原田隆史『カリスマ体育教師の常勝教育』

カリスマ体育教師の常勝教育

カリスマ体育教師の常勝教育


大阪で20年間教師をしていた原田先生の常勝教育。13回の陸上日本一を出しています。でも、スキル的な指導についての説明は全然なく、むしろメンタルな部分と目標管理の部分についての説明がほとんど。
これなら、他の組織でも運用できるのではないかと思いました。事実、ワタミとかでも使われているみたいです、このノウハウ。学べるものからは何でも学びたい!チェックしてみてください。

以下、メモ。

p.42

私の指導は、①心を使う-Plan(目標設定)→②心をきれいにする-Cheek(態度教育)→③心を強くする-Do(できることの継続)→④心を整理する-See(結果の考察)→⑤心を広げる-Share(ノウハウの蓄積と共有)」の5つを繰り返します。



日本一になった選手も含めてすべての子どもたちは、3年間に出場した60数回におよぶ試合のたびに目標設定用紙を書いて、書いて、書き続けました。心を使って、使って、書き続けた結果、他校のライバルだけでなく自分のなかにいる内なる敵を破って勝利をおさめました。


p.44

子どもたちとの試行錯誤のなかで完成した目標設定の指導を粘り強く続けたことで、日本一を量産、勝ち続ける常勝チームが誕生しました。
しかもこの手法を続けると子どもたちの自主性が高まりました。例えば用紙を書く指導は、上級生が下級生にマンツーマンで教えます。上級生になれば、自己管理能力が高まるので、陸上以外の日常生活や学習面でも成果が出てきます。クラブの練習も子どもたちが自主的になしていくので、顧問である私は練習を見ているだけ。ほとんど口もはさみません。


p.50

日本一を達成したり、好成績を残してきた生徒は、全員、まず高い目標を立てて、繰り返し書き続けました。
完成した用紙は、寝室の天井、便所、風呂場、自分の部屋、教室の掲示板、クラブの部室など、目に付きやすい場所にはって、毎日、見ます。書き続けること、見続けることが相乗効果となって、ますますイメージを強化します。


p.68

仕事と思うな、人生と思え


p.85

目標を3段階にすると心の幅がはっきりとわかるようになります。それと同じことが仕事やスポーツの結果にも当てはまります。我々は、すごく成功するときと失敗するときがあるのですが、どの人にも成功と失敗に幅があり、一定の範囲を出ることはありません。
その幅のことをその人が安心できるという意味で“コンフォートゾーン”と呼んでいます。これはメンタルトレーニングの研究者であるラニー・バッシャムが提案した考えです。

↓この考え方を取り込んで、目標設定用紙を記入

p.55
大会 目標設定用紙

競技成績目標
最高の目標、中間の目標、絶対達成できる目標の3つを書く
目標より得られる利益
試合の分析
成功した試合においての、心技体それぞれについての分析を書く
同様に、失敗した試合においての分析も横に書く
予想される問題点
問題の解決策
目標達成のためにクラブに対してどのように貢献しますか?
具体的な行動
優先順位別に書く、できやすい目標から
決意表明
セルフトークの言葉


p.140-p.141

松虫時代には、毎夜、8時になると私の携帯電話がひっきりなしに鳴り出しました。(略)心がまだ強くなく、自分に負ける生徒を後押しするための電話確認です。
心というのは難しいことへの挑戦ではなく、できることの継続で強くなる--。
ところが子どもは言い訳をし、大人は特例を認めようとします。
「今日は正月だから休む」「友達が来ているから休む」といった具合です。しかし、その特例を認めずにやらせ切る。そして、やったかどうかの確認をする。
指導者はそうして細かなところに目を配り、心を強くする後押しをするのです。育てに育てるわけです。


p.202
指導上級生制度

「おまえの指導が悪い。一年生のせいではない。責任をとれ」というと、それを見た一年生は罪悪感を感じて、「先輩、すいません」と謝ります。
先輩も「いや、オレも昔はできへんかった。かまわん。オレの教え方が悪かった」と許し、そこで強い絆が生まれる。互いに成長しあうきっかけができます。子どもたちはこうした深い人間関係を実は求めているのです。


p.209

私はもっと部員の創造をしなければいけないと強く思ったのです。
まず、人材を確保すること。これは企業でも学校でもどこでも同じです。強いチームを作ろうと思えば人材確保がもっとも重要な要素になります。米海兵隊などの強い組織でも同じことです。
海兵隊の人材育成に関する本を何冊か読むと、海兵隊で重要な役割を果たすのは、前線に立っている兵士でもなければ、指示をしている軍曹でもない。実は人材を集めるリクルーターであることがわかります。最強のチームを維持するためには優れた人材を確保しなければならないのです。


p.220
3分でどこまで変われるかを体感する「3分間作文」
・毎回の講義で3分間の作文指導を実施
・書く前に1分間、何を書くのか心の中でイメージ須r時間をとる
・「はじめ」の合図で3分間、一気に思ったことを書く。
・終わったら字数を数える
・毎回、必ず文字数がどれだけ伸びているのかというデータを自分で記録する
・講義の終わりにもう一度書く
・はじめに書いたときの文字数を目安に目標の文字数を決め、原稿用紙に線を入れる
・同様に1分で気持ちを整え、「はじめ」の合図で書き始める


実際に書いて、字数を数えて、目で確認して、わずかな講義時間内でも自分にどれだけの変化があったかを感じさせる。「自分は変われるんだ」と体感させるのです。


p.227

いまはプレゼン法、コミュニケーション術ばやりで、静の能力は軽視されがちです。見せかけのテクニックに走るのではなく、まず静の能力を高めて、書いてそれを発揮するという段階が抜けています。


そのための一つのトレーニングが、3分間作文であり、書く力がつく。
その後、スピーチ練習をし、プレゼンテーションに進む。