バーナード・クリック『シティズンシップ教育論 政治哲学と市民』
シティズンシップ教育論: 政治哲学と市民 (サピエンティア)
- 作者: バーナードクリック,関口正司,大河原伸夫,岡崎晴輝,施光恒,竹島博之,大賀哲
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 2011/09/08
- メディア: 単行本
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政治のワークショップを現在企画中。イギリスでは、シティズンシップ教育をやってきているので、その成功と失敗をしっかりまとめておきたかったので、ざっとレビュー。政治、選挙って、本当に大事だと思うのですよね。選挙制度を知ることには意味なんてなくて、選挙の時にどんなことを考えて投票しなきゃいけないのか、をしっかりスキルとして「おもしろく」伝えたいと思うのです。ただ投票率を上げるだけでは足りない。何も考えない人が投票にたくさん行くようになるのではなくて、しっかり考えられるようになった人が投票にたくさん行くようになってほしいのです。
最近、リチャード・ホガートは、怒りというより悲嘆を込めて、若者をシティズンシップ教育と批判的思考によって現代世界に立ち向かえるよう教育しないのは、彼らを「サメがうようよしている海へ準備なしで」放り込むようなものだと書いているが、私はこの表現が気に入っている(Hoggart, 1999)(p.10)
↑これは、本当にいい表現だと思うね。
以下、メモ。
p.10「
最近、リチャード・ホガートは、怒りというより悲嘆を込めて、若者をシティズンシップ教育と批判的思考によって現代世界に立ち向かえるよう教育しないのは、彼らを「サメがうようよしている海へ準備なしで」放り込むようなものだと書いているが、私はこの表現が気に入っている(Hoggart, 1999)。」
p.87-88
ハンサード協会の作業部会は、政治教育の目標となりうるものとして、次の3点を挙げている:
a. 現在の政治体制の機能状況に関する知識、および、政治体制の一部とみなされている信条についての知識の水準を十分適切に保つこと。
b. 能動的シティズンシップに必要な知識・態度・技能を、自由社会や参加型社会にふさわしい水準にまで育成すること。
c. 以上の2つの水準を超えて、現実に論争されている問題領域に踏み込み、統治方針や体制を変革する可能性を考察すること。
p.89-91
政治リテラシーとは、知識・技能・態度の複合体。
この3つは一緒に発達していくおので、それぞれが残り2つの条件となる。
↓
・知識
(1)争点に関する基本的な情報
(2)争点の性質に関する知識や理解を活用して、能動的に参加する方法
(3)最も効果的な問題解決策を判断する方法
(4)問題が解決された場合、政策目標がどれくらい達成されたのかを評価する方法
(5)他者が物事をどう見ているか、自らの行動をどう正当化しているかを理解する方法および正当化の理由をつねに提示するよう他者を促す方法
・態度
自由、寛容、公正、真実の尊重、理由を示す議論の尊重
・技能
能動的に参加しコミュニケーションをとることができる
参加を拒否する場合には明確で筋の通った説明ができる
他者のさまざまな見解に寛容でありながら、改革やその達成方法について考えることもできる
p.91「
政治リテラシーを教える際の大きな問題は、生徒の偏向や教師の刷り込み教育を助長するおそれではない。むしろ政治リテラシーが行動を促すのは当然で避けられない、という点である。ただし、知識や理解にもとづく政治行動ならば、促す価値は間違いなくあると言える。ここで言う知識や理解の対象には、対立を生んでいる事実だけでなく、論争している人々のさまざまな見解も含まれる。異なる視点への共感は、大いに奨励すべきである。」
p.266
ワンフレーズ・ポリティクス=soundbite politics