堀公俊+加藤彰+加留部貴之『チーム・ビルディング 人と人を「つなぐ」技法』

チーム・ビルディング―人と人を「つなぐ」技法 (ファシリテーション・スキルズ)

チーム・ビルディング―人と人を「つなぐ」技法 (ファシリテーション・スキルズ)


カリキュラムを作る仕事をしていると、当然のことながら、いろいろな目的をもったカリキュラムを作る。たとえば、「新入社員を仲良くさせるような研修を…」とか「地域を愛する心を育てるカリキュラムを…」みたいな感じ。そのときに、グループワークをけっこう使う。アイスブレイクのために使ったり、何かを考えてもらうために使ったり、何かを作るために使ったり。チームを作って何かをさせることって、すごく楽しいと自分で思っているので使用頻度も高いです。
で、そのチーム・ビルディングのノウハウ本。やはり、歴史的に積み重ねられているものが多いですな。非常に勉強になりました。
図書館で借りたんだけど、手元に持っておきたい本だな、と思ったので、買うかも。以下、メモ。

チーム・ビルディング 3つのメリット
1.フォーカシング
チーム課題への理解、意識、意欲の焦点を合わせる
2.モチベーション
メンバー1人ひとりのやる気が高まる
3.ダイナミズム
メンバー同士の相乗効果で1+1が3にも4にもできる

メンバーが元気になる、チームのパフォーマンスが向上する


p.61-64
多様なレイアウトを使いこなす
1)教室(スクール)型
講演や講義、説明会やレクチャー、試験などで使う。お互いの顔が見えず、教える・教えられるなどの力の関係が色濃く残り、受け身になりやすい。

2)コの字型
会議や研修で使われることが多い。参加者相互が顔を合わせやすく、進行役が中に入っていきやすくなる。ただし、大人数になると大きな空間を必要とし、コミュニケーションが取りにくくなる。

3)島(アイランド)型
机2〜3台を寄せて小さな島をつくる。ワークショップや研修でのグループワークで使う。少人数で協働作業をするのに適している。1グループあたりの人数は5~6人がよい。多すぎるとメンバーの参加度が下がる。

4)扇(劇場・シアター)型
机を使わずイスのみで行う配置。教室型から机を抜く。参加者の一体感を醸成することを目的とするなら、椅子の配置は、正面に対して間口を広く、奥行きを狭く配置する。

5)バズ型
人々がワイワイガヤガヤと話している音から来た呼び名。少人数で小さなエンジンを組む、扇型よりもさらに分散し、くだけたムードの配置。

6)サークル(キャンプファイヤー)型
キャンプファイヤーのサークルのように円形に椅子を並べる。参加者がお互いの視線を合わせやすい。進行役が中央に立てば、メンバー全員と同じ距離を保つことができるメリットもある。円が大きくなりすぎるとコミュニケーションは難しくなる。

※複数のレイアウトを組み合わせるのもあり。


p.71
アイスブレイク=
日本ファシリテーション協会 http://www.fau.or.jp
→協働作業を通じて関係を深めることが目的


p.122
アイスブレイクやエクササイズの心得
1)互いを尊重する約束をしていく
自分を含めた参加者全員を尊重しあう(フル・バリュー・コントラクト)
2)参加したい人が参加し、強制はしない
自分の意志で活動に参加し、やるやらないは自分で決める(チャレンジ・バイ・チョイス)
3)段階を踏んでレベルを上げていく
段階を踏んで活動のレベルを上げていく。いきなり難しいものをやると、抵抗が生れ、効果も期待できない(ステップ・バイ・ステップ)

場の安全を保障することが進行役に強く求められる


p.125
チェックインなどの軽い自己開示をさせるアクティビティは、話し合いのできるだけ早いタイミングでやるようにする。そのほうが、メンバーが緊張する時間が短くてすむし、長々とプレゼンやら段取りの説明を聞いたあとでは、エンジンがかかりにくくなってしまう。


p.171

大抵の人はいつもと同じ集会だと思って来場します。そこに不意打ちをかけましょう。「おや、プログラムがあんなふうに掲示してある」「イスの並べ方がいつもと違うぞ」「名札なんか書くのか」と、よい意味での先制攻撃を仕掛ければ、皆の心がふっと緩みます。(略)
参加者の間には、いきなり面喰ってしまった者同士の奇妙な連帯感が生まれることも期待できます。


p.173

紙を渡されると考えようという気分になる
講演内容を他人事ではなく自分たちの課題として考えてもらうために討議が必要です。しかし、ろくに顔も知らなかった人たちと大人数で話し合うのは無理というもの。少人数に分けるべきです。
また、ただ単に「討議してください」ではよもやま話に終始する恐れがあります。紙を渡して「後で発表してください」とお願いすれば、皆は自然と真剣に考えようとするものです。


p.210
観察力を高めるトレーニング方法=フィッシュボウル
グループプロセスを観察する
1.2つのグループを作り、ひとつのグループが内側、もうひとつのグループが外側になって二重の縁をつくる。
2.あるテーマで内側の円のグループが議論を行い、外側の円のグループはその議論の様子を観察する。時間は10〜20分程度。テーマは自由。
3.観察の際には、「何を話しているか」ではなくて、「どのように話しているか」というグループの雰囲気や心の変化(プロセス)を中心に観察する
4.議論が終わったところで、観察側のグループからフィードバックを行う
5.議論側、観察側の立場を入れ替えて同じことを繰り返す