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サイモン・シン『フェルマーの最終定理』

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フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)


フェルマーの最終定理」がいかに解決されたのか、というのを追いかけたノンフィクション。数学の証明に偏るでなく、スリリングでおもしろかった。

p.103
ディオファントスの墓碑銘に刻まれた謎:
このみ墓にディオファントスの眠りたまう。ああ、偉大なる人よ。
その生涯の六分の一をわらべとして過ごされ、十二分の一の歳月の後には
ほぼ一面にひげがはえそろい、その後七分の一にして華燭の典をあげたまう。
けっこんののち五年にして、ひとり息子を授かりぬ。ああ、不幸なる子よ!
父の全生涯の半分でこの世から去ろうとは!父、ディオファントス
四年のあいだ数の学問にてその悲しみをまぎらわせ、ついに生涯を閉じたまう。

ここからディオファントスの生きた年数を求めよ、というのが問題である。(答えは84歳)


p.131-132

ワイルズは怖いもの知らずの大胆不敵な子供だった。何世代もの数学者たちにできなかったことを、自分にできるかもしれないと思ったのだから。向う見ずな夢だと人は言うかもしれないが、年端のいかないワイルズが、20世紀の子供は17世紀の天才ピエール・ド・フェルマーと同じぐらい数学を知っていると考えたのは正しかった。ひょっとするとそんな素朴さが、常識的な人間が見落としていた証明にひょっこり出会わせてくれるかもしれないではないか。


p.169

  • 素数は自然界にも姿を現す。周期的に発生するセミ。ジュウシチネンゼミ、ジュウサンネンゼミ。
  • ライフサイクルの年数が素数であることには進化論的な利点がありそうだ。
  • 一説によると、やはり長いライフサイクルを持つセミの寄生虫がいて、セミはその年数を避けようとしているのではないかと言われている。
  • 寄生虫のライフサイクルと同じライフサイクルを避けないと、寄生虫とセミが同時発生してしまうから。
  • 寄生虫との同時発生を避けるための最良の策は、長くて、しかも素数のライフサイクルをもつことだ。寄生虫のライフサイクルが2年なら、ジュウシチネンゼミとは34年に1回しか周期が合わない。