結城浩『数学ガール』

数学ガール (数学ガールシリーズ 1)

数学ガール (数学ガールシリーズ 1)


数学は本当にできなかった。高校の2年間半、数学があった時期には定期テストの点数はいつも1ケタだった。0点も何度もとった。そんな僕でも楽しめるかと思いつつ読んだけど、楽しかった。正直、数式はあまりわからない。だから、内容的にも半分くらいしかわからない。でも、フィボナッチ数列だったり場合の数のあたりは、単純に考える楽しさがあった。あとはキャラ読み、ですけどね。
ストーリーの中に出てくる会話の1つ1つが、「教える」ってどういうことか、「考える」ってどういうことか、「勉強する」ってどういうことか、見つめ直すきっかけになります。

「テトラちゃんは、自分で考えようとしただろう?それは大事なことだ。たとえ、何も見つけられなかったとしても。懸命に考えたからこそ、その後、僕が話した内容がすぐに理解できたんだ。それを忘れちゃいけない。」
テトラちゃんはじっと聞いている。
「きみは数式を何とかして読もうとする。それは、とてもすごいことだよ。数式が出てきたとたん思考停止する人はとても多い。数式の意味を考える以前に、そもそも読もうとしないんだ。もちろん、難しい数式の意味はわからないことが多いだろう。でも、全部はわからないとしても<<ここまではわかった。ここからわからない>>と筋道立てて考えるべきなんだ。<<だめだ>>と言ってたら読まなくなる。考えなくなる。数学なんて役に立たないさって嘯くことはできる。でも、そのうちきっと<<役に立たないから読まない>>ではなく<<役に立てたくても読めない>>になってしまう。数学を、酸っぱいブドウにしてはだめだ。チャレンジするテトラちゃんはとてもえらいよ。」(p.197)

これ、僕だ(笑)「役に立てたくても読めない」よ。こんなふうに教えてくれる人が近くにいたらいいと思う。

「僕たちは好きで学んでいる。先生を待つ必要はない。授業を待つ必要はない。本を探せばいい。本を読めばいい。広く、深く、ずっと先まで勉強すればいい。」(p.220)

そのとおりだ。素敵な本だった。以下、忘れたくないセリフ集に近いメモ。

p.77
いかなる創造の喜びも、
すでになされたことの境界線上で遊ぶことにある。
ホフスタッター『メタマジック・ゲーム』


p.95

「学校の世界はとても小さくて狭い。子供向けの偽物がたくさんある。学校の外にも、偽物はたくさんあるけれど、切ったら血が吹き出てくるような本物もたくさんある」
「学校の中には本物はないんですか」


p.96

「好きなことをしっかり追い求めていくと、本物と偽物を見分ける力も付いてくる。いつも大声を出している生徒や、賢いふりをする生徒がいる。きっとそういう人たちは、自己主張が好きで、プライドが大事なんだ。でも、自分の頭を使って考える習慣があって、本物の味わいを知っているなら、そんな自己主張は要らない。大声を出しても漸化式は解けない。賢いふりをしても方程式は解けない。誰からどう思われようと、誰から何を言われようと、自分で納得するまで考える。それが大事だと僕は思っている。好きなことを追い求め、本物を追い求めていくのが----」


p.197

「テトラちゃんは、自分で考えようとしただろう?それは大事なことだ。たとえ、何も見つけられなかったとしても。懸命に考えたからこそ、その後、僕が話した内容がすぐに理解できたんだ。それを忘れちゃいけない。」
テトラちゃんはじっと聞いている。
「きみは数式を何とかして読もうとする。それは、とてもすごいことだよ。数式が出てきたとたん思考停止する人はとても多い。数式の意味を考える以前に、そもそも読もうとしないんだ。もちろん、難しい数式の意味はわからないことが多いだろう。でも、全部はわからないとしても<<ここまではわかった。ここからわからない>>と筋道立てて考えるべきなんだ。<<だめだ>>と言ってたら読まなくなる。考えなくなる。数学なんて役に立たないさって嘯くことはできる。でも、そのうちきっと<<役に立たないから読まない>>ではなく<<役に立てたくても読めない>>になってしまう。数学を、酸っぱいブドウにしてはだめだ。チャレンジするテトラちゃんはとてもえらいよ。」


p.220

「僕たちは好きで学んでいる。先生を待つ必要はない。授業を待つ必要はない。本を探せばいい。本を読めばいい。広く、深く、ずっと先まで勉強すればいい。」