)したり、自らの知識や考えに基づいて、そのテキストの構造や主張点について「熟考・評価」したりする幅広い能力、ということになる。」
p.26
フィンランドの小学校4年生の作文の授業。
テーマは「1年生に冒険小説の楽しさを伝える」というもの。
- 熱心に冒険小説を書く4年生
- どうすれば1年生に伝わるかを考える→これが生活レベルでの成功体験になる
- 教室に1年生を呼んで、自作の小説を読み聞かせる
p.43-44
三段階の思考法を型として徹底的に入れる:
ホップ→「まずはじめに、私はこう考えます」
ステップ→「それを発展させて、次にこういう考えが生まれます(こういう問題が解決されます)」「その理由はこうです」
ジャンプ→「最後に、以上を総合すると、このような結論(あるいは解決)が生まれます」
p.78-83
サークルタイム:
- 与えられたテーマについて、互いに考えを述べ合う取り組み
- みんなが円形に座る(1つのサークルで6~15人くらい)
- 約束(ルール)は決めておくとよい
1.自分の考えを持って、それを発言する
2.友達の話は、中心に気をつけながら、最後まで聞く
3.話を聞いて、感想を持つ。はじめの考えから変わってもよい。
4.その感想をもとに、自分の考えを言う
(○○さんの考えに賛成/反対です。そのわけは~だからです。
○○さんの考えに似ています。それは~です。など)
5.一人一回は発言する
6.違う考えも大切にする
- 柔らかいボールをころころと転がして、発言者に渡していく。
良い点は2つ。1つは、転がるボールにみんなの視線が集中する。そして、そのままボールを拾い上げた子に主戦が集まる。2つ目は、発言するときにボールを手に持ちながらだとリラックスできる。
p.135
「カルタ」は、マインドマップみたいなもの。
#小説を創作するときには、主人公のキャラ作りにも使える。
#これ、RPGツクールのときのワークシートにそっくりだな。
p.136
イメージを広げ、創造性を養うために、フィンランド・メソッドでは「ほかのものになりきる」ということをする。
パペットや被り物などを使ってなりきりをする。
p.140
ホット・シーティング:
・一人の人間を座の真ん中に座らせて、周囲から質問攻めにする。
→創るキャラクターについて、いろいろと質問が飛び、それに即興で答えていく。
#これ、「Dead Poet Society いまを生きる」でキーティング先生がやってたやつだね。
#質問ゲームと組み合わせたらおもしろいかも。
p.160
学校で、修学旅行のプロデュースとかおもしろそう。
#同様に、家族旅行や社会見学のプロデューサーになりましょう、的なプロジェクトは可能かも。
p.166
学校教育の真の目的=
子どもたちが長い人生を歩んでいくために必要な基礎力を身につけること。
そのための2つの方向性
1.なりたい自分を大きくする
2.なれる自分を大きくする
p.197
成長の足跡を「自己成長アルバム」にまとめる
#ポートフォリオを作りましょう、ということ。