飯久保廣嗣『ソリューション 考えるツール 解決学15の道具』

解決学 15の道具―ソリューション 考えるツール

解決学 15の道具―ソリューション 考えるツール


「考える」というアクションについて、マニュアル化ができないだろうかと考えている。どんなことを、どんなふうに考えたらいいのか、というのがわかるようになりたい。それから先に、型を越えた非常識なものを考えられるオリジナリティが身につくと思っているから。
いろいろな概念が提示されていますけど、大事なのは、これらに「名前が付けられていること」。こうして名づけることでシステムになっていくと思うんだよね。やらなきゃいけないことだ。
以下、メモ。

p.57
多くの組織で問題になりやすいリーダーの指示の要素
1)優先順位の間違い
2)対策への短絡
3)他人の頭で考える(≒横並び、前例主義)
4)場当たりの議論


p.72-73
人間の頭の使い方を分類
1)数々の問題を把握すべき状況
どんな問題があるのか、どれから処理すべきなのか

2)原因を究明すべき状況
なぜ、問題やトラブルは起きたのか、どう対処すべきか

3)選択や決定をすべき状況
どの選択肢を選ぶのか、最も望ましいのか

4)リスク対応が求められる状況
環境変化を踏まえ、将来の危険や不安にどう備えるか


p.73-
15の思考の道具
1)問題の課題化
「問題」という、単なる状況を分析や行動につなげる表現にする。次の行動がイメージできない、あいまいな表現を使わない。問題の表現を単に言い換えるだけでは実際の分析・行動に繋がらない(勝てなくなった→勝て!、ではNG)

2)分離・分解
わかりづらい問題を、さまざまな要素に分けて分析、本質に迫る。抽象的に表現されている状態を、具体的で処理しやすい部分に分ける。

3)優先順位
複数の課題のうち、どこから手をつければいいのかを判断する方法。重要度、緊急度、拡大傾向の3要素で評価して取り組む順位を決める。

4)判断基準
複数の選択肢から、何を選ぶか、基準を定めてウエイトづけする。できるだけ幅広い見地から、多くの項目を列挙し、判断基準を確立する。

5)分析課題
何を分析しているのか、課題を具体的かつ明快に表す。「見直す」「検討する」など、曖昧な表現を使わない。

6)情報分析
必要な情報は何かを明確にし、抜け、漏れ、過剰がないよう集める。

7)原因の検証
推定された原因が正しいかどうか、論理的に分析・検討する。原因の検証が甘いと適切な対策は打てない。原因が事実関係に一項目でも矛盾する場合は真の原因になりえない。

8)対策
問題やトラブルを緩和し、原因を除去する。除去できなければ適応する。

9)決定事項
何を決めようとするのかを、部分的、全体的な視点で正しく把握する。状況をバラして階段を下りるだけでなく、上がって俯瞰する視線も重要。

10)選択肢
「決め付け」を排除し、決定する事項について複数のアイデア、プランを立てる。

11)マイナス要因
複数の選択肢のそれぞれを実施した場合、負の側面を事前に考える。

12)重大領域
大きなリスクが現実となりやすいのは、いつか、どこか、どんな状況か。人間はリスクを伴う領域から逃れることはできない。

13)具体的な問題現象
どんな問題やトラブルが起こりうるのかを具体的に列挙する。起こりうる具体的な現象を列挙したら、発生確率・重大性で絞り込む。

14)予防対策
リスクの原因をあらかじめ除去して、発生確率をできるかぎり低くする。

15)発生時対策
問題やトラブルが現実となったときの対応策を事前に考えておく。リスクの発生を完全に阻止できる保証はない。発生したときの影響を低減するコンティンジェンシーが最も重要である。


p.78-79
◆現状把握のプロセス

  1. 状況把握の対象と範囲
  2. 関心事の列挙
  3. 関心事の具体化と分離・分解
  4. ステートメント化
  5. 優先順位の設定
  6. 全体像の把握
  7. 課題別管理の実施

◆原因究明のプロセス

  1. 原因究明の対象と現象
  2. 情報の収集・整理
  3. 違いの発見
  4. 変化の発見
  5. 原因の推定
  6. 原因の消去・絞込み
  7. 対策の策定
  8. 実行管理

◆意思決定のプロセス

  1. 決定事項
  2. 目標の列挙
  3. 目標の分類とウエイトづけ
  4. 選択肢の起案
  5. 選択肢の評価
  6. マイナス要因とその対策の検討
  7. 実行管理

◆リスク対応のプロセス

  1. リスクの対象と範囲
  2. 実施計画の確認
  3. 重大領域の確認
  4. 将来問題の想定と評価
  5. 原因の想定
  6. 予防対策の設定
  7. 発生時対策の設定
  8. 総合評価
  9. 実行管理


p.199

マイナス要因を考える際には、PとSという2つのアルファベットを使うと次のステップに踏み込みやすくなります。
Pとはprobability(発生確率)、Sとはseriousness(重大さ)です。