濤川栄太『戦後教科書から消された人々2』

戦後教科書から消された人々〈2〉 (Goma books)

戦後教科書から消された人々〈2〉 (Goma books)


副題が「勇気・犠牲心・誇り・信義…を失った日本人は滅びるしかない」って、すごいな…。著者は新・松下村塾の塾長です。「新しい歴史教科書をつくる会」の理事でもあるそうな。

p.15

日本の教科書では、天皇の名まえは仁徳天皇以降、ようやく現われる。それも巨大な古墳を造ったというだけで、慈しみのある政治をしたという話は出てこない。一方、アメリカでは日本建国の初代天皇として神武天皇を紹介している。二月十一日の建国記念日も書かれているのだ。
「天皇は125代続いて、世界でもっとも古い、最長の王朝だ」
これは右翼の記述ではない。アメリカの教科書にきちんと書かれていることである。


p.222

戦中のスローガン「滅私奉公」というのは、国民一人ひとりが主体性をもてない意味でまずいのかもしれない。
しかし、戦後日本は滅私の部分だけでなく、奉公まで奪い去ってしまう。「滅私奉公」を日本の教科書から削除させた当のアメリカでは、子どもたちはボランティアを進んでやり、老人にカンパしにいく。
一方の日本では、そういう教育がなくなってしまった。滅私奉公がなくなった上に、無私、利他の精神まで根こそぎ奪ってしまったのである。


p.228

勝海舟は、戦前の教科書でしきりに誉められている。(略)修身教科書の「勉学」と「勇気」という二課で取り上げられているほどだ。


p.259

大久保(利通)は、官僚機構を組織するオルガナイザーとして、超天才だった。日本の官僚制度を作った三人の、最後の一人として数えることができる。
最初の一人は、聖徳太子である。これは、日本に最初に官僚制度を導入した人物だ。その後、大化改新大宝律令によって官僚制度が整っていくが、これは聖徳太子の延長線上にあるといっていい。
(略)
完全に日本風の官僚制度を定めたのは、第二のオルガナイザー、北条泰時御成敗式目である。そして、大久保利通が、完全なものとして確立させたのだ。