ラフ・コスター『「おもしろい」のゲームデザイン 楽しいゲームを作る理論』

「おもしろい」のゲームデザイン ―楽しいゲームを作る理論

「おもしろい」のゲームデザイン ―楽しいゲームを作る理論


MMORPGの開発者ラフ・コスター(Raph Koster)氏によるゲーム作り理論。*1ゲームと学びには近いところがあると思っているので、そういう視点で勉強。

良いゲームとは「プレイヤーがやめようとする前に、与えなければならないものはすべて与えてしまえるゲーム」と定義できます。
つまるところ、これこそが、ゲームとは何かの答えになります。つまり先生(教える人)です。おもしろさとは単に、学ぶことの別名なのです。(p.50)

そうそう。本当ですね。
その他、ゲームの設定って古くない?という問いかけもおもしろかった。曰く、

人間が持つ本性としては時代遅れの遺産となりつつあるにもかかわらず、現状でゲームが推し進める傾向にある、基本的な人間性を検討すると、いかにあげるようなものが浮かび上がります。(p.74)
・指導者たちや宗教に対する絶対服従
・変化のない厳格な階級制度
・二者択一の考え方
・問題を解決する手段としての力の行使
・似た者同士への好意と、その逆の、異国人への嫌悪

そういやそうだなあ、と。基本的な人間性をベースにして、デザインされているゲームという業界は、教育業界のお手本になるところたくさんありそうですものね。
以下、いろいろとメモ。

p.50「
良いゲームとは「プレイヤーがやめようとする前に、与えなければならないものはすべて与えてしまえるゲーム」と定義できます。
つまるところ、これこそが、ゲームとは何かの答えになります。つまり先生(教える人)です。おもしろさとは単に、学ぶことの別名なのです。」

p.74「
人間が持つ本性としては時代遅れの遺産となりつつあるにもかかわらず、現状でゲームが推し進める傾向にある、基本的な人間性を検討すると、いかにあげるようなものが浮かび上がります。
・指導者たちや宗教に対する絶対服従
・変化のない厳格な階級制度
・二者択一の考え方
・問題を解決する手段としての力の行使
・似た者同士への好意と、その逆の、異国人への嫌悪」

p.98
ゲームデザイナー マーク・ルブラン(Marc LeBlanc)による定義
おもしろさを8つの形式に分けて定義:
感覚刺激 sense-pleasure
見かけ make-believe
芝居 drama
妨害 obstacle
社会的な枠組み social framework
発見 discovery
自己啓発と表現 self-discovery and expression
放棄 surrender

p.98
ニコール・ラザロ(Nicole Lazzaro)
プレイヤーの表情で観される感情を4つのまとまりに分ける
強烈なおもしろさ hard fun
穏やかなおもしろさ easy fun
変わりゆく状態 altered states
人的要素 people factor

p.98
Raph Kosterの分類
・「おもしろさ(Fun)」とは、課題を精神的に習得する行為を指します。
・美しい外観(Aesthetic appreciation)とは、常におもしろいわけではないが、確かに楽しめるものを指します。
・本能的反応(Visceral Reaction)とは、課題が物理的な習得に関連していて、一般に肉体的なものを指します。
・いろいろな種類の「社会的地位の演習(Social status maneuver)とは、自己像に対する本音であり、共同体内での立場のことです。

これらのことすべてが、どれも、それに成功すれば、良い気分にしてくれます。

p.110
ガードナーの7つの知性
語学的知性、論理数学的知性、身体運動的知性、視空間的知性、音楽的知性、対人的知性、人間内的知性

p.100
もっとも顕著な、感情を上下するもの:
・他人の不幸を見る喜び(Schadenfreude)=競争相手がしくじったときの小気味良い感じ。
・勇猛さ(Fiero)=十分な作業を達成した時の勝利感の現れ。
・誇りに思う(Naches)=指導している誰かが成功を始めた時に得られる感覚。
・自慢だ(Kvell)=指導している誰かについて自慢したとき感じる感情。
・見繕い(Grooming behavior)=相対的な社会的地位を表すのに使われる親密度を示す合図。
・他の人々を養う(Feeding other people)=人間社会の中で重要な社会的な自己表現。

p.144
「20歳までに左翼運動に傾倒しない人間は情熱が足りない。20歳を過ぎて左翼運動に傾倒している人間は知能が足りない」(ビスマルク?クレマンソー?)

*1:ラフ・コスター氏のことは知らなかったので、ググってみたら、いろいろ出てくる。GDCで講演していた[http://www.4gamer.net/games/000/G000000/20070907004/:title=「ラフ・コスター氏「どこでも遊べるゲーム作り」を提唱」]の記事とかおもしろかった。ここではゲームの文法が紹介されています。