『新版 教育学がわかる』
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2003/05
- メディア: ムック
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専門的に教育学を勉強していない僕にとっては、こういうエントリーレベルで次に進む方向を見つけたときの参考書が紹介されている本はありがたい。いいの、大学生が読みそうな本でもなんでも(苦笑)
おもしろかったのは、3つのカリキュラムという考え方と学力をあわせて考えていた点。3つのカリキュラムは1)意図したカリキュラム、2)実施したカリキュラム、3)達成したカリキュラム。達成したカリキュラムのところだけで学力を考えるのではなく、他の部分と総合で考える必要がある、というところかな。この考え方は、コンサルのときとかにも使えそう。システム化して全体像を先生たちに話すときに伝えたいところ。
以下、メモ。
p.32
教育経済学(金子元久)
「
教育経済学の大きな特徴は、教育の現実や問題を、どう解釈し批判するかではなくて、個人や社会にどのような行動や選択をせまっているのか、という観点から捉えることだろう。
」
↓
1)個人や社会にとって何をするべきなのか、を体系的に分析する「政策科学」の側面
2)個人や教師、学校、さらに文部科学省などの政策当局を含めて、どのような条件の中でどのような行動を取っているのかを、客観的に分析する「政治経済学」の側面
p.40
情報教育(村山功)
コンピュータを中心とするさまざまな情報関連技術がある
・CSCW(Computer Supported Cooperative Work)
=コンピュータを導入して共同作業のあり方をデザインする
↓
こういうデザイン活動なくして、職場や教室にコンピュータを持ち込んでも、ものごとを本質的に変えることにはなりません。
p.128
3つのカリキュラム:
国際教育到達度評価学会(IEA)が使っている教育環境を作り出す要因の枠組み
1)意図したカリキュラム
・全体としての社会という文脈に位置づけられる
・国家または教育制度の段階で決定された教育内容
2)実施したカリキュラム
・地域社会という文脈に位置づけられる
・教師が解釈して子どもに与える教育内容
・実際の指導、教室経営、教育資源の利用、教師の態度や背景などが含まれる
3)達成したカリキュラム
・子どもの個人的な背景という文脈に位置づけられる
・子どもが学校教育において獲得した概念、手法、態度など
p.156
「
ピグマリオン効果
心理学の領域でも用いられるが、教育社会学においては、教師の反応・働きかけが生徒にやる気を起こさせたり(ウォーミングアップ)・なくさせたり(クーリングアウト)することである。生徒は教師から期待されることで、自己認識を肯定的に強化し、教師に無視されることで自分を否定的にとらえるため、教師による成功の認定(失敗の認定)・成功の期待(失敗の予期)はさらなる成功(失敗)を生み出す。学校の潜在的カリキュラムと連動するピグマリオン効果は、子どもたちの間にすでにある差異(学力格差)を拡大することはあっても、それを補正することは少ない。
」