ウィリアム・H・マーカード『WAL-MART エグい会社に知恵で勝つ』

WAL-MART エグい会社に知恵で勝つ! (海外本格派実用書シリーズ)

WAL-MART エグい会社に知恵で勝つ! (海外本格派実用書シリーズ)

  • 作者: ウィリアム・H・マーカード,石渡淳元
  • 出版社/メーカー: インデックス・コミュニケーションズ
  • 発売日: 2008/04/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ウォルマートがどれだけでかいか、というのは日本に住んでいる僕にはあんまりわからなかったりとかするのだけど、全世界の小売業の1%を占めている、ってのはたしかに巨大。で、そこに勝つにはどうすればいいのか、という本。

ウォルマートのDNAの中には、いくつかの強力な遺伝子があり、同社の有利な特徴の土台を成すリーダーシップと心構えをコード化している。この種の遺伝子はたくさんあるのだが、その中で特に注目すべきものは5つある。それらは、「一点集中」「誤りの修正」「建設的なパラノイア」「倹約」そして「自分たちのほうがもっとうまくやれる」という姿勢だ。(p.100)

企業として文化、DNAを明確に持っているっていうことがどれだけ強いことなのか、ということ。これをどうやってコード化し、誰にでもできるようにするか、というところは、これからの自分の仕事のやり方に入れていかなくてはならない考え方だなぁ、と感じた。

p.72
フィル・ジャクソンNBA監督 優勝9回)『Sacred Hoops』より
「成功の秘密は、“考えない”ということだ。“バカになれ”と言っているわけではない。頭の中であれこれ考えるのを止め、脳みそにじゃまされずに、体が覚え込んだことを本能的にできるようにする、ということなのだ」。


p.75
強いプロセスを持つ組織(SPO)
>リーダーシップ
・企業のあらゆるところにリーダーが配置されている
・リーダーが自分の仕事を手放せるよう努力する


・昇格は結果に基づく
・コミュニケーションは頻繁で包括的

企業統治
・目標は明確に定義され、ぶれない
・地域レベル、世界レベルの意思決定において、権限が決まっている
・プロセスは企業の中に内在している
・変更のためのプロセスがある

>規律
・成果を測る基準は焦点があっていて首尾一貫している
・結果が評価される
・情報や知識を最重視する
・説明責任がよく果たされ、それが良い結果であろうと悪い結果であろうと、責任の所在は明確にされる

>心構え
・行動を偏重する
・社員はプロセスと手順に基づいて求められたことを実行する
・会社というバスの中で、ふさわしい人がふさわしい席に座っている
・顧客の近くで行われるプロセスをシンプルにするために、複雑なことは経営の上層部が吸収してしまう


p.76

ウォルマートや他のSPOに属するリーダーは本社の席を暖めることがない。彼らは頻繁に、そして意図を持って、工場、店舗、顧客、及び社員を訪ねて歩く。彼らは、行っているビジネスの動脈に指をあて、常に脈を測っていることがいかに重要であるかを知っている。そのことによって、トレンド、ビジネスチャンス、成功、そして問題について理解することができ、関係者全員が自分のすべきことをわかっているのかを確認できるのである。


p.78

首尾一貫したメッセージを繰り返すことが、大きい組織中に変化を根づかせるためにどれだけ重要か、私は顧問先のCEOたちに繰り返し伝えている。その際に、やや誇張した経験則--私はコミュニケーションの等比級数的ルールと呼んでいる--を提案している。CEOから発せられたメッセージが届くためには、組織の1階層毎に、コミュニケーションの頻度を2倍にする必要がある、というルールだ。
たとえば、CEOが在庫を20%削減する命令を出したと仮定しよう。その組織に5つの階層があったとすると、実際に現場にメッセージを到達させるためには、少なくとも2の5乗の32回、そのメッセージを繰り返す必要があるということだ。


p.82

ウォルマートが示している、強いプロセス統治に関する最後の際立った特徴は、プロセスを変えるためのプロセスを持っているということである。配送センターの作業員が異なった方法でパレットを積み込みたいと思っても、「プロセス変更申請書」に記入するまでは、どんな変更であっても控えなければならない。この申請書では、「現在のプロセス」「提案したいプロセス」「得られるであろう結果」、そして「その変更をテストするための試験的な手順」について説明することが求められる。(略)
ウォルマートの役員は、決して煩雑な手続きによって改革を遅らせたいと思っているわkではない。すべての変化がコストを削減し、生産性の輪を回すのかどうかを確かめたいだけなのだ。


p.100

ウォルマートのDNAの中には、いくつかの強力な遺伝子があり、同社の有利な特徴の土台を成すリーダーシップと心構えをコード化している。この種の遺伝子はたくさんあるのだが、その中で特に注目すべきものは5つある。それらは、「一点集中」「誤りの修正」「建設的なパラノイア」「倹約」そして「自分たちのほうがもっとうまくやれる」という姿勢だ。


p.113

「自分たちのほうがもっとうまくやれる」という心構えは、他社のアイデアに焦点を合わせる。すなわち、それらを真似て、オリジナルよりも1段階うまく運営していくというものだ。一部の人たちは、それを「恥知らずな盗作行為」だと言うかもしれないが、コンサルタントからすると、それは単に「再利用」に過ぎない。


p.118
私たちが住む「ウォルマート的な世界」:
・史上最大の小売業者が枠組みを作った世界。その企業は地球上の全小売業の売上の1%を獲得している
・生産性の輪という洗練された物理学、1セントの倹約から繁栄が始まるというシンプルな概念によって動かされる世界
・効果的なプロセス--頭脳の集積なのか、サプライチェーンの融合なのかにかかわらず--を習得した経営者たちによって動かされる世界
・一点集中と自己改善を好む、独自の、そして強力なDNAが競争力を生み出す世界
・同じ状態にとどまることが決してなく、来る者すべてに課題を突きつけ続ける世界


p.133

ウォルマート経済における勝者は、前述した3つの選択(注:「どう差別化するのか」「何を見習うのか」「どのマーケットを支配するのか」を強い決意を持って行った者、失敗したとしてももう一度選択し直した者である。「どう差別化するのか」「何を見習うのか」「どのマーケットを支配するのか」を選ぶことによって、自分たちのビジネスにとっての強力なビジョンを作り出すことができる。勝者は、競争上の脅威となる存在が現れてこないかどうかを厳しく監視し、それが芽のうちに摘んでしまう。勝者は、クマが攻撃してきたときには、足の遅い者を攻撃の矢面に立たせてしまう。


p.230-231

シナリオへの検討に入って30分もすると、われわれは行き詰った。議論がまったく進展しなかったのだ。というのも、だれかが斬新なアイデアを提案するたびに、グループの残りが銃を撃ちたくてたまらないハンターの群れのようにそれを撃ち落してしまうからだった。「顧客はそんなふうには考えない」「工場は製品毎にすでに組織されているのだから、それを変えることなどできるわけがない」「こんなシナリオは実現などしない」。
切羽詰った私は、ちょっとした試みをすることにした。まず1人の役員にアイデアを出すよう依頼した。次に発言する役員には、発言を必ず「それに加えて(and)」という言葉ではじめてもらい、出されたアイデアに自分のアイデアをつけ加えるように頼んだ。みなが順番に発言をしていくと、なんと驚いたことに、押し寄せる波のように斬新なアイデアがつながっていった。アイデアを批判して、あっという間に墓場に送り出す代わりに、われわれはアイデアをつなぎ合わせて、新しい未来を切り開くことができたのだ。


p.232
ライバル企業としての戦略
・見習え
・支配せよ
・差別化せよ

納入業者としての戦略
・多角化せよ
・投資せよ
・強みを利用せよ

共同体のメンバーとしての戦略
・属せ
・一致させよ
・関与せよ

雇用主としての戦略
・報いよ
・情熱を引き出せ
・成長させろ