梅田望夫『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)


ちょうど大学にいた頃がネットスケープがぶわーっとキャンパスで流行ってきてた頃で、Yahoo!とかもおー便利!とか思っている時期だったんです。その後、あっという間にWindows全盛→Googleってのがあるらしいよ?みたいなのをリアルタイムで感じているだけに、それをこうして説明されるとすごく納得がいく。
一般の人たちにとっては、「インターネット=怖い」というイメージがまだまだある感じ。それは、仕事で学校に行って先生とか子どもを持つ保護者の意見を聞くと実感する。

以下、本文から抜粋+自分用のメモ。

p.19
インターネットの真の意味は、不特定多数無限大の人々とのつながりを持つためのコストがほぼゼロになったということである。

ネット以前は自分の知り合いにしか語り掛けられなかったのが、ネットに情報をアップすることで世界中の誰からでもレスをもらえる可能性ができた、というのはすごく大きな変化だと思います。
大学3年生のときに、自分のホームページにアップしていた課題のレポートに、新潟に住む大学院生と高校の部活の先輩からメールでコメントをもらったときに、これをすごく実感しました。
一度、この体験をしてしまうと、「またそういうことがあるかもしれない」というのをすごく期待してネットを使っている自分を感じます。ブログを書くのもそうだし、日記を公開するのもそうだし、SNSとかを積極的に活用したいと思うのも、全部の根っこは、この体験にあるのだと思っている。

p.22
米国が圧倒的に進んでいるのは、インターネットが持つ「不特定多数無限大に向けての開放性」を大前提に、その「善」の部分や「清」の部分を自動抽出するにはどうすればいいのかという視点で、理論研究や技術開発や新事業創造が実に活発に行われているところなのだ。
玉石混交のネット上から「石」をふるいよけて「玉」を見出す技術にグーグルは磨きをかけているが、そういう流れを加速するのはグーグルばかりではない。
不特定多数の意見をどのようなメカニズムで集積すると一部の専門家よりも正しくなるかについての「wisdom of crowds」(群集の叡知)。見知らぬ者同士がネット上で協力して新しい価値を創出する方法「マス・コラボレーション」。ネット上にたまった富をどう分配すべきかという意味での「バーチャル経済圏」…。インターネット上の開放空間で、新しい理論の研究から実験システムの開発、さらには事業創造のトライアルまでが繰り広げられ始めたのだ。

本当に、そうですよね。どうしてもっと良いところを取り出す努力が必要ですね。インターネットについてのニュースは、圧倒的に「石」=悪いことについてのものが多いですから。もっと可能性を見せてあげられるようにならないと。

p.220
十代で「コンピュータの私有」に感動したゲイツ世代は、インターネットの「こちら側」への拘りを今も捨てきれずにいる。しかし十代で「パソコンの向こうの無限の世界」に感動したページ/ブリンの世代は、インターネットの「あちら側」に全く新しい創造物を構築しつつある。まさに世代交代のときなのである。

そうか、見ている場所が違うのか。僕はどちら側を多く使っているだろう、と考えてみると、やっぱり「こちら側」にどちらかというと比重を置いているのかもしれないなぁ。自分の立ち位置を自覚しました。
それと、グーグルについての詳細な説明もとてもエキサイティングです。何となくおもしろい会社、ということは知っていましたが、こうして読むと僕が思っていたよりもずっとおもしろじゃないすか!

p.71
日本のIT企業の幹部にグーグルの話をするときに、「博士号を持った最高のエンジニアがオペレーションの泥仕事を、毎日毎日死に物狂いでやっているような会社ですよ」と言うと、彼らは一様にがっかりする。優秀な人間は自分で手を動かさず誰かに何かをやらせる風土になってしまった企業から見ると、「そんな会社にはかなわないなぁ」という印象を持つようだ。
グーグルの「優秀な人間が、泥仕事を厭わず、自分で手を動かす」という企業文化は、情報発電所構築においてグーグルが競争優位を維持し得る源泉の一つである。

そして、

p.81
グーグルが目指すゴールは「抜群に優秀な連中を集め、創造的で自由な環境を用意する。ただし情報を徹底的に全員で共有した上で、小さな組織ユニットをたくさん作り、個々がスピード最重視で動き、結果として組織内で激しい競争を引き起こす」というワーキング・カルチャーだと(クレイグ・)シルバースタインは語った。

このカルチャーを支えるのは、採用とテクノロジーだとのこと。自分の組織のことを思うと、ちょっといろいろと考えるものがあります。どうしたらこういう感じに近づけていけるだろう。自分はその組織の中にいる資格があるだろうか。

以下、メモ。

p.233
日本という国は「いったん属した組織を一度も辞めたことのない人たち」ばかりの発想で支配されている国であるという再発見をした。


グローバルに活躍する日本人たちの経験に共通するもの
=新しいキャリア・パラダイム

  • 転職によるいい意味での人生の急展開
  • 新しい場での新しい出会いがもたらす全く新しいオポチュニティの到来
  • 組織に依存しない個人を単位としたネットワークがフル稼働することの強靭さ
  • いつ失職するかわからない緊張感のなかで、常に個としてのスキルを磨き自分を客観的に凝視し続ける姿勢が、いかに個を強くするか