レイフ・エスキス『子どもにいちばん教えたいこと―将来を大きく変える理想の教育』

子どもにいちばん教えたいこと―将来を大きく変える理想の教育

子どもにいちばん教えたいこと―将来を大きく変える理想の教育


レイフ・エスキスは、毎年、子どもだけで上演するシェークスピア劇を通じて教育をしている教師。現場叩き上げ。読む力、書く力を高めていくさまざまなカリキュラムや知見が紹介されているのはとてもよかった。

「読むことは豊かな人間を、話し合うことは機転のきく人間を、書くことは確かな人間をつくる」(フランシス・ベーコン

以下、メモ。

p.32-50
倫理的発達の6段階説(ローレンス・コールバーグ)
レベル1:面倒を避けたい(怒られたくない、恐怖に基づいている)
レベル2:報酬がほしい
レベル3:誰かを喜ばせたい(教師を喜ばせたいという気持ち、ただし、もっと上を目指させることが難しい)
レベル4:ルールに従う(盲目的にルールに従ってほしいわけではないはずだ)
レベル5:他人を思いやる(親切は感染する)
レベル6:個人的な行動規範をもち、それに従う(子どもたちに多くを望み、最善を尽くすこと)

p.53-54「
学校は、わたしたちが本を読む理由を見失ってしまった。
ロサンゼルス統一学区は子どもたちに読み方を教えるのに、あらかじめ用意された基礎的な教材を用いる。学区の基本方針リストを一瞥しただけで、なぜ生徒たちが教材に興味を覚えないかがわかる。
基本方針はつねに流暢さや理解など、必要ではあるがつまらない目標に焦点を当てる。基本方針のなかで、喜び、情熱、興奮といった言葉がリストの上位に掲げられているのを見たことがない。わたしはそのようなものこそ上位に掲げられるべきだと思う。それこそ人が本を読む理由だからだ。」

p.54-55「
わたしの受け持つ5年生は、たった3つの質問から成る読書力テストをつくった。かれらによれば、それはどんな業者によって考案されたテストよりもはるかに正確に、読みの習熟度を判定する。

1.授業が退屈なとき、読みかけの本を読み終えたくて、机の下に隠して読んだことがありますか?
2.夕食の席で本を読んでいて叱られたことがありますか?
3.寝なさいと言われた後に、布団にもぐってこっそり本を読んだことがありますか?

子どもたちによれば、もし3つの質問に対する答えが全部イエスなら、その子は生涯にわたって読書家になるという。わたしもそう思う。」

p.55「
わたしは生徒たちに本好きになってもらいたい。読み方は一つの科目ではない。人生の基礎であり、世界と関わりあっている人たちがいつもやっている活動である。」

p.63「
楽しみで本を読む若者は周囲の世界とつながり、成長しながら、とても深く自分自身を理解できるようになる。そのような若者は、自分の性格と状況を把握して、自らの判断を下せるようになる。」

p.66「
読解力の評価は標準テストの点数ではじまるかもしれないが、最終的には、言葉を読んでこぼれる笑いと流される涙の量によって判断しなければならない。
読書によって喜怒哀楽を体験できる子どもたちは、生涯にわたって読書するようになる。」

p.67
「読むことは豊かな人間を、話し合うことは機転のきく人間を、書くことは確かな人間をつくる」(フランシス・ベーコン

p.67-83
「わたしは生徒たちに、自分のことを正確に表現できるようになってもらいたい。テストでいい成績をとってもらいたいからではない。大学に進学するにせよ、仕事につくにせよ、人生の助けになるからだ。」

子どもたちの書く能力を向上させるためにやっていることを、順次紹介していこう。
ステップ1:文法の学習
ステップ2:毎週のエッセー(金曜日に課題として出され、週末を使って書いてもらう)
ステップ3:毎月のブック・リポート(時間管理+書き方の技術向上。主人公、敵対者、葛藤、セッティング、プロット、クライマックス、結末、テーマなど項目ごとに書く)
ステップ4:自分で本を書く(「ヤング・オーサーズ・プロジェクト」と呼ばれる。1年かけて1冊の本を書き上げる。教室でのみ書かせる)

p.90
暗算ウォーミングアップ:
マーシー・クックのサイト www.marcycookmath.com

p.156-159
問題解決の4つのステップを記した「バイブル」を配布する
ステップ1  問題を理解する
(鉛筆を置く)
関連するデータを集める

ステップ2 適切な戦略を選ぶ
身振りで表してみる
算法を選ぶ
絵を描く
予測し、チェックする
パターンを探す
図表をつくる
考えをまとめて整理する
論理的推理を用いる
さかのぼって考えてみる

ステップ3 問題を解く
(鉛筆をもつ)

ステップ4 分析する
わたしの答えは意味をなすだろうか?

p.216
「ロックはあなたの問題を解決しないかもしれないが、問題の上で踊らせてくれる」(ピート・タウンゼント