三森ゆりか『絵本で育てる情報分析力』
- 作者: 三森ゆりか
- 出版社/メーカー: 一声社
- 発売日: 2002/12
- メディア: 単行本
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絵本の読み聞かせは、まだうちの子どもではできていませんが、うまく教育カリキュラムに組み込めないかな、といろいろ思案中。絵を見て情報を引き出していく能力は、大人よりも子どもの方がずっと長けていたりもする。「よくそんなとこ見てるな!?」みたいな*1。
欧米で「読書技術教育」というものがしっかり教えられている、というのがびっくりだった。読み聞かせ→自分で再構成→要約→テキスト解釈→テキスト批判とステップを上げていくような読書技術は、たしかにあまり日本の学校ではされていない気がする。いろいろ取り込めそうだ。
モンセラ・サルトさんが考案したという、「読書アニマシオン」、要チェックや。
以下、メモ。
p.39
ドイツ/欧米の読書技術教育のだいたいの流れ:
1.幼児教育:
読み聞かせと絵を用いての作業
2.小学校低学年〜中学年:
再話(読み聞かせられたり、自分で読んだりした物語を、自分の言葉で再構成して記述すること。自分の言葉で語ること)
→これにより、だんだん要点をつかむことできるようになる
3.小学校高学年:
物語、小説などの要約
4.中学校〜高校:
小説、論説文、新聞記事、哲学・言語学・歴史・社会学などの論文などのテクストの分析と解釈
5.高校:
小説、論説文、新聞記事、哲学・言語学・歴史・社会学などの論文などのテクストの批判
p.43
読書へのアニマシオン(モンセラ・サルトが考案、『読書へのアニマシオン 75の作戦』を参照):
- 本を読むための力を子どもたちから引き出すための体系的なメソッド
- 75の作成がゲームの形になっていて、子どもが自立した読者になるようにプログラムされている
- プログラムをこなすうちに、子どもが自立した読者になる
p.59
交通標識を見て、それが何を意味するのか「絵を分析」する
◆分析
- 周りが赤・・・禁止の意味
- 人がいる・・・足元の線を越えようとしている
- 足元の線が2本あるから、たぶん道路を表す
- 周りが赤で、人がいて、戦を越えようとしているから、おそらくこれは「横断禁止」のマーク
◆判断
- 危ないから道路を渡らない
p.63
ドイツの小学生用の図工教科書にある絵の分析:
ゴッホの「星月夜」を見て、じっくりと絵を観察させてから、次のような問いかけをする
- 絵には何か特徴がありますか。
- なぜこのような色を使っているのですか。
- 時間は何時頃ですか。
- 町には何がありますか。
- どんな風景が見えますか。
- 空はどのように見えますか。
- 時間はいつですか。昼間ですか?夜ですか?黄昏時ですか?
- 天気はどんな様子ですか。雨ですか?嵐ですか?
- 絵は安心感を与えてくれますか。それとも恐ろしい感じがしますか。
p.66
読書のアニマシオン 作戦53:
読書週間のポスターが使われ、次のような問いかけをする
「
ここはどこかな?
壁のところに並んでいるのは何かな? 何のための物かな?
だれがいるのかな? その人達は何をしているのかな?
何があるのかな? 動物のおもちゃを見つけてみて?
この家具はおもちゃかな? 本物かな? どうしてわかるの?
光はどこから来るのかな? そちらには何があるのかな?
奥の暗い部分は何かな? 何があるのかな?
」
のような調子で問いかけをしながら、アニマドールが陽気に、辛抱強く、子どもからどんな反応が返ってきても動じずに、上手に子どもに対応していくと、子どもは驚くほど集中して熱心に絵を覗き込み、絵をよく捉えて、活発に自分が発見したものについて発言するのです。
p.115
子どもに物語の内容について質問し、語らせることで、子どもから引き出せる力:
- 物語の構造上、つまり物語の展開上大切なポイントに注意を払って物語を聴けるようになる。
- 5W1H(いつ・どこ・誰・何・なぜ・どのように)を意識して物語を聴けるようになる。
- テクストの構造をより意識的に理解するようになる。
- 物語の論理的な展開を聴きとる力がつく
- 物語の内容について語ることにより、表現力がつく。
- 物語のあらすじを語ることにより、論理的にわかりやすく相手に話す力がつく。
- テクストの要約力がつく。