橋本治『橋本治という行き方』


橋本治は何だかよくわからないけどけっこう読む作家さん。源氏物語の桃尻語訳をやったり、古事記をわかりやすく解説しようとしていたり、そういう古典を蘇らせようとしている仕事に興味あり。読んでみようかなあ。「教養」について書いているところがあり、そこらへんがおもしろかったな。

p.106
私は、「教養」というものを「料理の材料」と思って、大学というところを、「ちゃんとした料理の仕方を教えるところ」と思っていた----入ってから、「そう思わないと意味はないな」と思うようになった。それ以外に考えようがないのだが、どうも多くの人はそう思っていないらしい。「教養」というものを「調理された料理」と思っていて、大学というところを「料理を食べるところ」くらいにしか思っていない人が、いくらでもいる。そういう人たちが「教養という考え方自体が強迫観念だ」と思うのだとしたら、それは、よほどまずい料理ばかりを食わされた結果だろう。「料理というのは自分で作るものだ」と考える人にとって、こんな不思議な拒絶はない。