内藤誼人『パワープレイ 気づかれずに相手を操る悪魔の心理術』

パワープレイ―気づかれずに相手を操る悪魔の心理術

パワープレイ―気づかれずに相手を操る悪魔の心理術


パワープレイは、人間関係における心理戦を制するための実践的な戦略、だそうな。徹底的に勝つことにこだわる主義のアメリカ社会で生まれ、政治、教育、スポーツなどの領域で研究されている心理術だそうだ。また、アメリカでは逆に自分がパワープレイをしかけられた際の反撃のための「カウンター」の研究も進んでいる
例えば、アメリカ大統領が着るスーツの色とかに関してもコンサルタントをつけて、どう見えるかを気にしているのもパワープレイの一種。知らないうちに相手を威嚇したり、相手よりも上に見えるように自己演出したりするのも同様。大統領選挙見てて、こういうの大事かも、とか思った。日本でも、自民党の世耕さんとかはこの仕事しているのかな?
「情報制限法」っていうのが取り上げられているが、これはわざと情報を得にくい状態にして注意をひくこと。例えば、情報の全体が見えないとか、声が小さくて聞こえにくいとか。ヒトラーの演説もこの手法を使っていたらしいよ。あのがなりたてて煽りまくるのは演説の後半で、最初はいつも小さめの声でスタートしていたのだそうだ。しかし、この情報制限法って、学校で先生がよく使うよね。もちろん、僕もよく使う。わざと小さめの声で話したり、最初から全部が読めないようにわざとしておいて知りたいと思わせたり。学校はパワープレイを上手に活用できる職場なのかもしれない、と思った。
以下、メモ。


p.63

会話においてパワーを得たいのであれば、受身表現をゼロにし、必ず肯定表現をしなければならない。なぜなら、言語心理学が明らかにした法則によれば、受身表現を多用すると説得力が落ちるからである。肯定表現と受身表現には、ほんのわずかな違いしかないが、聞き手の心理に大きな影響を与えることがすでにわかっているのである。


p.74
「…的」「…性」という表現をしない

アメリカの説得工学者ロジャー・ドーソン博士によれば、余計な言葉が追加されていくほど、それに反比例して、説得力は落ちていくそうである。


p.83

ノースキャロライナ大学のボニー・エリクソン博士たちの研究グループは、聞き手に弱々しいイメージを与える表現は、次の4つであるとしている。逆に、パワーを感じさせる表現とは、これらが含まれない場合である。
1.強調表現(intensifiers):「とても」「すごく」「たくさん」
2.垣根表現(hedges):「思うに」「…と考えられます」
3.ためらい表現(hesitation):「ええと」「あの」
4.質問表現(questioning):「〜だったかなぁ?」


p.92
交渉前には、「好ましい世間話」をしておこう


p.98
「具体的な」数字で迫れ


p.111

心理学のよく知られた法則によれば、人間の記憶には「初頭効果」と「親近効果」が働く。つまり、最初に出会った場合の第一印象と、別れ際の印象が強く記憶に残るという。いい換えると、別れ際にちょっとぐずぐずしているだけで、「この人は何事も遅い」という最悪のレッテルを貼られてしまうことさえあるのだ。


p.114

心理学の実験によると、私たちは直接的な説得よりも、間接的な説得に弱いこともわかっている。間接的な説得は、普通の説得に比べて、押しつけがましさが少ない。そのため、相手の話を素直に聞いてしまうということだ。


p.142
「予告話法」で、相手の集中力を持続させ続ける
・人間の注意力の集中は25分間が限度
・話の随所に予告話法をちりばめておく
・ニュース番組などの「次は○○の最新情報です」の予告もこれに基づいている


p.145
(プレゼンの時の)目線は「Z状」に、ゆっくりと


p.150-151
情報制限法

情報は、わかりにくくすることで、かえってその価値を高めることがある。この心理法則を覚えておくと、いろいろな応用が可能かもしれない。たとえば、OHPやスライドを利用する場合、すべての情報をいっぺんに公開するのではなく、大切な要所を紙などで隠しておき、説明が盛り上がってきたところで、サッとその覆いをとるのである。これが見る人にインパクトを与える。


このテクニックを効果的に使ったのは、かのアドルフ・ヒトラーである。ヒトラーの演説は、必ず小さな声から始まった。(略)ヒトラーは、小さな声でボソボソと演説を始め、ざわついている聴衆が静かに耳を傾けてくれるようになったところで、徐々に激しい演説を開始したのだ。


p.152-155
動かしにくい相手を「動かす」
1.交渉が停滞していたり、相手が乗り気でない場合には、「時間的圧力」をかけてみる
 →あと10分で話し合いを切り上げたいと思います。○月○日までに何らかの結論を出してください
2.せめてもダメなときには、いっそのこと「冷却期間」を置いてみる
3.第三者を「調停役」として介入させる
4.決まったところまでを「要約確認」してみる


p.166

資料は最も効果的なプレゼンの道具だ。言葉で説明するよりも、図表やグラフを見せた方がわかりやすいし、相手の注意をひきつけることができるからである。しかし、資料を使ったプレゼンには、ひとつだけ問題点がある。それは、相手とのアイコンタクトが著しく減ってしまうことだ。
ある心理実験によれば、2人の間に地図を置いて旅行の計画を立てさせると、お互いが見つめあう時間が、地図がない場合の77%から6.4%まで激減したという。地図があるだけで、話し合いの大半はその地図を見たままで行われたというのだ。


p.170
ペンシルバニア大学の調査によると、視覚物を使ったプレゼンには、
・結論に導きやすい
・コンセンサスを得やすくなる
・発表者に対する評価が好ましくなる
・聴衆に参加意識が芽生える


p.171
照明をつけて「明るい気分」で終わる

私たちの記憶は、はじめと終わりをよく覚えるようにできている。したがって、暗いままでプレゼンを終了してしまうと、相手の頭の中には暗さのイメージがつきまとってしまう。


p.173

神経言語学で明らかにされているデータによると、人間は聴覚より、視覚に優れている。したがって、言葉に気をつけるよりも、身ぶりなどの視覚的なアピールを心がけた方が、相手へのインパクトは大きくなるのである。


p.212

心理学には、「好意の返報性」というよく知られた法則があり、こちらが相手を好きになると、相手もこちらを好きになってくれる傾向にある。


p.220
ケン・デルマーのセールス技術「ウィニング・ムーブズ」


p.229

心理学では、午前中の時間帯を「理性の時間」、午後の時間帯を「感性の時間」と大きく分類するkともある。たとえば、午前中の人間は論理によって動かされやすく、午後になるとムードによって動かされるというのだ。