齋藤孝『齋藤孝の相手を伸ばす!教え力』
- 作者: 斎藤孝
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2004/04/17
- メディア: 単行本
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タイトルがあまりに安易で買おうかどうか悩みましたが、買ってしまいました。でも、カリキュラムを作るのに参考になりそうな本だったのでよかったと思います。いちばん良かったのは、「教える側の人間は生徒の何倍もの速度で学び続けるべき」という言葉でしょうか。本当、その通りだと思います。
以下、メモ。
p.20
「
学ぶ側の意識を高めるためには、当然、「説明」も必要です。
しかし、相手を上達させるためには、「練習させる」ことが重要です。
練習して、先生の持っている知識や技を身につけていく。教える立場から言えば、練習をさせて、自分の知識や技を「移して」いくわけです。ですから、私は、教えることの中心は、練習メニューをやらせることにあると考えています。
」
「
「日本人は教えられに来たがる」(略)それはつまり、教室に「いる」時間だけを練習だと思っている、ということです。しかし、中国では、先生と一緒に過ごす時間を「自分が一人で練習をするためのヒントをもらう時間だ」と考えているのだそうです。
」
p.22
「
苦しい、楽しいという問題は、教えるということにとっては、二次的な要素なのです。それよりも学ぶ側に充実感が生まれるかどうかが大事なのです。やっているときには多少苦しい、けれども充実感があり、ったときには楽しい。それがノーマルな教育です。
」
p.23
「
「自由に考えてごらん」「自由にやってごらん」という授業はよくありますが、自由に考えている時間というのは、私は実は無駄な時間だと思っています。それよりも、「とにかく答えを出せ!」「アイディアを出せ!」という強いミッションを与えるほうが、教わる側も充実する。
それが達成できたときの充実感、あるいは達成しようと努力している最中の充実感を与えることこそが「教える」行為なのです。
」
p.34
教えることの目標=
・相手を上達させること
・「練習メニューをやらせる」ことが中心となる
↓
「
優れた練習メニューを、繰り返し、飽きさせずにやらせることができれば、学ぶ側は間違いなく上達するのです。
」
練習メニューをやらせるために必要な5つの力
・憧れる力
・評価力
・テキスト力(素材力)
・ライブ能力
+
自立に必要な
・育てる力
p.58
憧れる力
↓
「
何かに向かって突き進んでいるベクトルの方向性と量、これが相手を刺激するのです。「教える」ということにおいては、インスパイアする、刺激するというのが大切なのです。
」
p.62
教える側の人間は生徒の何倍もの速度で学び続けるべき
「
大事なことは、教える側も現在進行形で学び続けている、それも常に学ぶ側の何倍もの速度で学び続けている、ということなのです。
」
p.66
「
自分の子どもの場合でも、やはり自分自身が楽しんでいる、そのこと自体がいまでも好きなんだ、というものを教えるのがよいでしょう。勉強しなさいと言っているけれども、自分は勉強なんて絶対やりたくないと思っている。となると、やはり、よい教育関係にはなりません。
」
p.76
「
自分自身に憧れさせるのが無理なケースもありますね。でも、「俺に憧れる必要はない。憧れるベクトルに憧れてくれればいい」と考えるのです。
」
p.89
「自己客観視能力」は評価されることによって育つ
「
もちろん、誰でも弱いところを指摘されたらいやな気持ちになります。けれども、きちんと評価を受け入れて、自分を客観的に見られる「自己客観視」と言う能力は、評価されることによって培われるものです。
」
p.92-93
学ぶ側の上達を早める「評価力」の本質
レベル0
学ぶ側の良いところ悪いところを見抜くことができない
↓
レベル1
学ぶ側の良いところ悪いところを見抜くことができる
↓
レベル2
事態を改善するためのコメントができる
事態を改善するための練習メニューを与えられる
↓
レベル3
自分の評価力を学ぶ側に移すことができる
→学ぶ側自身が、自分で自分を伸ばせるように。
・第三者を一緒に評価したり、悪いものを評価させたり(p.110-111)
p.107
コメント力がないとただの「分析屋」
p.122
オリジナルのテキスト(素材)が学ぶ側の感動を呼びおこす
p.141
「
ある程度パターンが同じで、しかも内容が違うものをやるというのはひとつのコツなのです。
(略)
量的な積み重ねが質的な変化をもたらすので、量を用意できるということは、テキスト選びにおいて重要なことです。レベルを見極めて、ある程度同じレベルで、粒ぞろいのテキストを揃えられれば、何回分かのカリキュラムが一気に立てられます。
」
p.144
「
よいテキストが見つけられたからといって、いざ教える段階になって、ただテキストを渡すだけでは何も起きません。現場での基本的な段取り、シナリオというものを押さえておく必要があるでしょう。
教える事柄によって、多少の違いはあると思いますが、私が基本として考えるのは、次のようなものです。
1)アウトライン(目的やねらい、ゴール)を説明する
2)やらせてみる
3)見本(お手本)を見せる=違いを認識させる
4)もう一度やらせる
5)反復練習させる
p.147
自分がやったことと見本(プロのもの)を比較させる
=絶対失敗しない教え方の王道
・学ぶ側に「気付き」を作ること!
p.202
「
いつまでも「教え込む」というイメージでいますと、教え込んだことはできるけれども、教えていないことはできない、という人になってしまいます。伸びがありません。
あることを教えたとします。そうしたら、それを応用して、他のことまでもできるようにしてあげる。上達のパターンをつかませるのです。
あることを通して、普遍的に通用する上達のパターンを教える。これが、自立をさせるための教え方です。
」
p.205
「
成功体験を積み重ねて、勝ちパターンを認識する、というのが育つということですから、教える側は勝ちパターンをわからせることを目標にしましょう。
」
p.210
「
同質の練習を大量に課すことで、学ぶ側はその事柄を完全に身につけ、自然に次のステージに行くことができる。次のステージへ行ったら、質的に違う練習メニューを与えればよい。
」