瀬川晶司『後手という生き方 「先手」にはない夢を実現する力』


アマからプロ編入というイレギュラーな道を辿って夢を実現させた棋士、瀬川さんの本。ちょっと、将棋を勉強しようかなと思って、その手始めに。ちょうど竜王戦に勝った渡辺竜王との対談が巻末にあります。好きなところを抜き出していったら、渡辺竜王の言葉がいっぱいになってしまった(笑)以下、メモ。

p.17

自分の不運を嘆いて投げ出してしまうのはダメ、将棋でいえば連敗しているときに、勝てないことにくさって勉強をしなくなってしまったら、そのうち実力を出し切っても本当に勝てなくなってしまう。負けているときでもふだんと同じように努力を続けていれば、いつかは必ず風向きが変わって実力どおりの結果が出る。


p.176-177
渡辺明

やはりどんなジャンルでも、そのものにかける思いとどれだけの時間を費やせるかということでしょうか。何をやるにしても常にどこか頭の方の隅にある、やっぱりそういうものじゃないですかね、求められるものっていうのは。


競馬界、日本によく来る外国人ジョッキーのエピソード:
・贔屓にしてくれる馬主さんがいると、馬に乗るだけではなく、会食の機会も日常的に出てくる。
・食事のときに大馬主が歓待してくれるが、騎手は減量するので、食べるわけにはいかない。
・馬主には「私減量しているのでいりません」と言わず豪快に食べて、あとでこっそり自分で吐く。


ほんとに一流になる人はそこまでしなきゃいけないのかなあという気になりました。


p.183
渡辺明

ああいう特別な環境、61年ぶりのプロ試験といった舞台で指せば、瀬川さんは当然アマ時代に比べて一回り強くなられたでしょうね。小さなことかもしれないですけど「今度大きな勝負があるから、ちょっとお酒控えて勉強してみよう」とか、そういうことだけでも全然違いますからね。やはり大きな舞台に出ると、その前後に少しずつ本気ゆえの行いの積み重ねが出て、結果的にかなり大きな違いになってくると思います。


p.196
渡辺明

プロとは情熱を燃やし続ける存在である、私もそう感じますね。お金を多くもらうとか、少ししかもらえないとか、そういうことがプロの価値の基準じゃなくて、どれだけそのことに打ち込めるか、もう人生の大半を費やすわけですから、そういう思いが強ければ、それがプロじゃないかなと思います。