松尾睦『職場が生きる 人が育つ 「経験学習」入門』

「経験学習」入門

「経験学習」入門


学習の理論は勉強しておきたい、と思っているので読書です。経験から学ぶ力を、適切な「思い」と「つながり」を大切にし、「挑戦し、振り返り、楽しみながら」仕事をするときに起こる、という説明はおもしろい。そういうのが職場にないとやっぱりだめだよなあ。あとは、組織学習の研究者ヘドバーグによって提唱された「アンラーニング unlearning」を鶴見俊輔がいう「学びほぐし」と同じだ、と言い、

自分の型を確立した後も、「固まりかけた自分」をもう一度壊し、さらなる成長を遂げることは至難の業です。成長し続けるためには「学びほぐす力」が必要になるのです。

というのはとても大切な指摘だな、と。僕も、学びほぐしが必要だ。ルーティン化させちゃダメだぞ、と。自己反省。
以下、メモ。

p.20
経験から学ぶ力=
適切な「思い」と「つながり」を大切にし、「挑戦し、振り返り、楽しみながら」仕事をするとき、経験から多くのことを学ぶことができる

挑戦する=ストレッチ
振り返る=リフレクション
楽しむ=エンジョイメント

p.70
挑戦する=ストレッチ=問題意識を持って、新規性のある課題に取り組む
振り返る=リフレクション=行為を振り返り、知識・スキルを身につけ修正する
楽しむ=エンジョイメント=仕事のやりがいや意義を見つける

p.42
アンラーニング(組織学習の研究者ヘドバーグによって提唱)=
時代遅れになった知識を捨てること

哲学者の鶴見俊輔は、
「unlearn」を「学びほぐし」と訳している。
一度固まった知識の塊をほぐし、必要のないものを捨て、知識を組み直す作業。

p.42「
「リーダーは時論を構築すべき」と主張する神戸大学金井壽宏教授も、「ただし、時論は常に改定し続けていないといけない」と注意しています。

p.42-43「
日本将棋連盟会長であり、50歳で「名人」を獲得するという最年長記録を持つ米長邦雄氏の事例を紹介しましょう。
数々のタイトルを獲得してきた米長氏ですが、40代半ばになるとスランプに陥り、20代の若い棋士に勝てなくなってしまったそうです。そのとき氏は、自分の敗因についてどう思うかと、ある若い棋士に尋ねたのです。その棋士は次のように答えました。
「先生と指すのは非常に楽です。先生は、この場面になったら、この形になったら、絶対逃さないという得意技、十八番をいくつも持っていますね。でも、こちらのほうも先生の十八番は全部調べて、対策を立てているんです」
では、どうすればいいのかという問いに対し、その分てはこうアドバイスしました。
「自分の得意技を捨てることです」
それを聞いた米長氏は20歳を過ぎたばかりの若手を「先生」と呼び、弟子入りします。その後、若手の新鮮な将棋感覚に触れることで、米長氏は、王将に返り咲くことができました。
自分の型を確立した後も、「固まりかけた自分」をもう一度壊し、さらなる成長を遂げることは至難の業です。成長し続けるためには「学びほぐす力」が必要になるのです。

p.56
経験学習サイクル
(1)「具体的経験」そした後、
(2)その内容を「内省し(振り返り)」
(3)そこから「教訓」を引き出して
(4)その教訓を「新しい状況に適用する」ことで、
人は学んでいる