土田雅人『「勝てる組織」をつくる意識革命の方法』

「勝てる組織」をつくる意識革命の方法

「勝てる組織」をつくる意識革命の方法


サントリーラグビー部監督、土田さんのビジネス書。サントリーが神戸製鋼の連覇を止め、公式戦の5タイトルを全部獲ったときの監督さんです。ラグビーのチームマネジメントとビジネス組織のマネジメントの共通点を説明していく本。非常におもしろいと感じた。

(注:日本の選手たちは)自分自身に対する現状把握ができていないので、自分の強み弱みがいえず、どこをどう直したらいいのか、どうやって練習したら強くなれるのかがいえないし、紙にも書けない。(p.52)

書かせるってことは大事だな、と。これは大いに使える本だ。
以下、メモ。

p.3
リーダーの仕事:
・ビジョンと目標を掲げる
・その一方でしっかりと現状分析を行い、そのギャップを多様なマネジメントを使って埋めていく
・自分たちの組織のことなのに他人事のおうに関わっている人たちの意識を変え、コミットメントを引き出す。
・意識変革をベースに、さまざまなスキルや能力をつけさせ、具体的な成果に結びつけ、自身を持たせていく
・自身が勇気を生み、自信と勇気がよりいっそう主体的な関わりを生み出す


p.52

(注:日本の選手たちは)自分自身に対する現状把握ができていないので、自分の強み弱みがいえず、どこをどう直したらいいのか、どうやって練習したら強くなれるのかがいえないし、紙にも書けない。
これは、訓練しなければいけない。自分自身や自分たちについて現状を分析し、人に言葉で伝える練習をしっかり行って、コミュニケーション能力をつけなければならないと、そのとき(注:選手との面談時)痛感しました。


p.70-71
マネジメントの役割のひとつ=
目標やストーリー、筋書きを選手たちのなかに落としこんでいくこと。
どんなに高い目標でも、いかに優れたストーリーでも、現場への落とし込みができなければ、実現はできない。
リーダーの能力は、この落とし込みができるかどうかにかかっている。

どうすれば落とし込みができるのか?:
・キーワードで解決すべき課題を表す
キーワードと実践を日々の活動の中で執拗に結びつけ、キーワード→暗黙知を呼び起こして活動ができるように定着させた。


p.75

選手たちは、実際に勝利を体験しながらキーワードの意味を血肉化し、そして、試合になるとキーワードを唱えては、身体に染み込んだ"勝利の方程式"を呼び起こす。


p.76
キーワードはそれが定着すればするほど、暗黙知の共有化が進む。



p.176

キーワードであるスピードは、社員たちが考え、行動するスピードを高めようというものでした。当社の佐治信忠社長も単なる「行動」ではなく「考動」という言葉をよく使います。行動の速さも大切ですが、自分で考えながら行動する速さこそがいまは求められているというのです。


p.185
「割れた窓理論」(犯罪学):
ある街でビルの窓が1枚割れれたままにいつまでも放置されていると、そのビルは管理されていないと認識され、さらに窓が割られたり、落書きをされたり、さらには盗難が発生するようになる。すると、その周辺も管理されていないと認識され、次第に拡大していく。そして、それがあるレベルに達したとき、街は犯罪都市と化し、平和な街へは戻れなくなる。
※1990年代、ニューヨーク市のジュリアーニ市長がこの理論に基づいた対策を実施し、成功させている。