クリス・アンダーソン『メイカーズ 21世紀の産業革命が始まる』

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる


3Dプリンタについては、周囲で実はけっこう話題になっていて、何かワークショップで使えないかな、くらいに思ってたんだけど、この本を読んで、確かにますます「自分たちでいろいろ作れる時代になるんだな」と感じた。ブログとかが簡単にできるようになって、放送網など持たないマスではないメディアがたくさんできて、自分で情報を発信しても、実力さえあればそれがたくさんの人に届くようになったのと同じように、今度は工場を持たなくても、自分でいろいろと作れるようになる時代なんだなあ。しかも、デザインとかはデジタルデータで共有すればいいのだものね。実際、3Dデザイン共有サイトのシンギバーズThingiverseとかもあるらしいですよ。
本の中でも紹介されていた、ドールハウスのセットにはない家具を作ることができる。LEGOのセットにはない武器のアクセサリーとかも作れる。それがレゴの生態系を作って、レゴのスター・ウォーズシリーズは卒業したけど、ミリタリーオタクに育っている大人たちをお客さんとしてつかまえておける。だから、LEGO本体が作っているわけではないそれらのメイカーズたちの商品を黙認する。うーん、おもしろいなあ。

レゴの周辺に「補完的な生態系」ができている。

などが、レゴの公式フィギュアをカスタマイズするためのステッカーから特注のレゴサイズのキャラクターまでありとあらゆるものを製造している。

おもしろいなあ。そして、こういうことができるようになると、大量生産で人件費が安いから工場が外に出ていく、という状況は変わっていくはず。フォーブズ誌の発行人、リッチ・カールガードが言っているらしい、

「3D印刷は、もの作りの経済を、大量生産から、3Dプリンタを使った小さなデザインショップによる職人モデルへと回帰させる可能性を秘めている。言い換えると、もの作り、リアルなもの作りが、資本集約型の産業から、芸術とソフトウェアのようなものへと移行するかもしれないということだ。そして、この流れは、創造性に優れたアメリカに味方するに違いない。(p.114)

創造性を持ってさえいれば、iPodのコアになるデザイン部分が「Designed by Apple in California」と書かれているように、その国に富がちゃんと落ちるのだろうな。いや、おもしろい本でした。
以下、いろいろメモ。

p.80
いまなら3Dプリンタがあるから、ドールハウスの家具を自分で作ることもできる。

Thing-O-Matic。
http://www.makerbot.com/blog/

3Dデザイン共有サイトのシンギバーズThingiverse
http://www.thingiverse.com/

p.114
フォーブズ誌の発行人、リッチ・カールガード
「3D印刷は、もの作りの経済を、大量生産から、3Dプリンタを使った小さなデザインショップによる職人モデルへと回帰させる可能性を秘めている。言い換えると、もの作り、リアルなもの作りが、資本集約型の産業から、芸術とソフトウェアのようなものへと移行するかもしれないということだ。そして、この流れは、創造性に優れたアメリカに味方するに違いない。

とはいえ、3D印刷やその他のデジタル製造技術には、できないこともある。規模の経済が働かないことだ。

マインドストームの動画検索

p.133-134
ギークダッド株式会社 http://www.wired.com/geekdad/
DIYドローンズ

p.230
クァーキー Quirkyのモデル=お金の賭かった人気投票
→それぞれが自分の好きな部分をできる。デザインだけに参加もできるし、コピーなど文章系のタスクで貢献する人もいる。

p.246-
レゴのロングテール
レゴには20世紀の平気のパーツはない。でも、それも3Dプリンタで作れる。
大人たちも楽しめるようになる。レゴも黙認。レゴの周辺に「補完的な生態系」ができている。
ブリックアームズ http://www.brickarms.com/
ブリックフォージ http://www.brickforge.com/
ブリックスティックス http://www.brickstix.com/
 などが、レゴの公式フィギュアをカスタマイズするためのステッカーから特注のレゴサイズのキャラクターまでありとあらゆるものを製造している。