高垣マユミ 編著『授業デザインの最前線 理論と実践をつなぐ知のコラボレーション』

授業デザインの最前線―理論と実践をつなぐ知のコラボレーション

授業デザインの最前線―理論と実践をつなぐ知のコラボレーション


授業って、理論と実践をしっかり結び付けないとだめな場。理論もきちんと身につけていきたいと思い、勉強勉強。以下、メモ。

p.4
学習活動のシステムの構造
1)主体:
当の活動を行う個人あるいはサブグループ。

2)道具:
道具(狭義)やコンピュータのような物理的道具と、概念、言語、図式、記号、技術などの心理的道具がある。

3)対象:
主体とすでに関係を持った、主体の動機を含む客体。対象は、素材あるいは問題空間として存在し、道具を媒介とした協同的な活動によって、結果へと変換される。

4)共同体:
同一の対象を共有する活動システムへの多様な参加者。参加者は、自分たちは何をしているか、それが自分たちの共同体にとってどういう意味があるかについての理解を共有している。

5)仕事の分割:
共同体の成員間での、課題・力・地位などの水平的及び垂直的分割を示す。

6)ルール:
活動システムにおける行為や相互作用を制約する、明示的あるいは暗黙的な規則、規範、慣習。


p.12
thinking aloud method(=発話思考法)


p.31
新しい授業理論においての「教授=学習のプロセス」という観点


学習者が教室の授業に望む場合には、彼らはすでにみずからの経験を通じて、その領域における何らかの概念を構成していることを考慮しなくてはならない。こうした授業に持ち込まれる学習者特有の概念には、①「プリコンセプション」、②「誤概念」、③「素朴概念」などの種類がある。


学習者特有の概念を科学的な概念へと変容させる教授モデル:
1、概念変容モデル(Hashweh, 1986)
プリコンセプションと科学的概念との間に生じる「認知的葛藤」を解消させるために、(1)暗黙のうちに使われているプリコンセプションに直面させ、明白に意識化させる。(2)プリコンセプションよりも科学的概念の方が一般性を有していることに気づかせる

2、橋渡し方略(Clement, 1987, 1993)
学習者に親しみのある経験や知識(アンカー)を学習の出発点とし、最終的に獲得されるべき科学的概念(ターゲット)との間に存在するジャンプを橋渡しするために、両者のアナロジーとなり得る概念(ブリッジ)を媒介させる。

3、相互教授(Palincsar & Brown, 1984)
生徒同士、生徒と教師が共通の課題を成し遂げていく中で、本来は個人内で使用する教授方略を、個人間の相互作用と言う形で外化し、対話を通して、科学的な概念を協同構築していく。


p.45

子どもたちは授業のなかでつまずきを示す。そのつまずきには必ずその原因が潜んでいる。だから、授業で援助を考えるときには、つまずきの分析がたいへん重要になる。なかでも、誤ルールを所有することによって生ずるつまずきは、妥当なルールへの組みかえを要するという点で重要であると思われる。


p.53

1. 授業の中の子どもの学びは、問題解決過程として進行する。
2. 望ましい問題解決は生産的問題解決である。生産的問題解決はルールによるルールの学習であり、有意味学習である。
3. 子どものつまづきは、みずからの狭い偏った経験のなかで問題を解決し、誤ルールを学ぶことによる。学ばれる誤ルールには、前提項の選び間違い、誤れる一般化、誤れる特殊化などの特徴がある。
4. 子どものつまづきには、学校教育によってもたらされるものがある。
5. 子どものつまづきを修正する授業づくりのヒントは、子どもの発言や行動のなかにある。これを取り出すためには、①教師が寛容であること、②援助目標や援助方法を自覚している必要があること、③教師は自分の教え方、用いた教材、教える前の子どもの学習到達度と子どもの学習結果との関係を常に考慮する必要があること、が重要である。


p.56
学校ないし学級で生じる学習=School Learning(Glaser, 1976)
(1)教授目標

(2)教授開始時の行動
授業買い指示の行動の確認ないしは測定。次の教示手続きに入る前に、すでにどのような行動が学習者に備わっているかを確認する。具体的には、知能の発達水準、予備知識、興味、動機づけなど。

(3)教授手続き

(4)成績評価


p.60
個人指導教師として傑出するための7つの必須要因 INSPIRE(レッパー Lepper et al., 1997)

Intelligent(知的に優れていること):
知性が高くまた豊富な知識の持ち主であること。難しい概念を具体的なできごとから生徒に類推させて教える。

Nurturant(養育的姿勢):
生徒との個人的なつながりを大切にする姿勢。授業中あたたかい心配りを忘れず、生徒が困難に陥っても感情移入的に共感し、生徒がうまく課題を解いたときには、教師が生徒の力を信じて疑わないことを表明する。

Socratic(ソクラテス的対応):
教え込む方法をとらず、質問をくり返して、生徒からできるだけ多くのものを引き出そうとする。答を与えてしまうのではなく、自分で正答を引き出すように導く。また、誤りを生産的な誤りと受け取り、否定的に扱わず、正当に転じる契機とする。

Progressive(計画性を生む構造):
次に与える課題の選定、誤答や誤解に対する対処などを決定するための計画性と、しっかりした構造に基づく次の手段を豊富に所有していること。

Indirect(あくまで間接的に):
生徒に対して徹底して非直接的に対応する。ほめる場合は、問題解決の過程をほめるにとどめ、生徒自身を直接ほめることを差し控える。

Reflective(生徒の深い思索をめざす):
問題解決に直接結びつく手順や方略にとどまらず、その基盤にある一般原理にまで考えが及ぶことを重視する。しかもこれを直接教え込むことはしない。

Encouraging(励まし):
生徒を動機づける方略は以下の5通り。これらを使いこなす。①自身を持たせる。②挑戦させる。③好奇心を持たせる。④生徒自身によるコントロールを育てる。⑤文脈化する。たとえば抽象的な問題を日常的な文脈に関連させて生徒の関心を高める。


p.112

教室のなかの生徒が、姿勢から教師の自身のなさや不安の高さを正確に読み取ると、授業をなまけたり、授業を妨害したりといった教師への挑戦的な態度をとるようになる(Neill, 1989)。

=教師のジェスチャーや姿勢は大切。自信のない先生ほど教科書や指導案を手に持った姿勢が多く見られるらしい。


p.113
ジェスチャーの分類基準(河野, 1991)より作成
A 模倣動作(a1:活動 a2:象形) 人や物の動きや形を模倣する
B 指示動作(b1:指示 b2:指名) 眼前にある物あるいは人をさす
C 様態動作(c1:様態 c2:状態) 人や物の様子を表す
D 数字動作(d1:数字 d2: 数え上げ) 数を示したり、数えたりする
E 強調動作(e1:空間 e2:強調 e3:同意 e4:確認) 語句や文節を強めたり、聞き手に同意や確認を求めたりする
F 実演・資料説明動作(f1:実演 f2:実物提示 f3:資料説明 f4:板書指示) 実物・資料の提示やそれらを使った説明。板書の一部を指し示す



p.133
授業過程の6つの特性:
(1)多次元性(multidimensionality)
授業の場面は、多くの出来事や課題が生じる込み入った環境であり、どこに注意を払うべきかが大切になるが、しかし個人のなかにあって、その資源の供給には限界がある。

(2)同時性(simultaneity)
多くの事柄が継時的にではなく同時に起こる。

(3)即時性(immediacy)
多くの対人的なやり取りや出来事が、熟考する時間がまったくないくらいの速いペースで展開する。

(4)非予測性(unpredictability)
授業の中にある社会的相互作用のために、特定の活動がどの段階や場面で現れるかを予測することが困難。

(5)公共性(publicity)
授業は公のものであるため、授業で起きていることはクラスの大部分の前で明らかにされ、秘密にされるものではない。

(6)歴史性(history)
一定期間一緒に生活してきている集団であるだけに、現在の活動が引き起こされる文脈を生み出す共通した経験、基準、ルーティンを積み重ねてきている。これらの経験や結果は、良くも悪くも、容易には修正されない。


p.145
「話し合いを支えるルール作り」という学習環境づくり
(1)豊富な教材を準備し、相互関係に気づかせる仕掛けを作る
(2)学習段階や生徒の学習状態やそのときの授業展開に応じて、授業形態を柔軟に変化させる
(3)生徒同士の発言を繋げたり、ある生徒の発言を取り上げて内容を補完したり、広めたり、あるいは対立的な視点を突きつける。(リボイスイング revoicing)
(4)抽象的ではなく、自分たちが生きている生活環境や日常性の文脈の中での具体的な状況や大礼を取り上げる。
(5)これまでに学習した授業内容と現在の授業内容との間に論理的な流れが一本の線となって描けるようにする。
(6)巡視のときにきづいたある生徒やグループのユニークな考え方をクラス全体に疲労したりする。


p.195
評価の方法
(1)観察法(行動・発言・態度など)
(2)作品法(ノート・プリント・制作物など)
(3)テスト法(ペーパーテスト・実技テストなど)
(4)自己評価・相互評価分析法(チェック項目・自由記述など)