ジョフ・コルヴァン『究極の鍛錬』

究極の鍛錬

究極の鍛錬


数々の学びのパターンを見ていく本。ある教育工学系の勉強会で、課題図書になっているのを見て、図書館から借りだしてきました。おもしろかったのは、「究極の鍛錬は、あんまりおもしろくもなく、精神的にはとってもつらい」と認められていること。でも、ちゃんと継続的に行うことができて、継続的に「どう変わっていくのか」というフィードバックが受けられるというのが大事なのだな。
あと、訓練が重要とされる分野では3つのモデルがあるとし、「音楽モデル」「チェスモデル」「スポーツモデル」と分けているのもおもしろかった。仕事としては、ケーススタディもそうだし、ボードゲームを題材に使うものもそうだし、「チェスモデル」の、「自分ならどうするか、達人はどうしたか」を比較してくという「チェスモデル」についてちょっとしっかり探求してみたいな、と思いました。

p.74
GEのウェルチによる4つのE

  1. エナジー(Energy)
  2. ability to Energize(エナジャイズする力/決断力)
  3. とんがった能力(Edge)
  4. 実行力(Execute)

p.98-99
究極の鍛錬の要素

  • しばしば教師の手を借り、実績向上のため特別に考案されている。
  • 何度も繰り返すことができる。
  • 結果に関し継続的にフィードバックを受けることができる。
  • チェスやビジネスのように純粋に知的な活動であるが、スポーツのように主に肉体的な活動であるかにかかわらず、精神的にはとてもつらい。
  • あまりおもしろくもない。

p.159-167
訓練が決定的に重要だとされている分野で、用いられている究極の鍛錬のモデルに基づき、3つの一般的なカテゴリーを考えつくことができる:

音楽モデル:
楽譜があるわけなので、演奏に関しては、達人と普通の人とを分けるのは、その音楽をいかに上手に演奏するか。

チェスモデル:
日々の訓練では特定の駒の配置を研究する。自分ならどう動かし、チェスの名人は実際にどう動かしたかを見比べる。違いがあるなら、それはなぜか、どちらがよいのかを考える。
ビジネス教育における、ケースメソッドはこのチェスモデルにあたる。

スポーツモデル:
コンディショニング=特定のもっとも役に立つ力や能力を伸ばすこと。
固有のスキルの開発=絞り込んだ分野でのシミュレーションに基づく特定の技術の開発。