『16歳の教科書 なぜ学び、なにを学ぶのか』
ドラゴン桜公式副読本 16歳の教科書~なぜ学び、なにを学ぶのか~
- 作者: 7人の特別講義プロジェクト,金田一秀穂,鍵本 聡,高濱 正伸,大西 泰斗,竹内 薫,藤原 和博,石井 裕之,モーニング編集部
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/06/21
- メディア: 新書
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この本、たくさんの先達のいい言葉がたくさん。「ドラゴン桜」からに乗っかっただけでしょ?とか思っててごめんなさい(笑)
以下、藤原和博先生によるお言葉。大学受験前にきっちり夢が決まってなくたって、いいじゃん、って話です。だからってダメなわけじゃ全然ないぜ、と。
夢も目標も見えないのに、なんのために勉強しているのか?
なんのために働いていくのか?
そして、なんのために生きているのか?
僕は「クレジットを高めるため」という言い方をしています。
クレジットというのは、他人からもらえる信頼や共感、信任の総量のこと。
もし、クレジットという言葉がわかりにくければ、ロールプレイングゲームの「経験値」みたいなものだと考えてもらっていい。
(略)
クレジットが低いままというのは、ずっとレベル2とかレベル3で、こん棒を武器にスライムと闘っているようなものなんだよ。「できること」がものすごく限られていて、ちっとも面白くないの。
でも、クレジットが高まると、他人からアクセスされるようになるし、アクセスできるようにもなる。そうすると他人の力を使えるようになって、より的確な納得解が得られるようになるんだ。
そうやってクレジットを高めることを先にやってから、夢を抱くほうがずっといい。
だって、クレジットが高まると、思ったことはほとんど実現できるようになるんだよ。ことさら夢だなんて言葉を使う必要もない。ものすごく自由度が高まっていく。そういう生き方のほうが、普通の人にとってはいいんじゃないかな。
「もっと大きな夢を持ちなさい」とか「いまどきの若者は夢がない」とか、大きなお世話だよね、そんなこと。(p.182-183)
もう一人。英語教育の大西泰斗先生。愛を感じる、熱い熱いメッセージです。
世界はいろいろな意味で完成されてはいません。誰も異を唱えたことのない不合理がたくさんある。至るところに「穴」が空いているんだよ。
もしみなさんが「あれ?なんでこんなことが見過ごされているんだろう」って思ったとしたら、チャンス到来。その違和感を握りしめてほしいんだ。誰もが見過ごしている大きな穴ぼこ、そこに違和感を感じる「感度」自体が、みなさんの個性だからです。
政治に違和感を感じたら、素通りしないでその違和感を追求してみる。もしかしたらそれが契機で政治学を専攻することになるのかもしれない。ひょっとしたら将来、政治家や新聞記者になるのかもしれない。
英語の文法ってなんかヘンだよな。そう違和感を感じたら、立ち止まって考えてみる。やがては僕のように言語学者や英語教師になるのかもしれない。
自分の心に宿った小さな違和感、小さな不本意、小さな不自然。それを放置しないことだよ。虫眼鏡で拡大して見極めるんだ。その問題意識の中にこそ、大切な大切な「ほんとうの」自分が住んでいるんだからね。
僕もそうやって、いまの仕事に辿り着いた。
ちなみに僕の違和感は「なぜこれほどの時間・労力をかけても英語はものにならないのか」です。それだけを朝から晩までもう10年以上考え続けています。ふと芽生えた違和感はね、ときとして人の一生を左右するほど大切なものなんだよ。がんばれ。(p.126-127)
他にもいろいろ。以下、メモ。
■金田一秀穂 先生
p.29
数式を言葉にしてみるのもいいでしょう。
「2+y=8」というシンプルな数式でも、言葉にしようとすると「2とyを足した値が8である。すなわち、yとは8から2を引いた値であり、よってyイコール6である」と長い文章にならざるをえない。
↓
しかも、どこかひとつでも間違ったら、そのあと全部がズレてしまうもの。
p.40-41「
もし、僕が中学や高校で授業をやるとしたら、「言葉というのは覚えるものではなく、考えるものなんだよ」といいうことを教えていきたいですね。
言葉って、じつは数学みたいなものなんだよ、と。
たとえば「君が国語辞典をつくることになったとして、『右』という言葉をどうやって説明する?」とかね。
右って言葉を使わずに、どうやって「右」を表現するのか。もちろん「左の反対側」みたいなズルもなしでね。これってかなり難しい問題ですよ。「箸を持つほう」という答えもダメ。左手で箸を持つ人だってたくさんいますからね。
そうすると「東を向いたときの南」とか「北を向いたときの東」とか、「ピアノの鍵盤で音階が高いほう」とか、いろんな答えが出てくる。
右も左も、みんなが知っているはずのことなんだけど、いざそれを説明しようとすると、すっごく難しいことがわかる。
こうやって頭を回転させることは、数学の方程式を解くのと同じ作業なんです。うまい答えが出れば、やっぱり方程式が解けたときと同じくらいの興奮や喜びがある。もっとも、数学のように正解が決まっているわけではありません。
」
■高濱正伸先生
p.77-79
数学には「見える力」と「詰める力」がある。
見える力:
・図形センス…なにもないところに補助線が浮かぶようなセンス
・空間把握力…立体の見取り図、断面図、投影図、展開図がイメージできる能力
・試行錯誤力…じっと固まらず、手を動かして試行錯誤できる能力
・発見力…規制の枠にとらわれず、大胆な発想ができる能力
詰める力:
・論理力…論理的整合性に敏感で、ひとつも破綻のない考え方ができる能力
・要約力…「要するに何を問われているのか」を理解し、的確に答えられる能力
・精読力…一字一句、読み落とさない集中力
・意志力…自力でやり遂げたいという強い気持ち
p.85「
勉強のポイントは「できなかったことを、できるようにする」ことなんです。
(略)
そして、「できなかったこと」をやり抜く意志力が、結局は「詰める力」を養っていくのです。
」
■大西泰斗先生
p.126-127「
世界はいろいろな意味で完成されてはいません。誰も異を唱えたことのない不合理がたくさんある。至るところに「穴」が空いているんだよ。
もしみなさんが「あれ?なんでこんなことが見過ごされているんだろう」って思ったとしたら、チャンス到来。その違和感を握りしめてほしいんだ。誰もが見過ごしている大きな穴ぼこ、そこに違和感を感じる「感度」自体が、みなさんの個性だからです。
政治に違和感を感じたら、素通りしないでその違和感を追求してみる。もしかしたらそれが契機で政治学を専攻することになるのかもしれない。ひょっとしたら将来、政治家や新聞記者になるのかもしれない。
英語の文法ってなんかヘンだよな。そう違和感を感じたら、立ち止まって考えてみる。やがては僕のように言語学者や英語教師になるのかもしれない。
自分の心に宿った小さな違和感、小さな不本意、小さな不自然。それを放置しないことだよ。虫眼鏡で拡大して見極めるんだ。その問題意識の中にこそ、大切な大切な「ほんとうの」自分が住んでいるんだからね。
僕もそうやって、いまの仕事に辿り着いた。
ちなみに僕の違和感は「なぜこれほどの時間・労力をかけても英語はものにならないのか」です。それだけを朝から晩までもう10年以上考え続けています。ふと芽生えた違和感はね、ときとして人の一生を左右するほど大切なものなんだよ。
がんばれ。
」
■藤原和博先生
p.176「
他人との“関係性”の中で役割を演じながら学ぶというのはすごく大事なことで、「ナナメの関係」が豊かかどうかということにも関わってくるんだよ。
人間は「親/子」や「教師/生徒」といったタテの関係だけで学ぶかといったら、そうじゃない。友達どうしのヨコの関係だけでもない。
タテでもヨコでもない、ナナメの関係というのが、とても大切なんだ。
」
p.182-183「
夢も目標も見えないのに、なんのために勉強しているのか?
なんのために働いていくのか?
そして、なんのために生きているのか?
僕は「クレジットを高めるため」という言い方をしています。
クレジットというのは、他人からもらえる信頼や共感、信任の総量のこと。
もし、クレジットという言葉がわかりにくければ、ロールプレイングゲームの「経験値」みたいなものだと考えてもらっていい。
(略)
クレジットが低いままというのは、ずっとレベル2とかレベル3で、こん棒を武器にスライムと闘っているようなものなんだよ。「できること」がものすごく限られていて、ちっとも面白くないの。
でも、クレジットが高まると、他人からアクセスされるようになるし、アクセスできるようにもなる。そうすると他人の力を使えるようになって、より的確な納得解が得られるようになるんだ。
そうやってクレジットを高めることを先にやってから、夢を抱くほうがずっといい。
だって、クレジットが高まると、思ったことはほとんど実現できるようになるんだよ。ことさら夢だなんて言葉を使う必要もない。ものすごく自由度が高まっていく。そういう生き方のほうが、普通の人にとってはいいんじゃないかな。
「もっと大きな夢を持ちなさい」とか「いまどきの若者は夢がない」とか、大きなお世話だよね、そんなこと。
」