クライド・プレストウィッツ『ならずもの国家 アメリカ』

ならずもの国家アメリカ

ならずもの国家アメリカ


アメリカって国は…。好きな国だけど、嫌いな国。嫌いって言っていたって、どっぷりアメリカナイズされてるじゃん、って感じではあるんだけど。
ヨーロッパの人も、アジアの人も、冷静にアメリカのことは見ているよね。中で紹介されている、フーゴ・パエメン元駐米EU大使の評価はまさに、その通り!という感じ:

国内には抑制と均衡のための素晴らしい制度があるのに、外交政策となると、あなた方は全く予測がつかなくなる。アメリカの振り子は一方に揺れたかと思うと、すぐさま反対に大きく揺れ動き、我々はそれに振り回されて、発言の機会すらなく、まして影響力を働かせるどころではない。アメリカの意図はたいていの場合、間違っていないにもかかわらず、その行動は無知とイデオロギーと特別な利害に影響されることが多く、我々他国の人間に重大な被害をもたらすことがある。これは実に憂慮すべきことだ(p.20-21)

以下、メモ。

p.20-21
アメリカについての評価(フーゴ・パエメン元駐米EU大使):
「国内には抑制と均衡のための素晴らしい制度があるのに、外交政策となると、あなた方は全く予測がつかなくなる。アメリカの振り子は一方に揺れたかと思うと、すぐさま反対に大きく揺れ動き、我々はそれに振り回されて、発言の機会すらなく、まして影響力を働かせるどころではない。アメリカの意図はたいていの場合、間違っていないにもかかわらず、その行動は無知とイデオロギーと特別な利害に影響されることが多く、我々他国の人間に重大な被害をもたらすことがある。これは実に憂慮すべきことだ」。


p.64
アンドリュー・シェン証券先物委員会委員長(香港):
「アメリカの価値観は、巨額の資産を好き勝手に使える場合にのみ威力を発揮する。アメリカ人が持っているものを他国の誰もが持てると考えるのは、頭がどうかしている。手始めに、誰もがアメリカ人のように消費することを考えてみればいい。恐るべき環境破壊が起こるだろう」。


p.230

アメリカ人でパスポートを持っているのは、たったの14%なのだから。多くの大学ではもはや外国語を卒業に必要な単位としてはいないし、最近の世論調査では、アメリカ人の87%が地図上でイラクの位置を示せなかった。


p.260

とりわけアラブ諸国とイスラム諸国は、今回のアメリカの姿勢がまたしても西洋のダブルスタンダードの一例であると受け止めた。またしても、明らかに重要なイスラエル-パレスチナ問題をさしおいて、それほどでもないイラクを先に叩くのか、と。イラクが国連決議を無視しているのが許せないなら、どうしてアメリカは同じことをしているイスラエルに何も言わないのか。イラクを攻撃する前に、どうしてアメリカは同じことをしているイスラエルに何も言わないのか。イラクを攻撃する前に、イスラエル-パレスチナ問題解決のために真剣な努力をすべきではないのか。そうすれば最終的にイラク攻撃が必要になったとしても、イスラム教徒はそれをイスラム教への攻撃、イスラエルのヨルダン川西岸地区とガザ地区の占領を支援する行為とはみなさないだろう、と。