吉良俊彦『ターゲット・メディア主義 雑誌礼讃』

ターゲット・メディア主義―雑誌礼讃

ターゲット・メディア主義―雑誌礼讃


男性誌、女性誌のそれぞれのコンセプトの違い、雑誌ごとの思惑やターゲット、出版社の狙いがよくまとめられてておもしろい。こういう見方で雑誌の目次を見ると、見え方が変わってくるかもなあ、という感じ。以下、メモ。

p.190-p.192, p.194
雑誌
1)男性誌
・男性の生き方が反映される
・男性の柱はただ1本、“仕事”に尽きる
・男性は1週間を52回くり返す=仕事のサイクルと同じ
 →だから週刊誌が多い
・翌年になっても、「さらに新しいものを」雑誌は求められる
 
2)女性誌
・女性の生き方が反映される
・女性の人生を貫くキーワードは3つ。
 「きれいになりたい」「若くありたい」「文化に触れていたい」
 →根本的に女性誌は“美・若さ・文化”という3本の柱からなる
・上記3本柱に、春夏には春夏の名句、秋冬には秋冬のファッションと、
 女性の旬を確実に掴めばいい
・女性は1ヶ月ごとに「○月が終わる」と、時の流れを意識する
 立場に関係なく、女性は毎月、人生の旬を鮮やかに行き抜く。
・女性の旬を反映して、女性誌の特集は組まれる
 春夏ファッション→時計・ジュエリー→夏のコスメ・水着→旅→
 秋冬ファッション・メイク→占い→春夏ファッション→…
・1年間の特集テーマをフォーマット化してサイクルを回す


p.192

雑誌が売れ続ける鉄則のひとつは、「読者とともに年をとらない」こと。雑誌を指示する読者とともに年をとるのではなく、読者に卒業してもらい、新たな読者を迎え入れる。そういう還流をつくり出すことで、雑誌は長生きできる。
(略)
ゆえに出版社は、卒業生が移行する受け皿づくりを怠ってはならない。卒業しても次に読む雑誌がなければ、人は雑誌から離れていく。
『JJ』→『CLASSY.』→『VERY』→『STORY』のように、読者を離さず上の世代で受け入れる。この手法は雑誌の生き残り方の基本中の基本である。