西村佳哲『自分の仕事をつくる』
- 作者: 西村佳哲
- 出版社/メーカー: 晶文社
- 発売日: 2003/10/01
- メディア: 単行本
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本城さんのblogで紹介されていたのがきっかけで買った本。おもしろかったです。仕事の仕方はいろいろだなあ、と。amazonの書評では、「すべての仕事がこんな感じなわけではない」みたいなコメントもありましたが、僕はこういうふうに仕事を楽しんでいる様子や、大人が本当に真剣になって仕事をしている様子をもっともっと子どもたちに見せるべきだと思う。『課長・島耕作』とか、ヒラの時代からやってほしいよね。「サラリーマンになんてなりたくない」という子どもが多いのは悲劇だと思うから。「こんなにサラリーマンは楽しいぞ」と自慢するくらいでないと、僕ら勤め人が。
西村さん、サイトも持っているようです。チェックしておこうっと。
以下、メモ。
p.5
「
教育機関卒業後の私たちは、生きている時間の大半をなんらかの形で仕事に費やし、その累積が社会を形成している。私たちは、数え切れない他人の「仕事」に囲まれて日々生きているわけだが、ではそれらの仕事は私たちになにを与え、伝えているのだろう。
」
p.29
道具の精度によって、モノづくりの精度は規定されてしまう
↓
例えば、フォントは10,10.5, 11, 12…という感じでデフォルトが設定されている。そうすると、これ以外の数字のフォントを自分で設定する人というのが少なくなってしまう。
↓
「
ちなみにその学生たちに、映画のチラシや雑誌の一ページからなにか良い題材を提示し、「これをコンピュータで完全に模倣せよ」といった課題を与える。すると、デフォルトのメニュー数値からはなれたデザインの細部、フォントサイズの細かい制御、ひとつひとつの文字間隔の調整。そうした仕事の存在が見えてくる。デザインの強度や緊張感が、どのような細部の積み重ねによって形成されているのかが、体験的に理解されるようになる。
そして観察精度が上がると、引きずられる形で、本人のデザインの精度も高まってゆく。デザインに限らず、スポーツや料理においても、模倣は基本的な上達法だが、そのポイントはまず観察を通じたイメージ精度の向上にある。
」
#なるほど!
p.74
「
デザインしなければならないのは、モノそのものではなく、それを通じて得られる経験だ。
」
p.195
「
ネイティブ・インディアンの成人の儀式(ビジョン・クエスト)の一つに、“自分の場所を探す”というものがあると聞いたことがある。
父親が子どもをよるの山へ連れて行き、「山の中で自分に心地よい場所を見つけ、そこで一晩を過ごして、朝になったら降りてきなさい」と伝え、毛布と水を手渡して別れるのだそうだ。
この夜、子どもが見つけ出すのはたぶん単なる場所ではなく、“どういう場所を自分は心地よく感じ、安心できるのか”という、価値観のゼロ地点だろう。その基準が明確であれば、人生のあらゆる場面でそれは機能するにちがいない。将来、家を建てる場所を選ぶ時にも、人間関係のただ中においても。
」
p.208
ファインモールド 鈴木社長の話
「
10人を超えたらダメですね。売り上げも意識せざるを得なくなる。好きなことを続けたければ、会社は大きくしないほうがいいです。6〜7人くらいが、ちょうどいいんじゃないですか
」
↓
これくらいのサイズだったら、互いが何を考えて何を作っているのか、という仕事の全体像をごく自然に把握できる現場がある。
p.218
「仕事の解像度を上げるために、心がけていることは?」
↓
アニメーター 森本晃司氏
「自分がとことん馬鹿になれることを、忘れないことです。馬鹿をやれることを大事にする。もちろん自分だけでなく、馬鹿をやれる人についてもですよ」