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工藤順一『子どもの才能は国語で伸びる 五感を使って読書と作文』

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子どもの才能は国語で伸びる

子どもの才能は国語で伸びる


国語力が学力の基礎の1つになるのだろうな、というのは、たくさんの子どもたちと接していると分かる。上手に話ができる子、上手に話が聴ける子、そういう子は吸収力が違う。そういうことを専門に書いている本を探していて見つけた。ワークシートも上手に使って、4コマ漫画なども題材として使っている国語教室のメソッド紹介です。おもしろかった。
以下、メモ。

p.3-4

小学校の六年間で起こることには、たいへんなものがあります。私は成長のことをいいたいのですが、身体的なこと、つまり背の高さや体重が二倍ぐらい増えるだけではありません。精神的な成長のことをいいたいのです。ひらがなの読み書きすら危うかった子どもが、きちんと大人の書いたものを読めるようになり、大人らしい見解を述べたり、書いたりできるようになるのです。それは単に記号としての文字がりかいできるようになるということではありません。
この成長は、このような言葉の発達と不可分に関係するはずの精神といわれているもの、心ができていくプロセスと同じなのです。
成長がこれで止まるわけではありませんが、この六年間の精神的な成長はその子の一生のあり方をほぼ決めてしまうぐらいの影響力を持っているでしょう。この時期に段階を追って形成された知的な生活習慣こそ、後に「才能」と呼ばれるものの小隊ではないかとすら私は思っています。つまり、才能は往々にして生まれつきのもの、すなわち先天的なものと考えられがちですが、私はそれを後天的なもの、すなわちきちんとした「読み書きの学習プログラム」によって教育可能なものであると考えています。


p.63
国語力とは?:

  • 五感を使って感じること(体験)、そして読むこと(読書)。これが国語力の土台となる。
  • この2つで情報として足りない場合に、想像力がひつようになり、それを基に考えること(思考力)。ここではじめて、外的な情報が内的な認知へ繋がる。
  • 最後に、そこで生まれた自分の考えや意見を外へ向けて発信し、表現する言葉の力が必要になる。


p.71

子どもがこちらのアドバイスに耳を傾けてくれるのであれば、私も同じように子どもの話に耳を傾けます。その子の考えや意見を受け入れ、否定せずに、修正すべき点があれば修正しつつ、必要な部分のみ補っていきます。すると、子どもは、自分に不足している部分に、自然と気づけるようになっていきます。
そして、対話の中で出てきた言葉を自ら文章に織り込んでいくことで、自分の言葉、自分なりの書き方が見つけられるようになっていくのです。
このようなことの繰り返しが、母語の習得への近道なのではないでしょうか。


p.76
要約文を書いてみて制限字数を大きく超えてしまう場合のチェックポイント:

  • 内容は読み取れているが、本文の言葉に捕らわれ過ぎてしまい、まとめではなく、本文を丸写ししている状態になっていないか。
  • 内容が理解できていないため、焦点が合っておらず、混乱していないか。


p.77
物語は場面(いつ・どこで)、出来事(だれが・なにをした)、反応(そして、どうなったか・その後〜)の3つの要素が絡まり、繋がることで成り立っている。

したがって、まとめるときには、本文からこの3つの要素を書き出す訓練をする。


p.113-114

一つひとつの言葉の持つ力と、それを支える周りの文章の美しい流れ、そのどちらもを網羅した『小さな町の風景』という本を教科書とすることで、子どもは書き言葉を覚えていきます。
私たちと対話しながら書き進める時、耳からさまざまないい回しを教えることで、子どもは話し言葉を覚えます。その二つが同時に行われることにより、子どもたちは言葉を習得していきます。
個人にとっての第一言語、つまり、母語を習得するのは、小学3年生から中学1年生ぐらいであるといわれています。
ちょうど『小さな町の風景』に取り組む年齢です。その時期に、多くの言葉を教え、その言葉から湧くイメージを膨らませることができるように導いていくこと、適切な言葉の選び方、日本語の持つ美しい響きや微妙なニュアンスの違いを伝え続けることが、私たちが子どもにしてあげられる最も大きな役割であるといっても過言ではありません。
知らない言葉を見たり聞いたりした時、辞書を引けば言葉の意味は書いてあります(外的情報)。
しかし、それだけでは、ただの情報にすぎません。どのような場面・状況・他の言葉との関連の中で、その言葉を使えばいいのかを考え、理解し、自分の五感の中でその言葉をたちあげていく必要があります(内的認知)。
一つの言葉は、他の言葉に囲まれ、五感に支えられることで成り立ち、リアリティと意味を持ちます。ですから、今まで知らなかった言葉を自分の言葉にするためには、その言葉だけに着目するのではなく、全体の文脈と五感を絡めて想像する力が必要になるのです。