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大津由紀雄編『小学校での英語教育は必要ない! 』

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小学校での英語教育は必要ない!

小学校での英語教育は必要ない!


日本では中学校から大学まで10年間英語を勉強するけど、まあ英語を話せる、という人は少ない。だから小学校からやりましょうということになって、今は5年生と6年生で義務化されたわけですけど、ただやりゃいいってもんじゃないだろう…と思わずにいられないのですよね。英語はただのツールであって、語るべき中身がなければいくらペラペラでも意味なんてないわけで。
いろいろな側面から「小学校での英語って、必要なくない?」ということを考えてみる本。目次を見るだけでも十分おもしろい。認知学習論の今井むつみ先生の、言語学習の臨界期とか言うならば小学校じゃ遅すぎるし、そもそも「世界の人が耳を傾けるに足る内容の技能・知見を持つ人間を教育する」ことが目標じゃないの?という言葉に同意。
あとは、多言語共生社会における言語教育について述べられていた、山川智子先生の「ヨーロッパにおける言語教育政策の検討結果を、安易に日本社会の問題に平行移動させることに警鐘を鳴らしながら、他者を理解する目を養うために、言語の多様性に気づかせる必要があると論じる。それが問題解決能力の育成につながり、その能力こそ中学校期以降の英語学習の動機付けになると主張」されている点も、勉強になる。
その他にも読んでおくべきポイント多数でした。非常に勉強になりました。

  • 斎藤兆史小学校英語必修化の議論にひそむ落し穴」
  • 茂木弘道「小学校英語などとたわごとを言っているときか」
  • 寺島隆吉「小学校「英語活動」の何が問題なのか」
  • 今井むつみ「認知学習論から考える英語教育」
    • 言語学習の臨界期説をさまざまな角度から検討。そのうえで、真の国際人を育成するための英語教育の目標は、「世界の人が耳を傾けるに足る内容の技能・知見を持つ人間を教育する」ことにあると論じる。
  • 内田伸子「小学校一年からの英語教育はいらない 幼稚園~児童期の「ことばの教育」のカリキュラム」
  • 大津由紀雄「小学校での言語教育 「英語教育」を廃したあとに」
    • 英語教育と「国語」教育の連携という視点だけでは捉えきれない「メタ言語能力」という概念を導入し、それを育むための言語教育を提言する。
  • 山川智子「多言語共生社会における言語教育 多様な言語への気づきをきっかけに」
    • ヨーロッパにおける言語教育政策の検討結果を、安易に日本社会の問題に平行移動させることに警鐘を鳴らしながら、他者を理解する目を養うために、言語の多様性に気づかせる必要があると論じる。それが問題解決能力の育成につながり、その能力こそ中学校期以降の英語学習の動機付けになると主張する。
  • 鈴木孝夫「小学校教育に求められる基本的な知識とは」
    • 日本人の「自己アメリカ化」の危険性を指摘する。
  • 波多野誼余夫「「必要ない」か「やめたほうがよい」か」
  • 津田正「君と世間との戦いでは世間を支援せよ! 世間の期待と公立の小学校英語教育」
  • 溝越彰「小学校英語教育反対論は正論か邪論か」
  • 安西祐一郎「語力と教育」