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紺野登『知識デザイン企業』

知識デザイン企業

知識デザイン企業


「デザイン思考」というのにずーっと興味を持っていて、そんななかで最近は、SFCの井庭崇さんがやっている、「パターン・ランゲージ」というのに興味を持っていたんだけど、この本を読んでいたら、パターン・ランゲージを提唱しているクリストファー・アレグザンダーのことも紹介されていて、なんとなくいろいろなことが繋がり始めてきた予感。デザイン思考、メタ認知などと組み合わせてカリキュラムの中に入れられるものがないか、ちょっと熟成させていこうと思います。
以下、メモ。

p.159-161
無名の質(QWAN: Quality without A Name)についてのクリストファー・アレグザンダーの論:
7つの特性(アレグザンダー『時を超えた建設の道』)
1.生き生きとしていること Alive
2.全一的なこと Whole
3.居心地の良いこと Comfortable
4.捕らわれのないこと Free
5.(知識の)正確なこと Exact
6.無我であること Egoless
7.永遠であること Eternal

p.164-165「
われわれの熟練や学習、創造には、われわれがいかなる認知に基づいて判断や思考をするかが本質的に関わってくる。そこでノーマンは、人間の認知をただ2つのカテゴリーに分類することは危険だとしながらも、「体験的認知」と「内省的認知」によってわれわれの行為を理解することが重要だと考えた(D.A.ノーマン『人を賢くする道具』)。
「体験的認知」とは、知覚による処理のことである。たとえば、「われわれは特別な努力なしに効率よく周囲の出来事を知覚したりそれに反応したりできるような状態になる」といった、イベント駆動型のモードが、すなわち「体験的モード」である。
一方「内省的認知」とは、概念を扱う認知、プランニングのための認知である。「内省的モード」とは「比較対照や思考、意思決定の」モードで、「このモードにより新しいアイデア、新たな行動がもたらされる」とノーマンは言う。
そして、創造には、「体験的認知」と「内省的認知」が共に必要である。
ところが、現代社会は「体験的モード」に過度に傾斜しているとノーマンは指摘する。たとえば「現在の多くの機械とその使い方がうまくいっていないのは、体験的状況に対して内省のためのツールを、内省的状況に対して体験ツールを与えてしまっていることによる」混乱があるというのである。
本来、体験的認知には豊かな感覚刺激を与えるようなツールが、内省的認知にはアイデアの探究を促進するツールが必要である。ところが、じっくり考えねばならないテーマに対して、考えなくてもいいツールを提供してしまうといったことが、さまざまなところで起きている。たとえば、哲学をコミックで理解する、といった風潮などはその最たる例だろう。
なぜこのようなことが起こっているかといえば反射的でスピーディな体験的思考のほうが、処理が遅くて面倒な内省的思考よりも、多くの人に受け入れられやすいからである。早い話が体験的認知のほうがわかりやすいということである。
ノーマンは、われわれの教育システムはどんどん体験モードに嵌り込んでいるといい、それは「(実験思考の効率性に)感化された優秀な教師、生徒を魅了する出来合いのフィルムやビデオの氾濫、筋道の決まった教科書」などのせいであるという。これは、何でも物事をデジタルにしてしまうおとと共通している。体験的モードは一見、「身体」や「体験」「快感」というアナログな道を進んでいるかのように見えるが、実は、性急に1か0かを決める思考にすり替わっている。こうしたノーマンの警告は、現在の日本の知の状況に対しても有意義な批判であると思われる。」

p.186「
サムスンが多くのことを学んだと考えられる当時のソニーのデザインの中枢、マーチャンダイジング戦略本部は、いまはもう存在しない。」

p.190-191
デザイン・リーダーシップ:
暗黙知から形式知を生み出す知識創造の方法論
・主観的アプローチ、全体的(包括的)アプローチ
・図像、形態、パタンなどの視覚言語を用いる
・協業的、学際的、多文化的なアプローチ
・創造過程での評価(これを形成的評価という)
プラグマティズムに基づくプロトタイプとその実験
・反復的、終わりのない対話

p.194
DEGW:英国のワークプレイス・コンサルティング会社
http://www.degw.com/

p.205-206
知識デザインに必須な2つの軸
・体験的認知を主軸とするデザインの方法
 →IDEOなどのデザイン手法。
 →カタチにすることができるが、「自分の居場所がわからなくなる」(現場への埋没)の危険性あり。
・内省的認知に基づく方法
 →構築・構造的な視点、あるいは統一性をもたらす。

p.209
IDEOのデザインプロセス→「The Deep Dive」

p.211
体験的認知と内省的認知をいかに融合するか

p.214-215「
アップルとIDEOは共にシリコンバレーの企業でありながら、そのデザインのアプローチはまったく異なる。かつてIDEOのデザイナーはアップルのマウス会はtに関わったという経験を持つが、iPodIDEOが関わったデザインではない。というより、IDEOのアプローチからはiPodは生まれて来なかった。」
IDEO的アプローチの根幹は、ユーザー観察やブレインストーミング。
・アップルはユーザーを基点としていない。ユーザーが経験したことのないコンセプトを創り出すから。

p.244-245
知識創造の背後にある哲学・科学
1.共同化(Socialization) 暗黙知から暗黙知の創造
2.表出化(Externalization) 暗黙知から形式知の創造
3.連結化(Combination) 形式知から形式知の創造
4.内面化(Internalization) 形式知から暗黙知の創造

p.285-287
フューチャーセンター:組織の知識資産を駆動するハブ

p.303-305
アート・カンパニーとなるための10の条件
1.社会との共創
2.技術でなく人間、結合でなく綜合
3.無名の質をデザインする
4.エコキャピタルの重視
5.真摯さ
6.組織として豊かな知を有する
7.思いをもつ個人と、個のネットワークの力
8.伝統と文化
9.活発なコラボレーションとそうした環境
10.可能性追求主義の戦略