実川真由 実川元子『受けてみたフィンランドの教育』
- 作者: 実川真由,実川元子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
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PISAの結果がよくて、教育界では注目されている北欧の教育。フィンランドの教育実績なんて、そう多く紹介されているわけではないので、それを実際にAFSの留学でもって経験している著者は、素直にうらやましいなぁ、と。留学というきっかけで自分を変えて、日本ではなかなか身につけるのが難しいと思う多様性=diversityを身につけられているのは、20歳まで海外へ行かなかった自分からしたら、うらやましいなあ、とも思う。
おもしろかったのは、
フィンランドの学生はテスト前には、「勉強する」という単語を使わない。代わりに、「読む」という言葉を使う。(p.75)
というところ。エッセイ中心のテストだから、知識を詰め込んでおかなきゃならない、と。全方位的に。範囲が決まっていて、ただインプットとアウトプットの練習になればいいのではない、ということ。
以下、もうちょっと詳細。
p.77
「
フィンランドのテストはほとんどがエッセイ(作文)なのである。
英語、国語はもちろん、化学、生物、音楽までもエッセイ、つまり、自分の考えを文章にして書かせるのがフィンランドの高校の一般的なテスト形式である。
(略)
何を書かせるか、というそのテーマも面白い。英語だったら、「あなたにとって文化が意味することとは何か」や、「感銘を受けた本について」などと、おおよそ予想できそうなものもあるが、こういうものでも、いざ書こうとすると大変だ。
生物ともなると予想不可能である。
知り合いのタイから来た留学生は生物の授業を取っていたが、授業もよくわからず、
「テストなんておおよそ無理です」
と先生に訴えたら、
「じゃあ、図書館に行って身体のパーツに関する本を読んできなさい」
と言われたそうだ。
彼女は図書館でひたすら読み、いざテストに望んだ。
そのときの問題は「あなたが耳について知っていることを全て書きなさい」というものだったそうだ。
」
エッセイがメインだから、テスト前にはそれを書くだけの知識を詰め込まなければいけない。だから「読む」。そして知識を詰め込む。少なくともインプットとアウトプットのために暗記するだけのつめこみよりはずっといい。