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マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう』

これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学

これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学


すごいなぁ、こんなに難しい本が30万部も売れるのだもんなぁ。NHKの「ハーバード白熱教室」効果か。たしかにあの講義はすごいおもしろかった。あのやりとりもよかったし。次々と畳み込まれる質問も知的好奇心を刺激する。でも、この本はそれとは同じじゃないし。どちらかというとオーソドックスな感じかなぁ、と。
実際、ハーバードでのマイケル・サンデル教授の授業は、たっくさんのTAがいて、たっくさんのリーディングアサインメント(課題図書)が出て、そのうえで成り立っているものなはずだから、そういうのの上にあるのはやっぱりおもろいよな、という感じ。
読んでて、いくつか「このネタは思考実験としておもしろそうかも」というのがあったので、そこだけメモ。

p.56
「オメラスから歩み去る人々」:
オメラスという美しい町のある公共施設の中に、一人の子が閉じ込められている。
町のみんながその子がそこにいること、そこにいなければいけないことを知っていた。
自分たちの幸福や町の美しさ、親密な友人関係、さらに気候や収穫までが、その子のおぞましく悲惨な
生活に全面的に依存していることを理解していた。
その子がそこから助けだされた瞬間にオメラスの町の繁栄、美しさ、喜びはすべて色あせる。それが子どもを救う条件になっている。

「こうした条件は道徳的に受け入れられるだろうか?」

p.202
カート・ヴォネガット『ハリスン・バージロン』
・全員が平等な世界。完全無欠な平等。平均以上の知性を持つ市民は、両耳に思考ハンディキャップ・ラジオを装着しなければならない。

p.261
アリストテレスによれば、奴隷制が正当であるためには2つの条件が満たされなければならない。
アリストテレスは奴隷制が必要だと主張する)

・共通善を討議する集会に市民が時間を割くためには、誰かが家庭の雑事をこなさなければならないから。
・奴隷になるべく生まれついた人たちがいる。「生まれつき奴隷であり、主人に支配されるほうが、彼らにとってはよい」