リカルド・セムラー『奇跡の経営 一週間毎日が週末発想のススメ』
- 作者: リカルド・セムラー,岩元貴久
- 出版社/メーカー: 総合法令出版
- 発売日: 2006/01/24
- メディア: 単行本
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取り上げられているセムコ社は、ブラジルで学生に最も人気の高い企業で、急成長。革新的な経営方針と経営手法でビジネススクールのケーススタディでもよく取り上げられているそうな。一言で言うならば、「大切な週末を、仕事に侵食されるのと逆に、貴重な遊びの時間やプライベートな時間、家族との時間を、平日の仕事の時間に持ち込む」ということ。とっても理想的。家族との時間のとり方をどんなふうにすべきなのか、仕事とは人生の中でどういう位置づけなのか、そういうのを考えていくと、この会社での働き方はいいな、と思うよ。ただ、会社でマネジメントをやっている立場から言えば、「平気?」と思う(笑)「こんな会社、可能だろうか?」いろいろ考えちゃいます。
ちょうど今、保育園がインフルエンザで、登園自粛だったりして、「じゃあ誰に預けるのさ!?」と思ったりしている時期だったので、いろいろ考えさせられました。
本気で子ども手当てってやるの?お金とかじゃなくて、もうちょっと病児保育の仕組みを整えるとか、保育園で平日に予防接種を受けられるようにするとか、そういうのの方がやってほしいのですが…。お金を配る以外にやれることないの?
以下、メモ。
セムコ社:
- セムラー氏が21歳で父親から受け継ぎ、大胆な組織改革によって急成長を遂げた、ブラジルで学生に最も人気の高いコングロマリット企業。
- 6年間で売上が3,500万ドルから2億1,200万ドルに成長。
- 革新的な経営方針と経営手法が、ビジネススクールのケーススタディーに多く取り上げられる。
p.12-13, 16
「週末はどこへ消えた?」
↓
「一週間毎日が週末発想(Seven-Day Weekend)」
- 大切な週末を、仕事に侵食されるのと逆に、貴重な遊びの時間やプライベートな時間、家族との時間を、平日の仕事の時間に持ち込む
- 「仕事=心から楽しく、幸せで自由なもの」
p.28-29
セムコ社:
- 組織階層がなく、公式の組織図が存在しない
- ビジネスプランも、企業戦略、短期計画、長期計画もない
- 会社のゴールやミッションステートメント、長期予算がない
- 決まったCEOが不在ということもよくある
- 副社長やCIO、COOがいない
- 標準作業を定めていなければ業務フローもない
- 人事部がない
- キャリアプラン、職務記述書、雇用契約書がない
- 誰もレポートや経費の承認をしない
- 作業員を監視、監督しない
p.31-32
「
社員は、自分の興味と直観に基づいて、仕事やプロジェクトを選択します。われわれは、社員に会社の目標を達成することを試みる前に、自分のやりがいと満足感をもとめるよう言ってあります。
(略)
仕事におけるデモクラシー(民主制)は、単に崇高なコンセプトというだけではありません。実際に、業務を遂行するにあたってメリットがあるのです。わたし達は、生活や文化のあらゆる側面で、デモクラシーをもとめています。私生活や銀行、子供の学校、家族や友人の間では、人は一人前のおとなとみなされているのに、それが職場になると突然、半人前の若者のように扱われてしまうのはどうしてなのでしょうか?
なぜ自分達のリーダーを選ぶ場に、社員は参加できないのでしょうか?
なぜ、社員が自らを管理してはいけないのでしょうか?
もっと主張したり、挑戦したり、質問をぶつけ、オープンに情報を共有することがどうしてできないのでしょうか?
」
p.199
「
ミッションやクレドが、まったく意味のないものだとすれば、一体なにが重要なのでしょう?実は、ほかに重要なものはたくさんあります。自分達がなんのためにあるのか?ということを見つめなおすことからはじまって、自分達のやっていること、これまでの実績、社会からの評価、そしてこれまでの成功体験を客観的に見ていけばいいのです。
」
p.339
「
さて、ここまで触れてきた「直観」、「幸運」、「失敗」、「セレンディピティー」。これら4つは、ビジネス上最も大切なコンセプトです。しかしながら、ほとんどの会社では、「コントロール」という壁が障害となり、これら4つとかけ離れた経営をしています。
目を見開いて、冷静に考えなさい!と申し上げたい。そして、直観と幸運、失敗、セレンディピティーに注意を向けるのです。もし、コロンブスやニュートンから何かを学ぶとすれば、これら4つこそが、グッドカンパニーからエクセレントカンパニーになるための本物の方程式だということです。
」