和田秀樹・寺脇研『どうする学力低下 激論・日本の教育のどこが問題か』


2000年に出ている本です。すっごい昔な感じがしますね。それだけここ最近の教育業界はうわーっと変わっているとも言える。でも、本質的に話をしていることは同じ、ですかね。
本当にいろいろな争点があるのですよ。でも、教育はすぐに結果が出なくて、自分が教育システムを変えたときに学生生活を送った生徒たちと何年後かに出会って、謝罪をしなくてはならない状況になるかもしれない、という(恐ろしいけどしていなくてはならない)想像をしっかりしていることに、安心感を覚えると共に、わが身を振り返りました。

以下、メモ。

p.53
危機に立つ国家

この報告書では、中等教育が生徒の自主的選択を尊重してきた結果、多くの生徒が数学、理科、外国語の学習を避けるようになったこと、また、教師の待遇が十分でないために教師の質がいちじるしく低下していることを指摘し、中等教育の改革を強調した。(略)現在振り返ってみると、こうした報告書を出すことによって、中等教育が見直され、それが現在のアメリカの繁栄をもたらしたと言ってよいだろう。


p.96-97
和田先生

ものすごい才能があるかもしれないのに、それに気づかないで終わる可能性がある。でも、野球とかソフトボールの授業があった場合、こいつはものすごく野球のできる子なんだということに気がつきますよね。それは数学だって同じ。そのために全員に数学が必要だというのです。
野心とか個性とかに気づかせる教育と同時に、もう一つは、国民全体の教育レベルを維持しなくてはいけない。つまり国民全体の教育レベルを維持する国民教育というのがないといけないというのが、義務教育の基本理念なわけですよね。