西口敏広『遠距離交際と近所づきあい 成功する組織ネットワーク戦略』

遠距離交際と近所づきあい 成功する組織ネットワーク戦略

遠距離交際と近所づきあい 成功する組織ネットワーク戦略


ちょっと前に、近くにいる人とだけネットワークを作っても不足で、遠いところにいて、何かのときに声をかけられる人がどれくらいいるのか、ということが大切だ、という話の流れで、ぶっちーに紹介されて読んだ。「ゆるく繋がる」ってことです。
いろいろなケースが紹介されています。以下、興味のあった部分をメモ。

p.143

個人や個別企業の能力以上に、誰と日常的にリンクしているかという「つながりの構造」が重要なのである。一般に社会ネットワークでは、「離れ小島」の天才よりも、「スモールワールド」の凡才集団のほうが、優れた働きをすることが頻繁に見られる。


p.219
スマート・プラクティス政府:
・民間の優れた慣行(ベスト・プラクティス)を上手く取り入れ、行政に活かす政府
・縦割りでなく、部門横断型チームなど「スモールワールド」組織を導入して活性化ができる
・イギリス政府で実用化

p.232

フランシス・フクヤマが名著『歴史の終わり』(1992年)で主張したように、民主主義の成熟とともに、主な民主国の間では、紛争解決手段としての戦争がもはやペイせず、起こりにくくなるにつれて、戦争自体の意味が変わり、それに応じて、防衛調達の方法も民間のそれに近づき、民間で試されたベストプラクティスの成果が追って政府部門にも応用されるといった、政府業務の新しい進化のプロセスが、当然のこととして形成されつつあるように見える。この現象は、スウェーデンのような、200年近く戦争をしたことのない国でも同様である。


p.341

どのような組織でも、改革は自分一人ではできない。考え方を共有する同志が必要だ。しかも同志は、近隣だけにいても役立たない。そのうち幾人かは、遠くにいる必要がある。要するに、本書が繰り返し述べたように、「遠距離交際」と「近所づきあい」の、絶妙なバランスが大切なのだ。したがって、自分が属する組織を変えたいと考えるなら、まず本人自身が良識派になるとともに、近くにも、遠くにも、良識派の同志と友人の輪を広げていく必要がある。