C.K.プラハラード『ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略』

ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 (ウォートン経営戦略シリーズ)

ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 (ウォートン経営戦略シリーズ)


ビジネスにおいて、貧困層(Bottom of Pyramid=BOP)は軽視されがちだが、彼らに合わせた形でビジネスを変革すれば、寄付などではなくきちんとした形で収益を上げ、さらにBOPの生活を変えることもできる、という本。非常におもしろかった。

「富裕層」はつねにいるものだが、社会に中間層と見なされる人々が何人いるかが経済発展の尺度となる。さらに重要なことは、社会変革は、中間層のライフスタイルを目指そうと思う人が何人いるかによるのだ。それは、人々の望む対象を変えさせるチャンス、模範となる人々、変化の確かな兆しが増えていることを示す証拠である。(p.194)

いかに貧困層を「個人として尊重」して、コミットしていくか。そのための仕組みは消費者教育だったり、新しい流通システムだったり。半分以上はケーススタディだったのもよかった。
以下、メモ。

p.14-15

現在の停滞した状況を打ち破る手段として企業活動に目を向けるなら、「貧困層」という活気にあふれながらも無視されつづけている消費者社会に目を向けるべきだ。そして、40-50億人の貧困層が包括的な資本主義システムに組み込まれていく過程に、実は世界規模のビジネスと繁栄が期待できることを見逃してはならない。解決策を共創するプロセスは、経済ピラミッドの底辺にいる消費者を「個人として尊重する」ことから出発する。ここでは、消費者も問題解決に欠かせないプレイヤーとなる。


p.26
BOP(Bottom Of Pyramid)の人には購買力がある
・1日2ドル未満の稼ぎしかないものの、人口の多さを考えると、
 かなりの潜在的購買力を持っていることになる


p.48-49
BOP市場での消費力を作り出す3つの原則=3つのA
1.手頃な値段(Affordability)
使い切りパックや目新しい購入方法など、品質や効能を損なうことなく手ごろな値段で入手できる

2.製品・サービスへのアクセス(Access)
製品やサービスの販売パターンを、貧困層の居住地域や労働形態に合わせる。例えば、BOPの消費者のほとんどは、1日中働いてからでないと、その日に必要なものを購入するための現金を手に入れられないので、買物は午後7時を過ぎてからしかできず、午後5時に閉店する店では意味がない、など。

3.入手のしやすさ(Availability)
BOP市場の消費者は、「そのとき手元に現金がいくらあるか」で購入を決定することが多い。買うと決めたら延期することはない。したがって、入手のしやすさが重要。


p.194

「富裕層」はつねにいるものだが、社会に中間層と見なされる人々が何人いるかが経済発展の尺度となる。さらに重要なことは、社会変革は、中間層のライフスタイルを目指そうと思う人が何人いるかによるのだ。それは、人々の望む対象を変えさせるチャンス、模範となる人々、変化の確かな兆しが増えていることを示す証拠である。