柳谷杞一郎『進化するモチベーション戦略』

進化するモチベーション戦略

進化するモチベーション戦略


リンク・アンド・モチベーションについての本。何冊か読んだことがあるので重複している部分もありますが、それでもやはりおもしろい。参考にしたいな、と思う部分が多い。
システムの作り方、システムへのネーミングなどが抜群にうまいよねー。そして、一見面倒に見えることをすごく大切にしているのもわかる。勉強になるな。
以下、メモ。

p.77

マネジャーがひとりひとりの部下の仕事への取り組み方、進捗状況、精神状態を把握していることは、LMIにおいては必須条件なのである。
とくに、前期目標達成に著しく届かなかったメンバーに対する気の配り方が大切である。「どうして達成できなかったのか」「何が悪いのか」をわからないまま放置されることがモチベーション低下の最大要因となる。そこでマネジャーは、目標達成のために必要な具体策を直接に教えるということだけでなく、どうしてその目標達成が必要か、というような意味づけを理解させることに力を注がなくてはならない。
責任、影響の大きさを自覚すると、人は自発的に行動するようになっていくのである。


p.79
LMIの各クラスの呼称と期待すること:
Socrates(哲学・思想の確立)
Shakespeare(感動ドラマの演出)
Napoleon(ドメインの再設定と拡大)
Newton(パラダイムチェンジ)
Platon(深遠なる理想の追求)
Pascal(成功の法則化)
Edison(統率)
Einstein(第一人者)
Copernicus(オリジナリティー)
Columbus(冒険的取り組み)
Da Vinci(機会の創造)
Darwin(日々進化)


p.109

一度この空間(注:LMIのオフィス)を訪れた人間は、また来てみたいと思うようになるのだ。お客様の会社を訪問するのではなく、お客様の方から訪問したいといって来社していただくことが多くなる。お客様の方からの来訪によって生じる時間的メリットは、営業を大切にするLMIにとって莫大なものである。営業ツールとして、きわめて大きな役割を果たしているのである。


p.134-136
◆ヒューマンスキル
傾聴力、レシーバーの力:相手の話に真剣に耳を傾け、理解することのできる力
主張力、アタッカーの力:相手に自分の意見や考えを言うことのできる力
支援力、セッターの力:相手や集団をサポートし助けることのできる力
説得力、コーチの力:相手によく話し聞かせて納得させることのできる力
受容力、キャッチャーの力:人の話や要求を聞き入れることのできる力
否定力、イエローカードの力:意見や提言に対して否定する決断ができる力
協調力、漕ぎ手の力:他人と、あるいは集団で力を合わせて事をなすことのできる力
統率力、舵手の力:集団において面々を監督し指図して仕事をさせることのできる力

◆タスクマネジメントスキル
瞬発力、短距離ランナーの力:短期間で集中的にパワーを発揮することのできる力
持続力、マラソンランナーの力:ある状態を保ち、中断することなく継続することのできる力
確動力、フリースローの力:間違いなく確実に実行することのできる力
機動力、みっどフィールダーの力、状況に応じてすばやく活動できる力
変革力、V字ジャンプ:今までの慣習にひきずられることなく物事を新しく変えられる力
推進力、スクラムの力:物事を目的に向かって前に進められる力
分析力、スコアラーの力:物事の仕組みや因果関係を解明できる力
創造力、パントマイムの力:新しい案を思いついたり、考えを発展させられる力

◆セルフコントロールスキル
冒険力、スカイダイビングの力:危険を恐れず、難易度の高いことでも挑戦できる力
慎重力、カーリングの力:注意深く落ち着いて行動できる力
柔軟力、ストレッチの力:変化に際しても、自分自身を変えていける力
忍耐力、筋トレの力:苦しみや怒りなどに耐えられる力
高揚力、応援団の力:自分自身のやる気を盛り上げることのできる力
自制力、アイシングの力:自分自身の欲求を抑えられる力
曖昧力、ラグビーボールの力:あやふやではっきりしない状況をそのまま受け入れられる力
規律力、審判の力:秩序やルールに則り整然と事を進めることができる力


p.152

「ちょうど5周年の4月1日当日に、実際にオンエアされるコマーシャルを社員全員で一緒に見たいと思ったんですね。全員での『共通体験』にしたかったんです」
わずか設立5年目だけれども、創業からのメンバー、途中で入社してきた人たち、最近入社してきた新人たち、それぞれのメンバーの「通過体験の格差」というものが、かなりひろがってきてしまっていた。「メンバー全員がLMI独自の世界観、価値観を共有する」ということを大切にするこの会社にとって、「通過体験の格差」は絶対に解決していかなくてはならないひとつの大きな問題なのである。
「時間」そのものを埋めあわせていくことはできないが、「一生想い出に残る」というような強烈な体験は、「世界観の共有」のための大きな力となる。


p.173

多くのメディアツールは結果としてトータルのコミュニケーションコストを下げているのだ。コミュニケーションコストを下げているだけではない。理念や思考方法を共有していれば、次から次へと起こってくる様々な問題に対して、はやい意思決定が可能になる。ビジネスにおいて、スピードが大きな利益を生みだすことはいうまでもないことである。