東浩紀・編集『日本2.0 思想地図β vol.3』

日本2.0 思想地図β vol.3

日本2.0 思想地図β vol.3


思想地図βのチームで、ディスカッションしながら創った日本の新憲法草案。読みがいがあります。辞書かってくらい分厚いし…。そう安全帯は、二元性の原理で貫かれています。天皇と総理、国民と住民、国と基礎自治体、国民院と住民院を設定してあったりとか。専門家を集めてディスカッションしながら草案を描いていく過程は楽しかったろうなあ。
以下、メモ。

p.104-105「
ぼくがこの草案の創作にあたり、重要な原理として表現したいと考えたのは、ひとことで言えば、フローとしての日本とストックとしての日本の両立という理念である。ぼくたちはいま、ネットワークが世界全体を覆い、ヒトとカネとモノの奔流がかつてない速度で国境を超える時代に生きている。国民がそれを歓迎するか否かにかかわらず、国内に住む外国人はこれからますます増えるだろうし、またその逆に国外で生きる日本人もますます増えていくことだろう。日本文化は日本だけのものではなくなるだろうし、逆に国内にもさまざまな文化が流れ込むことになるだろう。つまりは、日本なるもののウチとソトを決める境界はますます曖昧になっていくはずなのだが、にもかかわらず、そこでもぼくたちが(日本という国家が解体したり消滅したりすると前提するのでないかぎり)、意識的にせよ無意識的にせよ、日本人としてなにかしらの伝統と遺産を引き継ぎ、これから生まれる子どもたちに譲り渡していくこともまたまちがいない。日本という国家の制度的な境界はこれから溶解せざるをえないだろうし、また特定の立場からはそれは好ましい傾向と考えられるだろうが、現実的に考えたとき、日本列島というこの土地に蓄積された膨大な記憶、言語や文化や習俗の独自性がそうたやすく消え去るとも考えられない。
流れる日本と留まる日本。解体する日本と解体に抵抗する日本。市場と遺産。ぼくはこの草案で、その二面を止揚する制度を提案しようと考えた。天皇と総理、国民と住民、国と基礎自治体、国民院と住民院、以下の草案全体を貫く二元性の原理は、そこから導かれている。」

p.106-107
前文

  • 日本は公正な国でなければならない。
  • 日本は平和な国でなければならない。
  • 日本は繁栄する国でなければならない。
  • 日本は開かれた国でなければならない。

p.116
#内閣は「政議院」。構成員は「政議」なので、太政官と参議の関係みたいだな

p.178-179「
新憲法で特徴的なもう一つの点は、「議事の公開」に、単なる外部監視による議事の記録以上の積極的な意味を見出している点である。この点では、東浩紀『一般意志2.0』(講談社、2011年)の一側面、あえて無味乾燥に言い換えれば「具体的事柄についての社会の大きな反応とリアルタイムに連携する新しい熟議民主主義」を新憲法は志向していると言える。
このような理念は現代の情報通信技術の発展を見る以前にはまったく成立しえなかった。なぜなら、「社会の大きな反応」という考え方が、統計的な手法を前提としているからである。たとえば、国会の議事を公開し、聴衆による野次(という参加方法)を許すような考え方は、その聴衆の野次が「社会の大きな反応」を代表しているという仮定が存在しなければ、非論理的である。」

「衆合的意見」