スティーブン・R・コヴィー『子どもたちに「7つの習慣」を』

子どもたちに「7つの習慣」を―リーダーシップ教育が生み出した奇跡

子どもたちに「7つの習慣」を―リーダーシップ教育が生み出した奇跡

  • 作者: スティーブン・R.コヴィー,フランクリンコヴィージャパン
  • 出版社/メーカー: キングベアー出版
  • 発売日: 2009/02
  • メディア: 単行本
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学校向けにカリキュラムとして提供されている「7つの習慣」について、改めて勉強してみようかな、ということで読んでみました。いくつかの学校をケースとして、どのように導入されていったのか、ということが書かれています。
「7つの習慣」については、以下のようなものです。
第一の習慣:主体性を発揮する
第二の習慣:目的を持って始める
第三の習慣:重要事項を優先する
第四の習慣:Win-Winを考える
第五の習慣:理解してから理解される
第六の習慣:相乗効果を発揮する
第七の習慣:刃を研ぐ
で、これを子ども達がどう使いこなしているのか、という話。導入の時に、両手を挙げて歓迎されたわけでは当然ないようで、やっぱりいろいろあった、という苦労話もあり。

さらに、この方法が教師たちにも好評なのは、“教えなければならない事がまた増える”のではなく、“もっと効果的に教えるための方法”を提供するからにほかならない。(p.7)

あ、そうそう。これは本当に大事だよなあ。結局、やることがたくさんあるうえに、「また増える」という感じをどうなくすか、ということであり、届け方なんだろうなあ、と思います。
導入校のテキサス州テクサーカナ、ナッシュ小学校校長バーティー・ノートン氏によるコメントも、正しいよなあ。こう思わせるためにどうするのか。考えねば、ですよ。

「これは、“教えなければならないことがまた増える”のではありません。私たちが前から教えてきたことをもっと効果的に教えるための方法なのです。」(p.57)

うちの会社で提供しているカリキュラムだって、そんなに悪くないと思うんだよな。「どう届けるか」を考える。考える。考える。
以下、メモ。

p.ii
「7つの習慣」は子供のみならず、私自身にも良い影響を与えてくれました。あるとき、私は息子に、「あなた、聴いていないじゃない。主体的じゃないわよ」と言おうとしました。ところが、息子がこう反論したんです。「ママこそ僕の話を聞いてくれてないじゃないか。反応的だよ」 それで私、ハッと気づいたんです。「なんとまあ、私のほうなんだ」ってね。つまり、お互い様なんです。私たち親子には有効でした。本当です。

    • ミーガン・メイ(カナダ、アルバータ州メディシンハット、クレストウッド小学校保護者)

p.7「
さらに、この方法が教師たちにも好評なのは、“教えなければならない事がまた増える”のではなく、“もっと効果的に教えるための方法”を提供するからにほかならない。

#こういうふうに繋がればいいよな。

p.12「
この2、30年の間、世の中はある種の知識を持った特定の人たちのものであった。コンピュータ・コードを操るプログラマー、巧みに契約を作り上げる弁護士、ビジネスの数字をバリバリ処理するMBA取得者などである。
だが今、これからの世界で成功を収める上でカギを握る要素は変わりつつある。

    • ダニエル・ピンク(『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考えだす人の時代』)三笠書房刊より)

p.14-15「
第一の偉大さはすべての人に開放されたものであり、誰でも獲得でき、一部の人によって独占されることはない。人の持つ誠実さ、職業倫理、他人への接し方、動機、即戦力の程度によって決まり、人格、貢献、才能、創造性、自制心にも依存する。人の所有物や一時の業績ではなく、その人の”普段”の人となりなのだ。第一の偉大さを測るには、他人との比較ではなく、変わることのない普遍的な原則を実践しているかどうかが重要になる。つまりは謙虚さなのである。

我々が子供たちの試験の成績を上げることのみに汲々としていたら、テストで良い点を取る方法しか見につけていない世代を作り出すことになりはしないでしょうか。

    • ミュリエル・サマーズ(A・B・Combs小学校校長)

第一の偉大さは、第二の偉大さに先行したり、それを誘発したりする場合がある。つまり、第一の偉大さを持つ人がゆくゆく第二の偉大さを兼ね備えるわけだ。そうかと思えば、第二の偉大さのみ存在することもある。第二の偉大さはあっても、第一の偉大さはかけらもない人がいることは誰もが知っているところだ。また、第一の偉大さはありながら、第二の偉大さはまったく身につかないという人も多い。さらに、第二の偉大さが人目につくのを嫌がる人さえいる。
第一の偉大さのことが私の脳裏から離れないのは、これこそがビジネス・リーダー、親、そして教育者たちがそれぞれ社員、子供、生徒たちに備えてほしいと思うものだからである。

p.18
自分の人生に責任を持ち、他人と効果的に協力し、見守ってくれる人がそばにいなくても正しい行動ができる子供を育てることがリーダーシップ原則のねらい
#これ、いい感じにまとまっているなあ。

p.23-27
学校で成果を達成する上で不可欠な条件:
(1)これらの学校で教えている「リーダーシップ原則の普遍性」。教える原則は基本的に同じだが、実践方法は学校によって異なり、まるで違うやり方にもなる。
(2)「子どもの普遍性と独自の潜在能力」。
(3)「これらの学校で教えられている原則や手法はそのまま家庭にも応用できる」
#Mind Labだってそんなに遠い話じゃないじゃないか…悔しいな。

p.30
「悪の葉っぱに斧を向ける人は千人いても、根っこに斧を向ける人はひとりしかいない」(ヘンリー・デイヴィッド・ソロー)

p.34-37
7つの習慣
第一の習慣:主体性を発揮する
第二の習慣:目的を持って始める
第三の習慣:重要事項を優先する
第四の習慣:Win-Winを考える
第五の習慣:理解してから理解される
第六の習慣:相乗効果を発揮する
第七の習慣:刃を研ぐ

p.43
アジアの親たちは、以下の4つの領域を中心に子どもの教育への懸念を強めることとなった。
1.テクノロジー
2.グローバル・スキル
3.分析力とライフ・スキル
4.アジアの価値観

p.52
学校が教育してくれたらありがたいリスト:
・(口頭および文章による)コミュニケーション・スキル
・正直、誠実
・チームワーク・スキル
・対人関係スキル
・自発性、率先力
・確固たる職業倫理
・分析スキル
・技術スキル
・組織スキル
・創造力
(ダニエル・ゴールマン、アニー・マッキー、リチャード・ボヤツィス著『EQリーダーシップ』

p.57
「これは、“教えなければならないことがまた増える”のではありません。私たちが前から教えてきたことをもっと効果的に教えるための方法なのです。」
バーティー・ノートン(テキサス州テクサーカナ、ナッシュ小学校校長)

p.64
心の安らぎは生徒たちの表情や行動、更にはテストの点に現れる。そして、心が安らぐのは、以下の四つの基本的欲求が満たされたときだ。

・肉体的欲求:安全、健康、食物、運動、住居、衛生
・社会・情緒的欲求:受け入れられること、優しさ、友情、愛し愛される願望
・知的欲求:知的成長、創造性、刺激的な課題
・精神的欲求:貢献、意味、独自性

p.87「
A・B・Combsのリーダーシップ(人格と能力の両方を含む)の指導方法は違う。「7つの習慣」「品質原則」その他のリーダーシップ原則が全活動、全教科に組み込まれているため、リーダーシップが毎日教えられ、しかも実にさりげなく、また予告なく行われるのだ。こうした教育は幼稚園から始まり、「7つの習慣」や基本的な品質原則の指導が、楽しく、しかも本格的な方法で学年を通して反復される。7つの習慣または品質改善ツールのいくつかを集中的に教えるねらいから、独立の単元に原則を盛り込むこともあるが、通常はいろいろな教科やクラス活動に組み込まれている。

p.96
「国家は、その国民が子どもの頃に思った姿になる。国家の理想が形作られ、目標が明確に定められるのもその時である。」
ジェームズ・A・ミッチェナー(作家)

p.106-108
A・B・Combsが取り入れている教育分野の最新の研究成果や手法:
・厳しさ、関連性、そして関係
 ウィラード・ダゲットの著作に基づくもので、問題プリントより実社会の問題を用いるところがポイント。
・優れた学校に共通する七つの特長
 ラリー・ロゼッテの著作および“効果的学校運動”をベースにしたもの。明確かつ重点的なミッション、安全で秩序ある環境、期待を高く持つ姿勢、生徒の進度の頻繁なモニタリング、家庭と学校の良好な関係などを含む。
・脳研究
 ハワード・ガードナーの多重知能に関する研究うに依拠。
・55の大切なこと
 子どもの思い出作りを重視し、向学心を植えつけ、自尊心や何でもできるという自信をもたせる方法を説く。
・教師のための学習コミュニティ
 リチャード・デュフォーロバート・エーカーの手法は、生徒の学習、協調的なチームワークと能力開発に教育者たちが団結して取り組むことの重要性を指摘する。
・心の知能指数
生徒が何事も100%のエネルギーと能力で取り組むよう訴える。

p.120
A・B・Combsでは、一気に導入はしなかった。まず、各学年1人の教師だけがリーダーシップ教育を担当した=試験的導入
 →効果がみられるようになり、賛成派が増えてきた。

p.199「
恩恵を受けているのは生徒と親だけでないことは言うまでもない。クリスティーが指摘するように、「私たちの関心は当初から、習慣が子ども達にどういう効果をもたらすか見ることにありました。でも、早い時期に気づいたのです。本当に変わりつつあるのは生徒やその親たちよりも、我々教職員のほうだと。それまで見たこともなかった才能を彼らが発揮し始めたのです。

p.213
シンガポールでは、教育者も国家理念も「7つの習慣」に前向きな姿勢を示している。

p.226「
中学や高校の多くでは、カリキュラムに余裕がない上にその構成方法も異なるため、小学校のように「7つの習慣」を学校文化に組み込むことはしていない。その代わり、選択科目として既存のコースにはめ込むか、または新入生オリエンテーションなどの学校行事の一環として実施している。ところが、その例外として異彩を放つのが、シカゴのノーブル・ストリートチャータースクールだ。

http://www.noblenetwork.org/Home/tabid/36/Default.aspx

p.228
1年生の文学の授業で学び、一学期の最初に『7つの習慣ティーンズ』を読み、その後、学年を通して、責任ある生き方や抵抗に打ち勝つすべを説いた処世訓の本を読んでいく。
#そう、こういうふうに展開をしていくのはいいよね。

p.247
グアテマラの高校生が参加する、「夢へと至る道」プログラム
→有意義な人生設計を立てるためのもの。

p.274-300
ステップ1:信頼を呼び起こす
ステップ2:意義を見出す
 1.何をミッションとするか? 2.ビジョンは何か? 3.どういう戦略で臨むか 4.各人に何を期待するか
ステップ3:システムを想像する
 1.支持基盤の拡大 2.適切な人材配置 3.指導方法 4.表彰制度
ステップ4:力を解き放つ

p.306-307
教育学の権威ロバート・マルザノは自らの著書『What Works in Schools』の中で、次の3つの原則を挙げ、今日の学校において変革を生み出し、維持するためにはこれらが不可欠と説いている。

原則一:新時代の学校改革は、改革は状況に即して行わなければならないという認識に基づいている。
原則二:新時代の学校改革ではデータが重視される。
原則三:新時代の学校改革は段階的に実施される。

p.324
「教えなければならないことがまた増えるのではない」

p.330
学校に対する最後の一言:
・全世界で個々の教師が生徒の潜在能力を、一度に一人ずつ解き放つ。
・すべての利害関係者が参加し貢献できるよう、学校をあげて努力する。
・もっとも重要な項目に照準を合わせて教える。
・今日の世界の現実に即し、明日の変化に備えるための普遍の原則やスキルを教えることに注力する。