西村克己『論理的な考え方が身につく本』

論理的な考え方が面白いほど身につく本 (知りたいことがすぐわかる)

論理的な考え方が面白いほど身につく本 (知りたいことがすぐわかる)


カリキュラム制作のための参考文献として読んだ。簡単なノウハウ本、というか考え方をざーっと紹介してある感じです。「主張」「論拠」「データ」をより体系的に整理する、というところは実は、大学受験の英語長文読解講座で、ソフィア早慶予備校の横山雅彦先生から習ったこと。曰く、英語の文章は「主張=Claim」を「論拠=Warrant」と「データ=Data」で支えている構造なのだ、と。だから、パラグラフの中でどれがClaimかを考え、それを支えているWarrantとDataを探せれば、読解問題は怖くないし、文章をすべて読む必要すらない、というものでした。
横山先生の授業は冬期講習で1週間受講しただけでしたけど、本当に勉強になったなぁ。たった1週間でも、驚くほどに英語を読む感覚が変わった、と思ったもん。ああいう経験をさせてもらえたのは本当に良かった。ネットで検索してみたら、今は東進にいらっしゃるのですね。カリスマ英語講師になってました。授業が終わった後、一度お昼に連れて行ってもらったことがありますが、中沢新一の話とかしてくれて、大学の勉強って楽しそう、と思ったのを覚えています*1
以下、メモ。

p.18
論理思考の3大要素は「主張」「論拠」「データ」
主張:話の結論、提案や意見、推論
論拠:主張を説得するための「原理・原則、法則性、一般的な傾向、常識などの理由づけ」
データ:主張を裏付ける「客観的な統計などの数値や事実、具体例など」


p.24

「なぜ?」を問いかけることで、成功や失敗の原因究明をすることができます。また、問題を根本的に改善するためにも「なぜ?」は役立ちます。(略)
安定した好業績をあげているトヨタ自動車では、「Why?を5回繰り返せ。すると問題の真の原因が見えてくる」と社内で教えています。「なぜなぜ問答」で「Why?」を繰り返すことで、問題発生の原因究明に役立ち、同じような問題の再発防止に役立つのです。


p.70
グルーピングと重要度評価で情報を収束させる

重要度は通常5段階評価が便利です。(略)
重要度評価は、人によって評価が異なる場合があります。意見が分かれたときは、評価の高い方を優先します。こうすることで、重要な項目を安易に却下しないですみます。


p.91
クロスSWOT分析
%これ、非常におもしろい。自分の立ち位置を測るためにやってみたいと思う。


p.109
MECE(モレなく、ダブリない状態)で考えるために、
「それ以外」「反対」を考えるようにする。


p.114

捨てる技術を一歩進めて、ECRSで改善案を考えると、改善の労力を低減できます。ECRSは、現状をよりよくする改善案を作成するためのヒントを与えてくれます。ECRSの、E(Eliminate)は、やめる、排除、廃止です。C(Combine)は、一緒にする、統合です。R(Re-Place)は、置き換え、交換です。S(Simplify)は簡素化、単純化です。
このECRSの順番が大切です。まずはEを考えます。EがダメならCを考えます。CがダメならRを考えます。そして最後にSを考えます。私たちは、今まであるものを存続することを前提に、Sばかりを考えます。しかしSの改善案実施は、意外と時間と労力がかかります。E→C→R→Sの順番で考えることが、短期間で高い効果を得るための解決策になるのです。


p.126

一度に多くのことを言われたとき、人間の記憶力には限界があります。人間が一度に理解できる限界は7つ前後といわれています。これをマジックナンバー・セブン・プラスマイナスといいます。プラスマイナスは、個人差があるという意味です。


p.131, 135
「主張」「論拠」「データ」をより体系的に整理する
=ピラミッドストラクチャ

イントロ→主張を伝える→論拠を3つ前後述べる→データで論拠を納得させる→必要に応じて事例を入れる→論拠を再度示しながら主張を確認する

ピラミッドストラクチャ作成の留意点
1)強引にいい面ばかりを強調しない
・いい面ばかりだと、「でもね…」という疑問が聞き手に残る
・悪い面も出して、「でも克服できる」と、疑問を解消してあげる

2)事例を適度に入れると、親近感がわき、納得度が上がる
・「たとえば…」という事例を入れる(2〜3個程度)
・自分の体験談、事実を入れる
・定量的に数値で示す(金額、数量、距離など)


p.141
図解の3種の神器とは「図形枠」「キーワード」「矢印」
・文字に固執しない
・文字も図解の1要素
・キーワード(文字)を図形枠で囲むだけでも図解らしくなる
・図形枠を矢印(線)で結べば、図解として通用する


p.142

文章はシーケンシャル思考、図解はランダム思考


p.158

図解パターンを体系的に整理すると、「相互関係図」「プロセス図解」「階層図」「マトリックス」「表とグラフ」「イラスト」の6パターンに分類できます。

*1:中沢新一の話を聞いて、大学おもしろそう、と思う僕もどうかと思うが。