P・F・ドラッカー『チェンジ・リーダーの条件』


何だか、読む機会が増えてきたぞ、ドラッカー。おもしろいのですけどね。常に問わなければならないのは、「われわれの事業は何か」。

われわれの事業は何か:
企業の成功は、つねに「われわれの事業は何か」をはっきり問い、その問いに対する答えを熟慮のうえ明確にすることによってもたらされる。(p.33)

何をすべきか、何をすべきでないか、を決めてすべての行動をすべきこと。これ、言うのは簡単だけど難しい。「何をすべきか」はわかるけど、「何をすべきでないか」を決めてそれを守るのは簡単ではないよなぁ。日銭を稼ぐ、という意味で、受注仕事をとったりとか、そういうのもしちゃうもんな…。
以下、メモ。

p.ii
マネジメントの役割:
情報を知識に転換し、その知識を行動に具体化すること

p.23
マネジメントの役割:

  1. 組織に特有の使命すなわち目的を果たすこと
  2. 組織に関わりのある人たちが生産的な仕事を通じて生き生きと働けるようにすること
  3. 自らの組織が社会に及ぼす影響を処理するとともに、社会の問題に貢献すること


p.27

利益は、企業と企業活動にとって、目的ではなく制約条件である。利益は、企業の活動や意思決定にとって、原因や理由や根拠ではなく、その企業の活動の妥当性を判定する基準である。


p.28

企業の目的は、それぞれの企業の外部にある。企業は社会の機関であり、その目的も社会にある。企業の目的の定義は一つしかない。それは、顧客を創造することである。


p.33
われわれの事業は何か:
企業の成功は、つねに「われわれの事業は何か」をはっきり問い、その問いに対する答えを熟慮のうえ明確にすることによってもたらされる。

p.38
目標を具体化する:
事業の定義は、目標に翻訳しなければならない

  1. 「われわれの事業は何か。何になるか。何でなければならないか」という問いから、具体的な目標を導く必要がある。抽象的であってはならない。
  2. 行動のために目標はある。仕事のターゲットと割り当てにそのままつながるべきもの。
  3. 資源と行動を集中させるために目標を作る。
  4. 目標は1つではなく、複数あるべき。
  5. 目標は、事業の成否に関わるすべての領域について必要である。


p.40
目標が必要とされるのは8つの領域:
マーケティングの目標、イノベーションの目標、人的資源の目標、資金の目標、物的資源の目標、生産性の目標、社会的責任の目標、必要条件としての利益の目標


目標は絶対のものではない。方向づけである。拘束ではない。献身である。未来を決めるものではない。未来をつくるべく資源を動員するための道具である。


p.162
何を目標とすべきか:

  • 社長から工場の現場管理者、事務主任にいたる全員が、明確な目標をもつ必要がある。
  • 自らの部門が生み出すべき成果が明らかな形で、目標にしなければならない。
  • 他の部門の目標達成を助けるために、自らや自らの部門が期待されている貢献を明らかにしなければならない。
  • 自分の目標を達成するうえで、他の部門からいかなる貢献を期待できるかを明らかにしなければならない。つまり、最初の段階からチームワークとチームの成果を重視しなければならない。


p.163
注意すべきこと→キャンペーンによるマネジメントは失敗する:
他のあらゆることを犠牲にして、仕事の一部だけを強調する結果に終わり、役に立たない。


p.164
注意すべきこと→:一人ひとりの目標を明らかにする
上位部門の目標設定を知り、そのうえで、部下に何を期待し、どれだけ厳しい要求を課すことができるか」を知ることが必要。


p.176
人事に共通する4つの原則

  1. ある仕事につけた者が成果をあげられなければ、人事を行った自分の間違いである。
  2. 責任感のある者が成果をあげられるようにすることは、マネジメントの責任である。
  3. あらゆる意思決定のうち、人事ほど重要なものはない。
  4. 人事には避けなければならないことがある。例えば、地位の高い新人には、何を期待されているかが明らかで、しかも手助けしやすい仕事を与えなくてはいけない。


p.204
「ビジョン」を実現する:
「経済、市場、知識におけるいかなる変化が、わが社の望む事業を可能とし、最大の経済的成果を可能にするか」との問いがビジョンんお基礎となる。


p.209
ビジョンの実現には、全人格的な献身が必要とされる。「そのビジョンを心から信じているか。本当に実現したいか」「本当にその仕事をしたいか。本当にその事業を経営したいか」ということ。

p.210

未来に何かを起こすには、勇気を必要とする。努力を必要とする。信念を必要とする。その場しのぎの仕事に身を任せていたのでは、未来はつくれない。目の前の仕事では足りない。(略)
もちろん、企業に働く者は、狂信的であることはもちろん、熱狂的であってもならない。起こることは望めば起こるというものではなく、たとえ起こるように最大の努力を傾けたからといって、必ずしも起こるものではないことを認識しておかなければならない。(略)
未来において何かを起こすために働く者は、「これが本当に望んでいる事業だ」と胸を張って言うことができなければならない。