齋藤嘉則『問題発見プロフェッショナル 「構想力と分析力」』

問題発見プロフェッショナル―「構想力と分析力」

問題発見プロフェッショナル―「構想力と分析力」


問題発見というのはどうやったらスキルとして身につけられるのかを考えるために読んでみました。自分もちっとも得意でないことって、本とかで読んで勉強する以外にありませんから…。
以下、メモ。

p.3

コンサルタントに求められる最低限の能力は何かと問われれば、それは問題発見能力と分析能力、そしてそれに基づいて解決策の方向性を体系的に提示する能力である。これはある程度、トレーニングで身につけられる。そして我々も、「問題を具体的レベルで社内で共有化」することに関してはアドバイスできる。しかし、そこから先は、それぞれのビジネスの責任者が積極的に問題の共有化に取り組まなければだめだ。そうでなければ、網羅的問題とちぐはぐな解決策が、ただとぐろを巻いているような状況が延々と続くことになるだろう。


p.4

日本人や日本企業の場合、何かミスを起こした時にその原因を追究すると、「人格否定」につながってしまう傾向がある。問題と立場と人格がすべて一体化し、切り離すことができないのだ。ミスが起きた原因を特定し、繰り返さないための解決策を考える時に、「なぜ?」を徹底的に考えることが、そのミスを起こした人の人格否定につながるはずはないにもかかわらずだ。


p.16

問題=あるべき姿 − 現状
したがって、現状とギャップのない目標からは問題は発生しない。また、到達不可能な目標と現状とのギャップは、理論的には解決不可能な問題ということになる。
問題発見とは、「あるべき姿」と「現状」の「ギャップ」の構造を把握することから始まると言える。要するに、「ギャップ」をもたらすものが何かを洞察し、その本質に迫ることが解決への道筋を示すことになる。


p.21

ビジネス・リーダーの重要なスキルは、企業の「あるべき姿」である経営理念やビジョンに基づき、企業が近い将来直面し、積極的に取り組むべき新たな問題を明確に設定する能力にある。
すでに発生し、顕在化している現状の問題ばかりを見つめて、対症療法的な問題解決を図るようなリーダーでは、これからの企業をリードすることは難しい。企業の将来こうありたいという「あるべき姿」を大胆に描き、「現状」との「ギャップ」を問題として捉えて解決を図っていくことは、ビジネス・リーダーにしかできないことである。


p.23
問題発見ができない4つの理由
・問題を定義する前提となる「あるべき姿」を、的確に描けない
・「現状」の認識・分析力が低く、正確な把握ができていない
・「ギャップ」の構造を解明して、問題の本質を具体化・優先順位づけすることができない
・実行可能な「解決策」から逆順で短絡的に問題をとらえるために、拡がりを見失う


p.49

この「仮説思考」の考え方が、誤解されているようにも感じる。つまり、アクションを起こすために、自分ができそうな解決策だけに目を向けて問題を見る。そのため、解決策を初めから念頭に置いた、歪んだ目でしか問題をとらえられない、といったことが起きているのではないだろうか。それは間違いである。「仮説思考」では「アクションに結びつく結論を常に持つ」ことが重要であるが、それは「結論に導く背後の理由やメカニズムを考え」たうえでのことで、そこを深く考えずに「思いつき」でできることを結論にしろと言っているわけではないからだ。そして、「ベスト」をいつまでも追い続けるより、「ベター」を実行し、「走りながら考え続けること」を奨めているのだ。


p.70
問題発見の4P=「あるべき姿」をとらえる問題発見の4P
・Purpose(目的軸)
・Perspective(空間軸)
・Period(時間軸)
・Position(立場軸)


p.76
ホッケー・スティック型の目標設定

達成不可能な目標設定は、社員のモチベーションを下げるだけでなく、そもそもの問題の本質から目をそむけることになるため、問題の先送りになり、気がついた時には手の打ちようがないという状況もありうる。つまり、問題は目標と現状のギャップではなく、目標設定そのものにあるわけだ。目標とは、目的を達成するために設けた到達点の状態である。つまり、目標は目的の下位概念なのだ。


p.131
MECEの概念
…Mutually Exclusive Collectively Exhaustive(モレもなくダブりもない)
1)全体の枠の取り方と切り口を考える
2)モレによる機会損失を考える
3)ダブりの+/-ファクターを考える