岡部恒治『[よのなか]教科書 数学 数学脳をつくる』

人生の教科書 数学脳をつくる (ちくま文庫)

人生の教科書 数学脳をつくる (ちくま文庫)


数学大嫌い!だった僕がこんな本を読むというのも何ですが、「数学大嫌い!」だったからこそ、得られなかったことって実はたくさんあるんだろうなぁ、と最近は思うわけです。で、それがもったいないな、と。だから、自分の作るカリキュラムから理数の方向や科学の方向が失われないように、勉強する必要がある。講談社ブルーバックスのシリーズなんて、けっこう役立ちます。ああいうふうに楽しく教えてくれれば、もうちょっと頑張れたかもなぁ、と思うのです。
アイデアとしてはおもしろくカリキュラムのなかに使えそうなもの多数。以下、メモ。

p.17

分析したいことがらの「本質は何か」を判断し、本質を変えないような変形で、問題を簡単な形にもっていくのが数学の作業なのです。仲間はずれを探す感覚は、本質を探る感覚に直結します。問題を簡単な形にもっていく訓練をすると、問題を早く解決する能力を養うことができます。


p.64(藤原さん)
リクルート社訓
「自ら機会を作り出し、機会によって自らを変えよ」


p.78(藤原さん)
トポロジーという数学的思考方法:
「6も9も円から1本線が出ている形で同じもの」とみなす分類。郵便番号解読という形で[よのなか]では使われている。


p.97-98(藤原さん)
杉並区の区長からの中学生への質問:

扇風機だと、全ての教室につけても1校につき400万円で済むんですね。一方、クーラーをつけると設備費は2400万円です。さて、あなただったら区長として、この差2000万円×67校=約13億円をどんなふうに投資したらいいと思いますか?
お年寄りの施設のバリアフリー化に使う?環境問題に使う?校庭緑化で芝を植えることに使う?それともやっぱり、夏の一時期にだけ必要なクーラーに使う?」


p.114(藤原さん)
岡部先生の言葉:
「数学は論理だ」という人がいますが、私は、「数学では、いわゆる三段論法を積み重ねていく技術だけを学ぶ」などという考え方には賛成しません。この“成り立ちそう”という「なんとなく」の感覚も大変重要です。」


“勘の良さ”と言ったら元も子もないかもしれないが、「なんとなくいけそう」と思ったら自信を持って突っ込んでいく勇気と決断は、あらゆる問題解決において、本質に近づく第一歩だ。


p.137(藤原さん)

[よのなか]で仕事のできる人は、ほぼ例外なく「たとえ話」が上手い。
「それって、こういうことなんだよねえ」という話しぶりをよく使う。


p.156(藤原さん)

私は子どもたちに、「数学は未来を味方につける力」だと話すことがある。
一方、国語、とくに読書を通じた読解力は「過去を味方につける力」であるとも考えられる。


p.158(藤原さん)

類推の本質とは、「風が吹けば桶屋が儲かる」というロジックだ。

これを自分で自由に考えてみたらどうだろうか?
で、「あるある!」と言われるような類推ができているか評価する。


p.159(藤原さん)

この本のなかで順々にやってきた「区別する技術」「寄せる技術」「捨てる技術」「くっつける技術」「かみくだく技術」「なんとなくの技術」「近似する技術」「類推する技術」という8つの技術は、どれも、自分の人生を編集する技術でもあり、未来につながる“光”を見つけるための基本的な「処世術」だからである。