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酒井穣『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』

「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト (光文社新書)

「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト (光文社新書)


『はじめての課長の教科書』の著者、酒井穣さんの本を続けて読んでお勉強。教育を生業としている僕としてはとても勉強になる部分が多かった。ビジネススクールにある「学びの共同体 (learning community)」っていうのが紹介されているけれど、本当にそうだなぁと思います。こうした学びの共同体を、学校の教室で起こしたいな、と思って仕事をしています。こういう企業内での人材育成の中で使われているノウハウ(ケースメソッドとかも含めて)を、もっともっと学校現場に入れていく、先生たちに伝えていく、ということをしたい。そうすることで、先生たちの持っている教科指導のノウハウと組み合わさって、より良い学校のスタイルができていくんじゃないかな、と思っているのです。
以下、メモ。

p.3
啐啄同時(そったくどうじ):

  • 禅において師匠から弟子へ知恵の伝授が行われるときの心得。
  • 卵の中から啄くのと、卵の外から親が殻をつつくのと、同時に突いてこそ破ることができる、ということ。


人材の育成においては、師匠となる人が(1)弟子が破るべき殻(=超えて行くべき目標)を明らかにし、(2)弟子がその殻に向かって自発的にアタックするための情熱を刺激しつつ、(3)弟子が殻を破るための手助けをしてあげることが必要である。


p.49
高畠導宏氏の講演『豊かな人生を過ごすには』:
「伸びる人材の共通点7つ」

  • 素直であること
  • 好奇心旺盛であること
  • 忍耐力があり、あきらめないこと
  • 準備を怠らないこと
  • 几帳面であること
  • 気配りができること
  • 夢を持ち、目標を高く設定することができること


p.70
「面白いことがひとつ増えれば、そして、やり遂げたことがひとつ増えればなおのこと、そのたびにあなたの生きる力が増す。」(ウィリアム・ライアン・フェルプス / 米教育者)


p.94
「いまわれわれが重要だと思っている技能や力は陳腐化しうる。しかし新しい技能や力を学習する能力(ability to learn)は陳腐化しない。」(ラス・モックスレイ / 教育学者)


p.100

人材育成の文脈では、現時点の能力や成果だけでなく、「ベストを尽しているか」と人材の成長率を厳しく問う必要があります。成長をつねに意識させることは、組織と個人に緊張感を与えます。逆に言えば、緊張感のない組織に成長はないと言っても過言ではありません。


p.103
ビジネススクールにある「学びの共同体 (learning community)」:

  • 安易な「正しさ」を追い求めるのではなく、「議論を豊かにしよう」という発想が空気として存在する。
  • 教室ですでに議論が終わったケースなどに関しても、クラスメートとバーに場所を移してさらに議論を続けるようなことが毎日のように起こる。
  • 不十分な議論をして満足しない、他者と協力しつつ議論を深めることに喜びを感じられる。



社内に学びへの情熱を持った人材が増えてくると、従業員同士が自発的に勉強会を開いたり、図書を推薦しあったり、研修の提案を持ってきてくれるようになります。ミラーニューロンの効果によって、学びへの情熱のパンデミック(大流行)を起こすことができれば、人を育てる社風は、比較的短期間でも醸成できると考えています。


p.110-111
マネージャーのコンピテンシー

  • 現状(is)ばかりでなく、どうあるべきか(should)についてのビジョンを持っている。
  • 自分の責任範囲を超えて、全体のために「善いこと」をする気力が充実している。
  • 他の皆があきらめるような最悪な状況でも、ポジティブに、笑顔で前進することができる。

  • 問題にあたっては、なんでも我流でこなそうとせずに、まずは理論(先人の知恵)を参照することができる。
  • 少なくとも2つの分野において、社内では専門家と言えるレベルにある。
  • 数多くの挫折や修羅場を乗り越え、他人に認められる成功体験を経てきた。


p.121
ケースメソッドで用いられるケース教材に求められる3つの条件:
1.ビジネスパーソンを育てる何らかの訓練主題を含んでいること
2.その訓練に必要な情報がノイズと共に含まれていること
3.ケースの登場人物に困難な決断が迫られていること


子供にとっては「絵本」がこれに相当し、絵本の読み聞かせによる子育てには、このケースメソッドと同じ発想が組み込まれていることが解ります。


p.130
どうやって育てるのか?
ゴールから始めさせて、後ろから順に行動を経験させる方法。
→常に「最後までやり抜いた」という充実感をともなって育成対象となる人材の経験をクローズできる。