ウィリアム・パンドストーン『ビル・ゲイツの面接試験』

ビル・ゲイツの面接試験―富士山をどう動かしますか?

ビル・ゲイツの面接試験―富士山をどう動かしますか?


マイクロソフトが展開しているおもしろい入社試験の本です。そこを出発点にして、自由な発想をするときのポイントとか、試験で人を評価することなどについて考えるきっかけになるかも。
何か、「悪の帝国」みたいに言われるマイクロソフトですけど、おもしろい会社ですよね、実は。

以下、メモ

p.28-29
ナリニ・アンバディ&ロバート・ローゼンソール(心理学者)の実験
・教師の授業の様子をビデオで録画、15項目にわたって評価

衝撃の実験結果!
・評価を受ける教師をまったく知らない人々が2秒だけビデオを見てした評価と、半期の授業に出席していた学生の評価とほとんど同じだった


人は人物について、二秒会っただけで即決の判断をするということらしい--その人物が言っていることによる判断ではない。最初の二秒の後に起こることが、判定者に第一印象を有意に修正させることはほとんどない。


p.82

マイクロソフトの採用にあたっての第一の目標は、「ビル互換機(クローン)」を採用することだ。これはゲイツと似た知能や強みをもった若い人を表す社内用語である。
(略)
マイクロソフトの社員とそうでない人々との間に通り抜けられない膜を生み出すのは、この採用哲学である。マイクロソフトは自らを、頭がとてもいい人々による会員制クラブだと考えている。このクラブの2つのしるしが、パズル面接とストックオプションである。


p.83

マイクロソフトの視点からすれば、パズルは知能だけでなく、本人の強みも検査する。商売やフットボール同様、論理パズルは世界を勝者と敗者に分ける。答えが出るか出ないかだ。上司や監督が言うように、勝てるかどうかは能力だけでは決まらない。ハングリーでなければならない。勝負にこだわらなければならない。


p.164-
レドモンド式面接用の戦略
※たくさんの記事やサイトで書かれているらしいです。

1)まず、どういう答えが期待されているか、はっきりさせる(頭の中で、あるいは対話で)
→いい答えからは、やりくりが存在することの自覚がうかがえる。

2)最初に考えたことは、どれも間違っている
→普通に考えて思い浮かぶような答えが正解ならば、パズルにはならない。

3)習った微積分は忘れよう
→企業の論理パズルを解くのに、普通は微積分なんて要らない。

4)大きくて複雑な問題には、ふつう単純な答えがある
→論理パズルは、単純な答えのある、難しい問題だ。

5)単純な問題は、複雑な答えを求めていることが多い。
→この手の問題は、必ずよく考え抜くこと。答えで大事なところをはずすと、減点要因に。

6)「完全に論理的な」存在は、ふつうの人間とは違う
→感情のことなんて忘れてしまえばいい。経済学の仮説みたい(笑)

7)壁にぶつかったら、自分の立てている前提を列挙しよう。その前提ひとつひとつについて、それを捨てればどうなるか、順に考えること
→リストをたどり、それぞれの前提の反対を順に前提してみるといい。

8)論理パズルで決定的な情報が欠けているときは、可能性のある筋書きを展開しよう。きっと、問題を解くには欠落した情報は不要であることがわかる。
→情報が欠落していると思うと、身動きできなくなってしまう。それを、橋がなければ泳がなければならない。けど、そんなに長いこと泳がなくてもいいかも。

9)可能なときは、相手が聞いたことのない、いい答えを出すこと
→正解のない、自由記述式の問題にはあてはまる。創造的な答えは目立つ。それが正解だと確信しよう。