酒井穣『課長の教科書』

はじめての課長の教科書

はじめての課長の教科書


課長、という経営層と現場の中間を繋ぐものとしての存在について、どのようにあるべきかを紹介している本。非常におもしろい。うちの会社は小さな小さな会社で、「全員が経営者メンタリティ」というのを目指してはいるものの、一方で全部を伝えるわけにはいかない状況を考えると、自分が置かれている立場はまさしくここで言われている「課長」に近いかも。
それともう一点。「部下の退職は上司の責任」(p.146)というところ。うーん、そのとおりよね。気が滅入ります。何人、自分のチームのスタッフが辞めただろう、と振り返っちゃう。そもそも、上司と部下、という形をきちんと作れなかった自分がだめだったなぁ、と思う。今のチームはフラットでとてもいい感じだと思うし、昨年来「今のチーム全員を巻き込まないとできない!」くらいの大きなプロジェクトがまわっていたこともあって、このままで動かしていきたいと思ってる。次の新スタッフをどんな人を入れるか、というのが勝負だなぁ。会社としてどちらの方向へ行くのかも含めて。
以下、メモ。

p.38-39
新たに採用されつつある人事制度=

  • 末端社員の面倒はほぼ完全に課長レベルの人材に任せられる。
  • 課長以上の管理職に対してのみ、成果主義を緩やかに適用し、従業員の成果には金銭や昇進意外の方法でも応える。


新しいインセンティブの形。

  • 匠の称号を現場の熟練技術者に与える(JAL、シャープ)
  • 新人メンター認定制度(コクヨ
  • インセンティブ有給休暇 など


p.60

野中(郁次郎)教授は、トップが会社のビジョンや「夢」を描き、現場にいる末端社員が最前線で「現実」を見るときの「夢と現実のギャップ」を橋渡ししつつ、事業や製品についてのコンセプトを創造する結び目(または架け橋、ナレッジ・エンジニア)として中間管理職を位置づけています。


p.83
現代の求めらえれるスタイルは、
「動き回る管理職(MBWA=Management By Wandering Around)
※この発想は、IBMP&G、3Mなどの企業で取り入れられている。


p.89
部下のストレスを管理する


p.96-97
コーチング3つの禁止事項
・アドバイスや指示、提案などは決して行わない
 →コーチングの大前提は「問題の答えはその人の中にある」のを信じること。
・YES、NOで答えられるような質問は避ける
・「なぜ?どうして?」と質問するときには、非難の意味を込めない
 →人は「なぜ?」と訊かれると非難されているような嫌な気分になるもの。


p.105-107
オフサイト・ミーティングでチームの結束を高める。:
・どこか居酒屋ではないところで、立場や肩書きを超えた部下全員のホンネを聞き出す機会が強く求められている。
・リラックスしたミーティングにするために…
 私服で参加(コスプレや仮装もあり)、ゲームからミーティングを始める、全員が長い自己紹介をする(30分以上)など
・ルールとして…
 議論をしないで、「自分はこう思う」という語り合いをする。
 十分な時間を確保して、勤務時間中に半日以上の時間をとって行う。
 特定の誰かを批判するようにならない大きなテーマで語り合う。
・継続して何度も行う。


p.146
部下の退職は上司の責任


p.185
自分の負けパターンを知っておく:
自分の典型的な「負けパターン」を洗い出しておくこと。