中西紹一『ワークショップ 偶然をデザインする技術』

ワークショップ―偶然をデザインする技術

ワークショップ―偶然をデザインする技術


ワークショップっていうのは、とてもおもしろい教育の場だと思っています。ということで、勉強したのです。以下、メモ。

p.14
ワークショップの基本的な推進プロセス(同志社女子大学現代こども学科・上田信行教授)

a) ワークショップの基本的な推進プロセスとは、ファシリテーターと呼ばれる司会進行役を中心に、
b) 参加者が主体的に特定のテーマや課題にかかわり、
c) それを(擬似的なものを含め)「つくって、さらして、振り返る」というアプローチを繰り返すことで、
d) テーマや課題に対しブラックボックス化していた事実をカタチに表し(これは企画化・コンセプト化・作品化・映像化・演劇化等によって可視化される)、その経験を通じて、参加者自らが社会への認識を新たにするとともに、自己の世界を再構成する契機を与える一連のプロセスを指す。

このような推進プロセスが存在しているからこそ、例えば社会教育や環境教育、さらには美術教育や情報教育等、「頭ではわかっているのだが…」といった問題にアプローチする際、ワークショップは特に有効性を発揮するのである。


p.17
ワークショップには大きく4つのスタイルがある
1. 自己啓発系
2. 身体解放系・身体表現系
3. 社会的合意形成型
4. 創造力開発系

自己や他者、さらには社会に対する新たなまなざし(=パースペクティブ)を獲得することでワークショップ参画者の生活世界の変革を促す(1)と(2)は、個人の能力開発や意識変革を促す。(3)は、地域開発や街づくりといった社会的合意が必要なテーマの解決に向け「ともに学びあう」スタイルを共有。


p.45
良いワークショップが提供してくれるもの:
a) 良いワークショップとは、「中立異変」をあぶり出す機会を提供する
b) 良いワークショップとは、「中立異変」と思われる「何か」から、議論の扉を開く機会を提供する
c) 良いワークショップとは、「中立異変」を蓄積する機会を提供する

※中立異変:
一見すると中立的な(良くも悪くもない)膨大な突然変異のストックとして位置付けられ、そのほとんどが力を持ったまま未使用な状態にあるという点が特徴だが、突然世界に登場し、それを得た生命種はいつの間にか自らの居場所を占める。


p.196
偶然をものにする3つの鍵
1.出口に期待するものは、創造か、改良か。
2.入口は、動詞形で考えてみる。
  「どのような自動車であるべきか」ではなく、「ドライブを楽しむもの」として考える
3.アフターワークショップを大切にする。