『教え上手になる! 教えと学びのワークブック』
- 作者: 関根雅泰
- 出版社/メーカー: クロスメディアパブリッシング
- 発売日: 2006/04
- メディア: 単行本
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「教える」ことを仕事にしてもうすぐ10年。教育学部にも通っていないし、専門的な教育を受けていない僕は、本を読んで勉強することがまだまだ多い。ノウハウとしてなんとなく知っているものは多い。でも、それをしっかり言語化していくことも大事なので、読んでいる。
気づきの3場面についての説明が非常におもしろい。曰く、気づきの3場面とは…
質問されたとき、理由がわかったとき、他人の立場に立ったとき
そして、
頭の中にある既存の知識・経験と質問された内容の答えが結びついたときに「気づく」
そういう場面をいかに作るのか、それが「カリキュラムを書く」ということであり、自分が一生していく仕事だと思っている。
以下、メモ。
p.80-82
ハワード・ガードナー(ハーバード大学心理学教授)による多重知能理論
・視覚的知能(絵や方向感覚などの能力)
・身体的知能(身体を動かしたり、ものを作る能力)
・対人的知能(他者と意思疎通を図り強調する能力)
・内面的知能(自己分析する能力)
・音楽的知能(歌やリズムに関する能力)
・言語的知能(文章を書いたり話す能力)
・数学的知能(数字や論理思考に関わる能力)
「
どの知能を強くもつのかは、人によって違います。ある人は、本を読んで学ぶのが好き(言語的)。ある人は、人と喋りながら学ぶのが好き(対人的)。またある人は、1人でじっくり考えて学ぶのが好き(内面的)、といった具合に。
多重知能理論のポイントは、人それぞれ得意とする「学ぶ方法:学習スタイル」があり、それに合った教え方をされるとよく学ぶことができる、という点です。だからこそ、私たち教える側は、教える相手個々人の学習スタイルに合った教え方をすべきなのです。かといって、大人数の場合、全員の学習スタイルに合わせることは難しいですよね。そこで、それぞれの学習スタイルが自分の持ち味を活かせるように教え方を組み立てていけばよいのです。ただ単に話を聞かせるだけの教え方ではなく、身体を動かしてやらせてみたり(身体的)、参加者同士で話し合わせてみたり(対人的)、個人で考えさせてみたり(内面的)、模造紙に表現させてみたり(視覚的)などなど、様々な知能を使って学べるように、私たちが教え方を組み立ててあげればよいのです。
」
p.83-87
対人スタイル=ソーシャルスタイル理論(デビッド・メリル)
「
人それぞれ好む「接し方」がある
「ソーシャルスタイル理論」は、人を大きく4つのタイプに分類します。
・分析型(アナリティカル:思慮深さ)
・行動型(ドライビング:目標達成)
・友好型(エミアブル:対人関係)
・感覚型(エクスプレッシブ:称賛・注目)
人の行動を観察し、その人の「主張・傾聴の度合い」から、その人のタイプを分類します。(略)
人はそれぞれ大事にしている価値観があります。それを尊重した接し方をしてあげるのです。(略)
ここで注意しなくてはいけないのは、私たちは自分が好む接し方、つまり対人スタイルを相手にも強要している場合があるということです。(略)
「対人スタイル」を理解すると、教えるのが楽になります。「教える難しさ」であった「コミュニケーションの難しさ」もだいたいは、この「対人スタイル」つまり「人との接し方」における違いが原因のケースが多いのです。たとえば、「分析型」の相手は、あまり感情表現をしません。その相手に対して「感情型」が教えると「何かノリが悪いなー。伝わっていないのかなー」と心配になってしまいがちです。でもそれは単に「分析型」がそういう接し方をするだけで、教えた内容を理解していないということではないのです。
」
ラーニングマスターズ株式会社 http://www.lmi.co.jp など参照
p.109-150
教え上手の3部構成
1.イントロダクション(導入:相手の情報収集)
目的は相手の緊張感を下げることと、相手からの情報収集
相手の立場で疑問や不安を想像する
疑問や不安に言動で応えていく
相手の現状・目標・もんだいを理解し、ギャップを埋めるための情報収集
2.ボディ(本論:相手の問題解決支援)
教える目標・目的・ゴール
教えた後、参加者がどうなっているのか、具体的なイメージを持つ
そこに近づけるために、教える内容を組み立てる
ティーチング、コーチング、ラーニング
教え込む、引き出す、学ぶ
学びには、「聞く」「読む」「観察して盗む」「書く」「考えを口に出してみる」「仲間と話す」
「実際にやってみる」などがある
説明・体験→質問→党議→共有→共有→整理
気づきの3場面
質問されたとき、理由がわかったとき、他人の立場に立ったとき
頭の中にある既存の知識・経験と質問された内容の答えが結びついたときに「気づく」
3.クロージング(結び:相手の理解促進)
振り返り(咀嚼と共有)
今後の合意(質問と宣言)
p.159
「できる」「できない」にも、それぞれにレベルがある
→「できない」レベルにはティーチング、「できる」レベルにはコーチング。
レベル1.「できない」ことに気づいていない ← 観察・指摘・体感
レベル2.「できない」ことに気づいている ← 実践・評価
レベル3.「できる」理由をわかっていない ← 質問・分析
レベル4.「できる」理由を分かっている ← 見守る