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ジョセフ・L・バダラッコ『静かなリーダーシップ』

静かなリーダーシップ (Harvard business school press)

静かなリーダーシップ (Harvard business school press)


自分自身、熱く何かを語って、何かをゴリゴリと変えて行くタイプではない。当意即妙で何かを理解し、考えつくほうでもない。どちらかというと鈍くてぼーっとしていて、どこに向かいたいのかわからない(自分も周りも)というタイプじゃないかと自己評価している。そんな人は、どんなリーダーシップを発揮できるのだろう、と考えて手にとった本。リーダーみんなが高尚な人でなく、もっともっと俗物的で、時間を稼いだりいろいろしたっていいじゃないか、そんなリーダーだってたくさんいた、という本。こういう伝記には残らない人たちのことを、教育カリキュラムの中に入れることも意味があるかもしれないなぁ、とかちょっと思った。
以下、メモ。

p.9-10
静かなリーダー:
最も実践的なリーダーは大衆のヒーローではない。高尚な理想を掲げた人でもなく、また層なりたいと思っていた人でもない。
真のリーダーとは、忍耐強くて慎重で、段階を経て行動し、犠牲を出さずに、自分の組織、周りの人々、自分自身にとって正しいと思われることを、目立たずに実践している人だった。


p.65-67
リーダーの動機を現実的に判断する最良の方法=
日常生活の中で、哲学者ウィリアム・ジェームズが比喩的に「時価」と呼んだものの意味を考えること。

1.行動の方向性を設定し、動機によって泥沼に陥らないこと。
動機がさまざまで複雑な場合、現実とあるべき理想について討議が無限に続き、抜け出せなくなる。これが消極性と無為無策につながる。同じことを何回も考え、無駄な努力となるような内省が始まったら、ひと休みして誰かと話し、行動計画に進む。

2.動機がさまざまで複雑だからといって、リーダーシップを発揮するのに自分が不適格だと考えないこと。
また、逆にリーダーシップを放棄してもいけない。
性格や動機は流動的で複雑なのだと認識すること。

3.特にさまざまな方向に引きずられる場合は、自分自身と自分の動機を信じること。
道徳的に何かをすべきだと思い込むと本質が見えなくなる。パニック状態の時に「まず落ち着け」というが、皆が混乱して動揺しているのに、自分だけが落ち着いているのなら、自分は現実がわかっていないのかもしれないと考えるのが、健全である。

4.深刻な倫理的難題を引き受ける前に、自分にとってその問題が本当に重要であるかを確認する。
静かなリーダーは、傍観者にはならず、リスクをとって行動を起こす。自分も少しは利益に関与しているから行動する。これらの動機は高尚ではないが、十分良い理由であり、しかも強い。ある静かなリーダーは次のように述べた。「倫理的な理由からだけでなく、自分かってな理由もあって、渡しは逃げなかった」これが往々にして、静かなリーダーが耐えぬいて最後まで頑張り通し、成功する理由である。

p.69

実践的なリーダーは、難問に直面してもすぐに「答え」を出すのではなく、従来のリーダーシップとはまったく違ったことをする。すなわち、問題に突進するのではなく、何とかして時間を稼ぐ方法を考えるのだ。
この戦術を取るか取らないかにより、成功するか失敗するかが決まる。時間をかければ、荒れ狂う波も収まり、水底が見渡せる。状況を討議し、熟考することができる。時間があれば、自分の責任を認識して、健全な考え方ができるかもしれない。どのように人や出来事が互いに影響しあっているのかわかるかもしれない。時間を稼げば、風向きを見ながらチャンスや物事のパターンをつかむことができる。