山田玲司『非属の才能』

非属の才能 (光文社新書)

非属の才能 (光文社新書)


大好きな漫画家 山田玲司が漫画『絶望に効くクスリ』でいろんな人にインタビューした経験から、大事なのは何にも属さない、それでも大丈夫な才能=非属の才能なんだ、ということを語る本。学校で評価される(成績になって見える)部分というのは、ほんの一部でしかなくて、それを認めてあげる理解者が身の周りにいてくれることが大事だよなー。おもしろかった。

p.41「
どんな人も、多かれ少なかれ「学校では評価されない才能」を持っている。
(略)
そういった見過ごされがちな些細な才能こそが、のちのち大きな才能へと育っていくことはこれまで述べてきた通りだ。
重要なのは、その才能を理解してくれる「理解者」がひとりでもいるかどうかということだろう。
学校という群れから追い出されたトットちゃんには小林校長という理解者と、トモエ学園という「正しき教育機関」の存在があり、エジソンには幸運にも母親という肉親の理解者がいた。


p.65「
自分の子供に凡人のタグをつける親たちは、「天才という絶対的な才能は100%先天的なもの」だと思っているのだろうか。
1%の「わかりやすくない才能の芽」を見つけてあげるのが本来の親の役目のはずなのに、そのように勘違いしている人間には、自分の子供の才能は決して見えてはこない。


p.67-68「
父がよく言っていたのは、「自分の価値観は自分の世代で終わり。自分の人生は支えてくれたかもしれないが、子供の人生は子どもが考えるものだから邪魔しない」という種類のことだった。
つまり父は、僕にどうしろこうしろとは言わず、「自分の人生は自分で決めろ」と言っていたのだ。子供を未完成な人間と見るのではなく、ひとりの独立した個人として尊重してくれていたのだ。
これは、子供にとっては絶対的に信頼されたということで、同時にそれだけの信頼を裏切ることはできないという責任感が生じる。
(略)
たしかに、「自分の人生で学んだことを子供に伝えることができないのはおかしい」と反論する人もいるかもしれないが、それはまったく逆で、自分が自分の考えで生きることを認めてもらった子供は、親の言い分にも耳を貸せるようになるものなのだ。